門前追悼

十一年目の追悼

 今年の高塚高校前の追悼は、どうなるのだろう、一人、二人は来てくれるかも知れないけれど••そんな不安の中、眠れない夜を過ごし、早朝、再度念押しのファックスを神戸の各報道関係に送信し、家を出ました。
 七時五十分、校門前に着くと十年間並べられていたようにカーネーションが、並べられているではありませんか。(ああ羅針さんも来てくれたんだ)『石田僚子』さんと書かれたプレートも門塀に立てかけてあります。昨年置かれたままになっていたのを中村羅針さんが、大切に保管して置いて下さり、今日のために持ってきて下さったのです。昨夜来の激しい雨に木々も花壇の花も洗われ、たっぷりの水を含んで活き活きとしていました。報道関係の方もちらほら既に来ており、数人の会員の人達と共に準備にかかりました。昨日花屋さんに相談し、二六歳の僚子さんにと選んでもらったヒマワリや他の花束も並べました。田中さんが大きな紙袋を抱えて、最初の年シーガルホールで追悼をした時に竹田マガラさんが描いて下さった絵を額に入れて、『追悼十一周年』と大書して持ってきてくださいました。
 時折静かに降る雨の中、八時三十分登校する学生達の中、森池さんの司会で、黙祷をもってしめやかに始められました。それぞれの思いを前で語り、僚子さんと同窓だったという女性が妊娠されている体を労わりながら子どもさんの手を引き、又事件当初十四歳だったという若者も花かごを供えました。心に染みる十一年目の追悼でした。

所薫子

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