神戸市立東須磨小学校教師による集団暴行傷害事件

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2019年9月、神戸市立東須磨小学校に勤務する男性教諭(25歳)が、2018年(令和30年)春から2021年10月にわたり、前年に当時の校長から神戸方式(一般的な教員人事は市の教育委員会が決定するが、神戸市では本人の異動希望を基に校長同士が調整して人事を行う。つまり「校長同士が相談して教員を引き入れ、それを教育委員会に承認を求める」という独自のルール。1960年代後半に定着したこの人事異動のルールは、校長に招かれた教員が強い力を持つという側面がある。事件を機に2021年春に全面的に廃止された。)で指名されて赴任した“女帝”と呼ばれていた先輩教諭の女性教諭A(45歳)と男性教諭B(34歳)、男性教諭C(34歳)、男性教諭D(37歳)の4人から他の女子教諭へ性的なメッセージを送るよう強要されたり、男性教諭の新車の屋根の上に乗られたり、その車内に飲み物をわざとこぼされたりした。ほか、物で叩く、プロレス技をかける、刺激物(激辛カレー)を食べさせる、目に擦りつけるなどの暴力行為やパワーハラスメントを受けて精神的に不安定になり、療養中であることが報道された。

男性教諭は校長に報告したが、「お世話になってるやろ」と取り合わなかった。事件発覚後も同校の管理職は市教委に対して「人間関係のトラブル」などと矮小化して報告していた。市教委は文部科学省から原因究明の徹底と加害教諭の厳正な処分を求められ、教育行政に対する信頼を著しく失墜させたことを謝罪した。

2020年2月21日、調査委員会は同僚4人から激辛カレーを無理矢理食べさせられるなど被害教員に対して125件ものハラスメント行為があったと認定した。

同年2月28日、神戸市教委はB教諭とC教諭を懲戒免職、A教諭を停職3か月、D教諭を減給3か月(10分の1)、前校長のE校長を停職3か月、現校長のF校長を減給3か月(10分の1)の処分とした。また、A教諭とD教諭については、市教委による研修が行われ、将来的に教壇に復帰する可能性があるとした。

市教委は事件発覚当初からB教諭とC教諭の実名を出しながらA教諭を匿名にしており、B教諭とC教諭の懲戒免職処分と比較して主犯格のA教諭の処分が軽いことも合わせ、その理由としてA教諭は教育関係者一族の生まれで、父は教育委員会関係者、祖父は市教委の大物、兄2人も教員と教育委員会関係という背景が挙げられている。

事件発覚後、激辛カレー事件の現場である家庭調理室は児童の心のケア対応として改修されたが、加害教員らが金銭的な負担をしたという情報はなく、メディアに同校の正門が映っていて傷付いた児童がいるとして正門を改修した。

いじめの問題をめぐっては、同市垂水区で市立中学3年の女子生徒がいじめを苦に自死した神戸市立桃山台中学生自死事件で、いじめについて証言した同級生らのメモが隠蔽された問題を受け、市教委は2019年9月30日に「組織風土改革のための有識者会議」から最終報告書の提出を受けたばかりだった。報告書は、いじめ防止対策推進法の趣旨を学び続ける▽いじめが絶対に許されない行為であると児童生徒に指導するーなどと提言している。

事件の経緯

2015年4月、B教諭とC教諭が同校に赴任した。

2016年4月、E前校長が教頭として同校に赴任した。

2017年4月、当時の校長から神戸方式で指名されてA教諭が同校に赴任した。
同月、F校長は教頭として同校に赴任した。
同月、男性教諭は新規採用で同校に赴任した。

2018年4月、D教諭が同校に赴任した。
同月、E前校長は校長に昇任した。
同年春から男性教諭は4人の先輩教諭から暴力行為やパワーハラスメントを受けていた。

9月、「ごめんなさい。辛いのは苦手なんです」と訴える男性教諭をB教諭が羽交締めにし、A教諭がスプーンで激辛カレーを口に運んで無理矢理食べさせたり、激辛カレーを男性教諭の目に擦り付ける動画が、放課後の小学校の家庭調理室で録画された。(この動画は後に「激辛カレー動画」としてテレビやSNSで大きく報道された。)この事について男性教諭は校長に報告したが、校長は「お世話になってるやろ」と取り合わなかった。

