門前追悼
16回目の朝

所薫子
「あまり暑くなくて、今日はお花がもちそうですね」。東京から毎年ずっと歌って集めたお金で買ったカーネーションを運んでいる中村羅針さん。カーネーションを並べていると、どうやっても花弁が内側にクルンと向いてしまいます。「僚子さんの方、向いているのでしょう」。内側を向いたまま花壇の前に並べ、事件の時の扉でも門柱でもありませんが、扉の柵一本一本にもカーネーションを並べました。心の狭い私は未だに扉を押した教師に花を供える気持ちにはなれませんが、僚子さんの頭蓋骨を砕いた鉄の扉と挟まれた門柱のその場所に花を供えることがやっとできました。高塚高校の先生も2名参加され、追悼終了後カサブランカの大きな花束は森池豊武さんが学校へ献花しました。「水もらえますか」「バケツもどうぞ」16年より前から勤務されている用務員さんにお借りして、田中英雄さんが紙に「どうぞお持ち帰りください」と書いて、花を生けたバケツに貼りました。「後の片付けはしとくから」と用務員さん。後はお任せして追悼ライブコンサート会場の「レンガの家」へ私たちは向かいました。今年も僚子さんに導かれた気がします。
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