粗食で生き返る

Ⅱ 粗食のすすめ
朝食にご飯とみそ汁、漬物、焼きのり、アジの干物などを食べる人とパンにジャム、マーガリン、ハムエッグ、サラダ、ドレッシング、ヨーグルト、チーズなどを食べる人を比べたら、食品添加物はどちらが多くなると思われるだろうか。
これは、間違いなくパン食の方が多くなる。
なぜならパンやチーズ、ハム、コーヒー、ドレッシング、マヨネーズなどは工場で大量に作られ遠方まで運ぶことが出来るようにしているので、どれも全部食品添加物の心配をしなければならない。一方、ご飯、みそ汁、漬物、納豆などは遠方の工場で作られるものは少なく添加物が入っていても、たかが知れている。もともと味噌、漬物、納豆などが中心の日本食は、発酵食品が多く最初から腐っているようなものだからである。
つまり、昔からの日本食は発酵食品が中心である。日本は湿度が高かったので、どうせ腐るならその前に上手に腐らせて、発酵食品を創り上げていたので、防腐剤などが少ない。ところがハムなどが腐ったらとても食べられない。
肉などの加工品は腐ると危ないので、ハムなどの肉にはその歴史の初めから添加物が使われていた。だから無農薬の野菜を使ってサラダにするにしても、パン食をしながら安全性を考えるとしたらお金がかかる。
現在の食生活には、余りにも農薬や食品添加物や化学物質が多すぎることを知らねばならない。ところが、パンからご飯に変えるだけで添加物は相当減るのである。
したがって、食生活の改善で一番大事なことは、とにかくご飯をきちんと食べることである。幕内秀夫(1)~(4)は参考文献で上げているように食に関して何冊も本を書いているが、彼のところにはご飯中心の食にしたら身体が変わったという内容の手紙が何通も来ているとのことである。
アトピーで来院した12歳の女の子にご飯をたくさん食べるように指導したら、2回目に通院した時、一目見ただけで見違えるほど症状が良くなっていた。1回目の食事指導に来た頃は、1日にご飯を茶碗に1,2杯しか食べていなかったのが、今は1日に6,7杯食べるようになったし、おやつも全部おにぎりにしているそうだ。12歳の食べ盛りの年頃でご飯を1日に1,2杯しか食べていなかったということは、余計なものを山程食べていたということで、米食に変えるだけで添加物は激減しているであろう。
なぜご飯を食べることが、そんなに重要かという理由は次のとおりである。
人という動物の一番大切な基本的栄養素は、水と炭水化物(でんぷん)である。炭水化物の取り方として、米、小麦、イモ、トウモロコシなどがあるが、一番加工しないで食べられてしかも1億2000万の人が1年間続けて毎日食べられるのは米だけなのである。
1964(昭和39)年の東京オリンピックをTVで見ていた当時の多くの日本人は、 おにぎりとみそ汁を食べていて身体の小さな日本人は、肉などをたくさん食べる外国人にはかなわないと思い込んだ。柔道でも負けるし、走っても遅いし、飛ぶのもダメだ。唯一頑張っていたのが、プロレスの力道山位であとはことごとく外国人に負けてしまうと思い込んでしまった。
こういう歴史の中で作られた常識のせいで、私たちは以下に示すように食生活における三つの錯覚を植え付けられている。