2019年2月、男性教諭の同僚が「加害者のからかいが度を過ぎている」と当時の校長に訴えたが、校長は内容を確認しなかった。

4月、F校長は校長に昇任した。

同月、男性教諭は嘔吐や睡眠障害が起こり、呼吸困難•動悸•チックの症状が強くなった。
これまでの被害状況を知っている校長は、教育委員会にパワハラを報告せずに他校に異動した。また、後任の校長である教頭にも引き継ぎをしなかった。

6月、別の複数の教員らから同校の管理職に相談があり、同校の管理職は一連の行為を把握し、加害側の教員を指導した。市教委は「学校は被害教員に寄り添う形で、『大丈夫か』など声掛けをして、できるだけ校長が職員室にいる時間を増やしていたことだ」とし、加害教員4人に対しても「『(被害教員と)離を置くように』という指示を出していたようだが、学校からの指導後も被害教員に対する暴言があったようだ。校長は全体の職員会で『ハラスメント行為はしてはいけない』と指導を行った」として、同校の管理職による指導が効果がなかったことを認めている。

7月、男性教諭への暴行を見かねた同僚が校長に直訴し、校長から加害教員らへ指導が行われたが効果はなかった。同校の管理職は市教委に対して「人間関係のトラブルがあった。校内で解決した」と報告した。市教委は9月に男性教諭の家族の訴えで嫌がらせに関する情報を得たとしている。
校長から指導を受けた加害教員らは、「クソやな」「先輩(被害者を皮肉り)には偉大な校長がいるからな」「ママによしよししてもらえ」「謝るんやったら土下座でもなんでもしてやるわ」「話しかけるとパワハラになっちゃうから」と皮肉を言っていた。

9月2日、男性教諭は学校に出勤できない状態になった。
精神的に不安定になっていた男性教諭は、休暇による療養を余儀なくされた。市教委は男性教諭の家族から男性教諭の状態について連絡を受け、事実関係の調査を始めた。被害の内容や時期、回数など詳細を確認した上で処分を検討するとした。

同月、男性教諭が、2018年(令和30年)から2021年10月にわたり、前年に当時の校長から神戸方式で指名されて赴任した“女帝”と呼ばれていた先輩教諭の女性教諭Aと男性教諭B、男性教諭C、男性教諭Dの4人から暴力行為やパワーハラスメントなどの職場いじめを受けて精神的に不安定になり、療養中であることが報道された。

9月11日、男性教諭は兵庫県警に被害届を提出し、先輩教諭らから他の女子教諭へ性的なメッセージを送るよう強要されたり、男性教諭の新車の屋根の上に乗られたり、その車内に飲み物をわざとこぼされたりした。ほか、物で叩く、プロレス技をかける、刺激物(激辛カレー)を食べさせる、目に擦りつけるなどの暴行を受け、暴言も浴びせられるなど約50項目のいじめがあったと訴えた。

10月、市教委はA教諭とB教諭、C教諭、D教諭を授業から外し、謹慎処分ではなく有給休暇を取らせて休ませた。
10月3日夜、教諭5人が不在となる事態になり、市教委は保護者対象の説明会を開催した。

