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2022年(令和4年)9月5日、滋賀県立石部高等学校の硬式野球部員(高校2年生)は、1年時から練習や試合中のミスに対して他の部員らから頻繁に暴言を吐かれたり、部室でベルトで背中や足を強く叩かれるなどの暴行を受けていることを苦にして、マンションの6階から飛び降り自死を図ろうとした。
学校は別室待機にすべき加害生徒を教室に入れ、被害者である男子生徒を別室に隔離し、教師は「あいつと口聞いたらいじめって騒がれるから話すな」と言っていじめを助長した。また、校長は期日を指定して男子生徒が部活に戻れるようにするという約束を反故にして男子生徒を退部せざるを得なくした。
2024年7月、調査委員会は男子生徒に対するいじめを認定し、学校の問題点として「被害生徒や保護者が深刻な状況であることの認識に欠け、迅速で組織的な対応ができなかった」と指摘した。
事件の経緯
男子生徒は1年時から練習中のグラウンドや部室で試合や練習でのエラーについて、野球経験のある加害生徒から「しっかりやれよ」「エラーしたなら練習しろよ」と頻繁に言われ、強い口調で言われることもあった。
2022年8月、硬式野球初心者の男子生徒は、試合後にミスを部員から責められ、以降、学校や部活を休むことが増えた。
男子生徒は2年生になってからも言動によるいじめは続き、ベルトで叩かれるなどの暴行を受けるようになるなどいじめがエスカレートした。
9月5日朝、普段通りに男子生徒は「行ってきます」と家を出たが、父親は前夜から様子がおかしいと感じており、胸騒ぎがして昼休みに学校に電話で「息子の様子はどうですか」と尋ねた。登校していないことがわかり、同日夕には野球部顧問に「いなくなりたい」とLINEで連絡があった。父親らが電話やLINEで何度も連絡し、同日午後5時半頃、自宅マンションの6階で見つかり、その後の聞き取り調査の結果、いじめが発覚した。
同月12日、学校はいじめ防止対策推進法に基づく「重大事態」に認定し、加害生徒への指導をしたが、同15日には男子生徒が野球部内でいじめを受けていることを部外に広められ、翌10月4日には体育の授業中に「一緒にするのはいや」と言われるなど言動で苦痛を感じさせられたり、12月11日には野球部のLINEグループから本人の許可なく退会させられるなど、その後もいじめは止まらなかった。
一連のいじめで、被害者側にも関わらず、「周りから白い目で見られた」という男子生徒の保護者は、「学校は加害生徒にどんな説明、指導をしたのか。加害生徒にいじめの認識がなく、平然としている。加害生徒の家族までが加担してくる時点で、いじめは無くならないんだと絶望を感じた」という。男子生徒の母親は、「学校の対応が間違っていたと思う。別室待機にすべき加害生徒を教室に入れ、息子を別室に隔離していた。『あいつと口聞いたらいじめって騒がれるから話すな』と言っていじめを助長させた教員もいた。」と怒りを隠さない。
男子生徒は3年になり、野球部員のいないクラスとなったため、いじめは影を潜めたが、男子生徒は2年の頃を「一番地獄やった」と言い、今も辛い思いを引き摺っている。母親は「息子が『一番地獄だった』というのは、校長が『(2024年の)1月31日までに部活に戻れるようにする』と約束したのに結局、3月に退部せざるを得なかったこと。本当に野球が好きだったから。別室に追いやられ、クラス全体から無視され始めた時も辛かったと話していた」と振り返っている。
2024年1月には沖縄への修学旅行があり、男子生徒は初めての沖縄で楽しみにしていたが、無視されるクラスで何かあっても守ってもらえないため、参加できなかった。
同年7月、男子生徒が1年時から試合や練習で男子生徒がミスをすると、部室で加害生徒(中心の3人)からベルトで背中や足を強く叩かれる暴行を受けていたことが判明した。暴行は2年になっても続いていた。男子生徒の母親は、「暴行が発覚したのできちんと調査し直してほしい」と再調査を求めている。
男子生徒の母親は、いじめの根絶について「傍観者があまりにも多過ぎる。いじめを見つけたらすぐに教員に伝え、教員もすぐに対応してほしい。初期で芽を摘まないと酷くなる一方。今回も初期に対応していればここまで大きくならなかった」として、「悲劇を繰り返さないようにと制定された『いじめ防止対策推進法』をしっかりと守り、今は罰則がないが、違反したら罰則を科すべきだ。」と法改正にも言及している。
調査委員会
調査委員会の設置•調査内容
2023年9月12日、学校はいじめ防止対策推進法に基づく「重大事態」と認定し、調査委員会が設置された。
調査委員
弁護士や臨床心理士など外部委員を含めた調査委員
調査報告書•その後
2024年7月3日、調査報告書は男子生徒に対するいじめを認定し、学校の問題点として「被害生徒や保護者が深刻な状況であることの認識に欠け、迅速で組織的な対応ができなかった」と指摘し、その上で「いじめの共通理解の徹底」「職員間での情報共有」などの再発防止策を示した。
最終報告書の公開について男子生徒の保護者は「非公開は加害生徒の擁護でしかない。いじめ根絶のためにも公開してほしい」と話しており、滋賀県教育委員会は「被害生徒側の意向を聞いた上で調査報告書を公表する」としているが、2025年5月現在も公表されていない。
参考資料
“滋賀•石部高野球部いじめ 被害生徒の母親「傍観者多すぎる」「対応遅い」” 産經新聞 (2024年7月10日) 他