石田僚子さん追悼30周年記念文集

異星に住む

ギャラリー島田 島田誠

果たして今、私は美しい地球の住人なのか。これが美しい日本の国なのか。長く、暮らしてきた私を囲む自堕落空間。私たち(濃密にふれあう)の周りはこんなにも心美しく優しいのに。為政者や権力者の振る舞いは「やってはいけない」「あってはならない」見本帳にずらりと並んでいることばかりだ。

「狂気の地球化」と雑誌「世界」の’98年12月号にドイツの元の社会民主党の首相ヘルムート•シュミットが「ディ•ツァイト」に書いた論文で「投機的な肉食獣的資本主義」と呼び「現在の状況で規制撤廃、自由市場万歳というのは、世界的な狂気である」と指摘している。
加藤周一は20年前に「言葉の力弱体化」として「日本では論争になりそうな問題を言い換えたり、ごまかしたり、忘れたふりをして、正面からとらえようとしない。それで言葉の力が弱くなっていく」。また「日本は保守党と官僚、財界の三者によって権力ができて、その全体に米国が被っている」「保守党議員の半分は2代目、事実上の世襲制度。議員たちは政権をとろう、大臣になりたいということで走り回ることに忙しく、政治などをやっている暇はない」と書く。(「世界の50年と日本の進路」かもがわブックレット126)

私の成すべきこと
私は父がそうであったように75歳でぽっくりと天に召されることを思い描いてきた。父はまったく無欲に淡々とその日まで働き、帰宅して何の苦しみもなく逝った。私の齢もその日を超えた。1942年生まれ。敗戦国日本は様々な僥倖のうちに高度成長を遂げ、いまにいたった。
しかし、これは私の思い描いてきたありようとはあまりに違う。
ギャラリーという場、アート•サポート•センター神戸の場。そして文化支援基金。すべてが無名性を大切にしている。そして私自身もその人たちとともにありたいと強く思っている。「いいね!」で繋がらない世界。異論や違和感を大事にしたい。その思いは「命の管理はもうやめて!」と繋がっている。

世界の50年と日本の進路世界の50年と日本の進路(かもがわブックレット126)

加藤周一(著) / かもがわ出版 / 1999年5月1日
<内容>
第二次大戦後の過去50年を、社会主義的原理(P原理)と自由市場原理に基づいた社会(M原理)との関係から探り、低投票率や新ガイドラインなどについての意見をまとめる。



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