10月8日頃、「激辛カレー動画」がテレビ各局で報道された。

出典:産経ニュース

加害教員が被害者の新車の屋根に土足で上がっている写真
加害教員が被害者の新車の屋根に土足で上がっている写真

10月11日、A教諭が当時3年生だった男子児童が教科書を忘れたことに怒り、椅子をいきなり引いた上、頭をぶつけた男児の胸ぐらを掴んで立たせたことが発覚した。


10月10日、男性教諭は代理人弁護士を通じて、教え子や保護者に向けたメッセージを公表した。

子供達へ

 急に先生が変わってびっくりしたね。ごめんね。

 私は3年連続して同じ子供達を担任してきた。初めは2年生から上がってきた小さい小さい子供達。それが最後は6年生に向かう大きくなった子供達。とても素直な児童で、行事にはまっすぐ一生懸命、学年の仲が良くみんな前向きな児童であった。「そんな子達が大好きですよ」学級通信を通じて子供のいいところを発信していたが、ほんとに毎日が成長であった。初めは小さな事で喧嘩もありながら、ちゃんと自分で反省し、仲間に優しくできる子達である。職員室が怖かった分、毎日子供といる時間が幸せでたまらなかった。「ずっとこの子達と一緒にいたい」そう思える子達だった。クラス全員で誕生日に手紙を本にしたプレゼントを用意してくれる温かい心も持っている。失敗しても「ドンマイ」と声をかけられる思いやりもある。どんな先生やお友達でも同じ目で、平等な目で見られる正義感のある子達である。運動場で「めんどくさい」とも言わず、クラス全員で遊ぶ無邪気な一面もある。これからもずっとずっと君たちの笑顔は先生の宝物であり、生きがいです。ありがとう。

 そして、一つ、、、

 先生はよく「いじめられたら誰かに相談しなさい」と言っていましたね。しかし、その先生が助けを求められずに、最後は体調まで崩してしまいました。「ごめんなさい」今の先生だからこそ、お願いです。辛い時、悲しい時自分一人で抱え込まずに、誰かに相談してください。必ず、誰かが手を差し伸べてくれます。助けてくれます。いつか、みんなの前でまた元気になった姿を必ず見せに行きます。その日を夢見て先生も頑張ります。

保護者様へ

 いつも温かく迎えてくださって感謝でいっぱいです。「3年目も先生で嬉しいよ」こんな声をかけてくださった方もいて僕の支えとなる言葉です。「先生痩せられたんじゃないですか?」と気にかけてくださる優しい保護者の方達に僕もたくさん支えてもらいました。僕が作った学級通信や子供への手紙を宝物だと言ってくださった経験が今の僕の宝物です。最後に、たくさんご心配やご迷惑をお掛けしてすみません。

同日、ニュース番組「グッとラック!」宛にも男性教諭からコメントが寄せられた。

被害を受けた状況

「私は中学生の頃から教師を夢見てきました。そして、家族の支えがあり、教育学部に進学することができました。教育実習でも、大変やりがいを感じ、素敵な先生方にご指導いただきました。「絶対に教師になる」そんなことを考えながら教員採用試験の勉強をしていました。家族や友人、大学の先生方に支えられて、教員採用試験も合格しました。「これで夢見た教師になれる」と思い、配属先の学校が決まるのを胸をワクワクさせながら待っていました。

 しかし、夢見た教員が思い描いていた世界とは違いました。初任の夏頃からいじめられるようになりました。

 自分の中でいじめられていることをいじられていると勝手に頭の中で考えるようになった。相手にしてくれている、笑ってくれている、そう自分に言い聞かせながら、苦しい中思ってもないことを言わされたり、やらされたり•••「しないと無視される」という考えがずっと頭にあった。実際にしなかったらいつも「お前、面白んな。もう知らんからな。」と言われて何度か無視されるようになった。

 しかし、コロッと態度が変わり凄まじいことをしてきたりとついていけなくなりそうなこともあった。本当にきつかったです。今年の期首面談の後、校長は加害教諭に指導をしたと言いながら、どのように指導したかなどという話は一切なかった。何より相手にしてもらっているというねじ曲がった考えている方が、無視されるよりずっと楽だと思った。だから校長には僕から訴えたりはしていない。校長と教頭に「されてきたことを言いなさい」と言われて初めて期首面談で言った。

 「無視されたら怖いので僕が言ったと絶対に言わないでください。」「ここまで我慢してきて、あと半年なんです」と言うと、「だめ。このままじゃあかん。」「無視されることも受け入れないと。」と言われた。その後、指導をしたと言った直後から180度態度が変わり、空気のように無視されるようになった。はたまた、君のせいで、君と話せないからなどと嫌味を言う人もいた。また4月には信頼していた教員にも裏切られていたので、もう僕の場所は職員室には無かった。

