門前追悼

14回目の朝

所薫子

 「今、職員会議で試験を何時から始めるか相談しているらしい」7月6日の朝8時、神戸高塚高校通用門の前に到着するとそんな声が飛び込んできました。「いったいどうしたんですか?」「新長田駅で人身事故があったらしい」いつもなら校門前の歩道は登校する学生で埋め尽くされている時間帯でしたが、登校してくる学生はまばらでした。バスや他の交通手段で登校する学生たちが時折まとまって門を通り抜けて行きました。事件以降8時45分になった登校時間で、30分頃はとても黙祷を捧げられる状況ではなく、学生がひととおり登校して始業合図のチャイムがなった頃、追悼式を始めておりました。
 「8時30分定刻に黙祷しますか?」石田さんが亡くなったその時にも見ていた時計が8時30分になるのと同時に集まった人たちと共に黙祷を捧げました。30分以上の遅れだと駅から学校に直接連絡が入り遅刻にならず、3分の遅れだと命を断たなければならない。僚子さんの声が空から聞こえてくるような気がしました。
 「それっておかしいんじゃないですか?」登校途中で誰か倒れていた時にはそれを無視して、遅刻しないで登校することが大切?お腹を壊した友人は駅に残したまま遅刻しないで登校することが大切?規則は、校則は人の生命より大切?早朝から夏日の太陽が照りつける中、考えさせられた14回目の朝でした。

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