 常に悪口を言われているような感じがし、職員室が怖いと思った。6月あたりからは、毎朝吐いて泣きながら学校に向かう毎日だった」

10月11日、男性教諭は暴行を含め約50項目のいじめを受けたとして兵庫県警に被害届を提出した。

10月15日、事件を受けて亀岡文部科学副大臣と佐々木文部科学政務官が神戸市教育委員会を訪れ、長田淳教育長と面会した。亀岡副大臣は「本来いじめをなくすよう指導にあたる教師が、こんなことを起こしたのは信じがたい気持ちでいっぱいだ」と述べ、原因究明の徹底と加害教諭の厳正な処分を求めた。長田教育長は「教育行政に対する信頼を著しく失墜させたことを、深くおわび申し上げます」と謝罪し、第三者委員会を設置して事実関係を調査したうえで、関係者を厳正に処分する方針を説明した。面会の後、亀岡副大臣は記者団に「文部科学省としても、教員免許の制度も含め、教員の資質向上がしっかりできるような環境作りに取り組んでいきたい」と述べた。

10月16日夜、市教委は同校で2回目の保護者対象の説明会を開き、男性教諭に対するいじめ行為や学校側の対応などについて説明した。加害教諭4人は欠席したが、市教委は事情聴取で聞いた言葉を拾って作文したコメントを「加害教師4人が書いた謝罪文(反省文)」として発表した。(説明会に参加した保護者談)このコメントについて久元喜造神戸市長は、10月19日付のX(旧Twitter)で「東須磨小学校、加害教員の謝罪コメントは本当にひどい。17日の総合教育会議で明らかになったのは、コメントの発表が教育委員会主導で行われていたことだ。大変驚き確認すると、この発表が、教育長、教育次長にも相談することなく行われていたことがわかった。教委事務局のガバナンスも問われている。」と述べている。

【A教諭の謝罪の言葉とされるコメント】

 子どもたちに対しては、こんな形になって申し訳ないです。
子どもたちを精いっぱい愛してきたつもりですが、他の職員を傷つけることになり、子どもたちの前に出られなくなり、申し訳ありません。
私の行動で、迷惑をかけてしまったことに対して、本当に申し訳ないと思っています。
 被害教員に対しては、ただ申し訳ないというしかありません。
被害教員のご家族に画像を見せられ、入院までしている事実と、苦しんでいる事実を知りました。本当にそれまでは、被害教員には自分の思いがあって接していたつもりです。
自分の行動が間違っていることに気付かず、彼が苦しんでいる姿を見ることは、かわいがってきただけに本当につらいです。
どうなっているのかと、ずっと思っています。(神戸新聞NEXT)

出席者によると、保護者から加害教諭に謝罪を求める声が相次いだが、市教委側は「加害教諭も精神的に不安定で、すぐには難しい」などと応じたという。保護者の1人は「先生のいじめ行為がショックで、登校できない児童がいるという話も出た。安心して勉強できる環境を整えてほしい」と話した。

2019年10月17日の市議会において、同校での児童同士のいじめが急増(2017年度:0件、2018年度:13件、2019年度:16件(半年間))していることが判明した。A教諭が児童に男性教諭のクラスの授業の妨害などを唆していたことなど、教員同士の関係が児童に影響を及ぼしたのではないかと言われている。

10月28日、加害教諭が有給休暇であることについて、市教委は速やかに条例案を改正して給与の差し止めが行えるよう市議会に提出し、翌29日の市議会で改正条例が可決した。但し恣意的な運用を防ぐためにも「必ず」本人に弁明の機会を与えるよう求めた。

10月31日、市教委は加害教諭4人の給与の差し止めである「分限休職処分」について満場一致で決定した。

11月、男性教諭はいじめが原因でうつ病を発症したとして公務災害を申請した。

11月10日、好きな給食ランキングで常に上位のメニューであるカレーが、「児童の精神的なケアのため」という理由で中止となった。

2020年2月28日、神戸市教委はB教諭とC教諭を懲戒免職、A教諭を停職3か月、D教諭を減給3か月(10分の1)、前校長のE校長を停職3か月、現校長のF校長を減給3か月(10分の1)の処分とした。また、A教諭とD教諭については、市教委による研修が行われ、将来的に教壇に復帰する可能性があるとした。

神戸市教育委員会の長田淳教育長は会見の冒頭、「学校生活の混乱で深い傷を負った児童や生徒、保護者の皆さま地域および市民の皆さん、被害にあった教員とそのご家族の皆さまに心より深くおわび申し上げます」と述べ、謝罪した。
その上で、「調査報告書の提言を受け止め、学校職員と教育委員会が一体になって再発防止に全力をあげてまいります」と述べた。

3月27日、神戸地方検察庁は、暴行や強要の疑いで兵庫県警が書類送検した男女教諭4人について、2人が懲戒免職処分を受けるなど4人全員が神戸市教育委員会から懲戒処分を受けていることから社会的制裁を受けているとして、不起訴処分(起訴猶予)としたことを発表した。(地元記者は、ある捜査関係者がA教諭について「調査委員会の調査とは、全然違う結果になると思いますよ」と話していたと証言している。)

12月4日、神戸市議会は「連帯責任」として、市立中小学校の校長や市教委幹部ら教育関係者約320人の冬賞与の増額分約1000万円の見送りを決定した。この決定について、いじめ撲滅委員会代表で公認心理師の栗本顕氏は、今後「いじめがあったことがバレたら連帯責任をされるから、隠そう!」と考えてしまう人が出てこないか心配であるとして疑問を呈している。

12月8日、地方公務員災害補償基金神戸市支部は男性教諭について、公務員の労災にあたる公務災害と認定し、治療費や休業補償費を給付することになった。

調査委員会

調査委員会の設置•調査内容

名称:神戸市立小学校における職員間ハラスメント事案に係る調査委員会
設置主体:神戸市教育委員会
適用:第三者委員会
2019年10月17日から2020年2月21日までに計3回開催(ヒアリングなどを除く)

調査委員

委員長:渡邉徹弁護士(大阪弁護士会)
委員:西谷良彦弁護士(兵庫県弁護士会)
村上淳弁護士(兵庫県弁護士会)
調査補助員:雨宮沙耶花弁護士(大阪弁護士会)
大林良寛弁護士(大阪弁護士会)
堀内聡弁護士(大阪弁護士会)

調査報告書•その後

2020年2月21日、調査委員会は同僚4人から激辛カレーを無理矢理食べさせられるなど被害教員に対して125件ものハラスメント行為があったと認定した。

神戸市立小学校における職員間ハラスメント事案に係る調査委員会 調査報告書」(PDF:2MB)
(加害教諭らが行った暴行の態様が35頁から45頁に書かれている。)

報告書の発表を受けて男性教諭は、加害者へは「単なるいじりと思うかもしれませんが、やられている側は笑顔でいても辛い思いをしていることをわかってほしい」とし、生徒へは「君たちのおかげでもう一度立ち上がろうと思うことができました」と受け持っていた生徒から手紙で励まされたことを喜んだ。

加害教諭による暴行の態様の一例と処分

A教諭:停職3か月

13件のハラスメント行為が認定された。

• A教諭が提唱して4人で男性教諭を羽交締めにし、A教諭は自らはしゃぎながら激辛カレーを無理矢理食べさせたり、激辛カレーを男性教諭の目に擦り付け、それを児童にも自慢げに話していた。
• 「激辛ラーメン」大会でも男性教諭に無理矢理汁を飲ませた。
• 日常的に男性教諭を叩いたり、蹴ったり、ビンタをしたり、椅子を蹴っていた。
• 児童の前で男性教諭に「キモい」と言って男性教諭の尻を蹴り腹を殴った。
• 男性教諭に日常的に「ハゲ」「ボケ」「カス」「くず」「犬」「ポチ」などの人格を否定するような呼称で男性教諭に暴言•罵声を頻繁に浴びせた。
• 男性教諭から相談されていたプライベートの話を他の教諭に話したり、男性教諭の家庭について「お前の家は母子家庭でややこしい」「親父は他に家庭あるらしいな、ろくでもない父親」と中傷した。
• 当時3年生の男子児童が教科書を忘れたことに怒り、椅子をいきなり引いた上、頭をぶつけた男児の胸ぐらを掴んで立たせるなど、不適切な指導もしていた。

調査報告書では、被害者の教諭はA教諭を仕事上頼りにしていたため、我慢しながら関係を続けていたとしている。そして、「プライベートな事柄を無神経に周囲に漏らされたことが被害教員を苦しめていた」と指摘している。

B教諭:懲戒免職

一連の暴行で主導的な役割を果たしたとされ、最も多い93件のハラスメント行為が認定された。

• 激辛カレーを食べさせる時に男性教諭を羽交締めにした。
• 男性教諭の新車の屋根に土足で上がったり、車を蹴って傷付けたり、その車内に故意に飲み物をこぼした。
• 職員室などで日常的に「クズ」「死ね」などの暴言を男性教諭に吐いていた。
• 勝手に男性教諭の携帯電話から女性の同僚教諭に対して不適切な文言をLINEで送るなどの嫌がらせをしていた。
• 男性教諭に交際相手とのわいせつな写真を送らせたり、性的な言動を繰り返していた。
• 女性教員2人(20歳代)にセクハラ行為を行った。(2018年の暮れに後輩教員に性行為とその証拠画像を強要した事件の詳細はこちらです。)
• 男性教諭に「飲め飲め」と酒を無理矢理飲ませて、飲めなくなると「雑魚いな」と言って平手打ちした。
• 男性教諭がトイレで嘔吐して痙攣している姿を見て大笑いしていた。
• 男性教諭に「太れ」と言って大量のお菓子を突っ込んだ。
• 拡大コピー用紙の芯で男性教諭の尻を殴り、痣とミミズ腫れを生じさせた。
• 加害教諭の1人が男性教諭の腰を抱き抱えて締め付けたり、ジャンプして体をぶつけたりするプロレス技をかけた。
• 男性教諭にLINEで別の女性教員に性的メッセージを送るよう強要した。
• 携帯電話に悪戯をし、ロックを掛けて使えなくした。
• 男性教諭がまだ仕事があるにも関わらず、「(加害教諭の)自宅まで車で送ってくれ」と送迎を強要し、男性教諭が遅れた時に「はよせいやハゲ、ボケ」と言ったり、車の部品を叩いたりした。
• 男性教諭に熱湯入りのやかんを顔に押し付けた。
• 男性教諭の首を絞め、呼吸困難にさせた。
• 男性教諭の髪の毛や服に大量の接着剤を掛けた。
• 男性教諭のジーンズをびりびりに破いた。
• 男性教諭にドレッシングや焼肉のタレを大量に飲ませた。
• 運動会の準備中に、金槌で釘を打っている時に、わざと被害教員の指を金槌で打った。

調査報告書では、B教諭の行為について、「悪ふざけ、からかいの延長だったが、被害者は『嫌われると小学校で仕事ができなくなる』という恐怖があった」とした上で、「弱い者を『いじる』ことで笑いをとる典型的な『いじめ』心理そのものだ」と厳しく指摘している。

C教諭:懲戒免職

39件のハラスメント行為が認定された。

• 激辛カレーを食べさせたほか、児童の前で男性教諭の肩を殴ったり、職員室などで暴言を吐いたりした。
• 飲み会で男性教諭の皿に親指を入れるなどしたほか、男性教諭の交際相手の女性の悪口を言った。
• 別の女性教諭に対し、車の中で肩に触れたり、性的な言動を繰り返すなどセクハラ行為を行った。
• 男性教諭を後ろから強く殴ったり、「ゴミ口」などと呼んでいた。
• 男性教諭の背中を肘でグリグリと押したり、足を思い切り踏み付けた。
• 男性教諭の指導案に「お前見てたらイライラする」「いじってんねんから感謝しろ」などの落書きを刷った。
• 男性教諭の交際女性について「軽い女やから」などと中傷した。
• 女性教員2人(20歳代)にセクハラ行為を行った。

調査報告書では「B教諭に追随し、次第に鈍麻しタガが外れていった」と指摘されている。

D教諭:減給10分の1(3か月)

7件のハラスメント行為が認定された。

• 男性教諭を後ろから強く殴ったり、肩を手で叩いたり、椅子を蹴ったりしたほか、「カス」「ボケ」などと暴言を吐いた。
• 男性教諭がいじめについて校長に相談したことに腹を立て、「お前に話しかけたらパワハラになる」などと言った。

調査報告書では、被害者がこの教諭を最初は優しい先輩だと認識していたとして、「いじめを止めてほしかったが、便乗してハラスメントを続けてきたことに対する怒りは小さくない」としている。

その他

• 4人は被害届を出した男性教諭とは別の男性教員(20歳代)のことをポンコツの意味で「ポンちゃん」と人格を否定するような呼称で暴言を浴びせた。

E校長(前任):停職3か月

管理職としての対応の不適切さに加えて、自らもパワハラを行っていたと認定された。
調査報告書は被害者の教諭が飲み会を欠席すると連絡したところ、「俺を敵に回していいんか」「オレのメンツをつぶす気か」などと恫喝し、出席を事実上強要するなどした。(E校長はこれらの発言を「本人にとってプラスになると思って声を掛けた」と弁明している。)
男性教諭に対して「いじめはないな」と威圧し、訴えられないようにしてA教諭を守っていた。(A教諭と男女関係が噂されるほどに大事にしていたという証言もある。)
男性教諭について「あいつは公開処刑や」と言っていた。
報告書では、他の教員も同校長から「死ね」「潰す」と言われるなどパワハラの訴えが多数寄せられたとしている。高圧的な態度から「プチヒトラー」と呼ぶ教員もいたという。(E校長は教頭時代のパワハラなどは「指導」であると主張している。)
被害者はいじめ行為を同校長に申告しても握り潰されると言う恐怖があったとして、「学校のトップが全体的な信頼を得られていなかったことはいじめが長く見過ごされてきた原因のひとつだ」と厳しく指摘している。

2016年4月に同校の教頭に就任し、2018年4月に校長へ昇格した。昇格を機に同校の職員室は崩壊状態になっており、好き勝手をやっている教師がいても、誰もそれを咎めないような職場だった。D教諭は同校の赴任直後に「うちの職員室、メチャメチャやで」とぼやいていた。

F校長(現任):減給10分の1(3か月)

不適切な対応でいじめのエスカレートを防げなかった責任が問われた。
調査報告書では、同校長はいじめについて加害者の教諭らに指導したことが結果として被害者に報復的な言動を生むことになり、「対応としてピントがずれている」と指摘された。
更に、校長が加害者らをコントロールできていないことから職員室内の風紀が緩みいじめを助長したと指摘している。

被害者の教諭と加害教諭の評判

被害者の教諭

被害者の先生は子どもたちからも慕われていて、授業も上手な素敵な先生でした。

A教諭

「保護者会などで『声の大きい』(発言力の強い)保護者の子弟を可愛がり、自分にとって良い評判を流布させていた」

「加害者の女の先生は、気に入らない児童は泣くまで怒っていました。」

「A教諭は前任校の神陵台小学校でも、当時20代の教師をうつ病を発症するほどいじめたり多数の若手教師に嫌がらせをしていたそうです!当時の神陵台小学校の生徒と教師が言っているので間違いありません。また、生徒保護者とのトラブルもあったそうです。」

「男児と保護者によると、この女性教員は17年度の3学期、男児が音楽の授業中に教科書を忘れたことに怒り、いすをいきなり引いた上、頭をぶつけた男児の胸ぐらをつかんで立たせたという。さらに、男児は給食当番の時に行動が遅いとして体を強く押され、近くの棚で頭を打ったと訴える。(中略)男児は、女性教員が他の児童に対しても胸ぐらをつかんだり、暴言を浴びせたりするといった場面を目撃。テスト中に児童の答案用紙を破り捨てたこともあったという。こうした女性教員の暴行や暴言は他にも目撃情報がある。」(2019年10月11日神戸新聞NEXT)

「そんな30代の男性加害教員をたきつけていたのが、ベテラン教員“女帝A”。F校長が9日に開いた会見では、「反抗しまくって(X教員の)学級をつぶしたれ」と生徒をたきつけた過去があることもわかった。」(2019年10月15日週刊女性PRIME)

A教員の家族を知る70代の女性は、(中略)「Aさんと小中学校が一緒だった人の話では、結構おてんばだったせいか、結婚はしてないようです。一見、しゃべりやすい気さくな関西のおばちゃん。でも反対に、上から目線、人をなめているような態度で、あたりが強い、と感じる人もいたそうです。昔はお兄さん一家と同居していた時期もありましたが、義理のお姉さんとそりが合わなくて家を出たという話です」(2019年10月15日週刊女性PRIME)

「加害教師の中でも、最年長のA先生の責任は重いだろう。ふくよかで包容力を感じさせる独身の女性だが、『ちょっと性格がキツイという評判がありました。他の先生を『ちょっとからかっておいで』と子供を消しかけたりすることもあったそうです」(学校関係者)市内の教職関係者はこう打ち明ける。「仕事はテキパキとできるのですが、その分、要領がよくない同僚を小バカにする面は、あったかもしれません。児童に対してもえこひいきが激しく、暴言を吐かれたり、胸倉を掴まれたりした子がいたようです」(2019年10月10日週刊文春)

「前校長は、あまり仕事をしない人。職員室で何があっても関係ないという事なかれ主義。女性教諭はそれ幸いと、前校長の威光を背景に好き勝手に振る舞っていた。」(2019年10月16日週刊朝日)

女性教諭について同僚がこう語る。「手は出さないが口では、めちゃくちゃ言いますよ。『こら、お前なめてんのか』『言うこと聞かんか』とかとても学校の先生とは思えない言葉使い。『あんた欲求不満か、最近やってないのか』などセクハラのようなことを言われた先生もいます。記者会見でも認めていたが、被害者がイジメを訴え出て、4人の教諭たちが事情を聞かれると『お前のせいで呼びつけられて、説教されてしまった』と激怒していた」(2019年10月16日週刊朝日)

自らもセクハラ被害を受けていた元同僚の女性教師はこう語る。(中略)「女性のC先生は言葉だけでなく手も足も出る人で、グーでX先生を殴るところを何度も見ています。他の学校ならありえない光景でした」(2019年10月17日週刊文春)

今年六月、加害教員らのイジメを見かねた男性教師が教頭に相談。F校長が加害教師四人に指導し、市教委に「人間関係のトラブルがあったが収束した」と報告していたのは既報通りだ。その後、X先生は、加害教員たちから口々に心を抉(えぐ)るような嫌味をぶつけられている。40代女性教員「(他の被害者も含め)君たちに話しかけたらパワハラになっちゃうから」(2019年10月17日週刊文春)

「A、B、Dはイジメを認めたが、C(40代女性教員)は『X先生とは仲良くしていた。イジメていたつもりはない』と戸惑っていた」(市教委関係者) (2019年10月17日週刊文春)

イジメの中心的存在だったのは、40歳代の女性教諭だ。この女性教諭と東須磨小学校で一緒に勤務した経験のある教諭はこう話す。「女性教諭とは他の学校でも同じでしたから5年くらいは一緒に仕事をした。どうしてこんな人が子供を教える先生なのかと信じがたい人です。イジメは今にはじまったことではありません」さらにこう続ける。「昔、同じ職場だった時、女性教諭が嫌いなB先生がいました。『B先生はどうしようもない。授業中に騒いでもいい。ボイコットしてもいい』と子供たちにけしかけるのです。東須磨小学校でも、嫌いな先生に同じことをしていた。女性教諭は被害を受けた男性教諭について『反抗してもいい』『言うことを聞くな』と生徒に話し、アイツ呼ばわりしていました」(2019年10月21日 AERA dot.)

「前校長と親しい女性のA先生は女子大の音楽科出身なのですが、前校長の威光をバックに音楽専科の先生にきつく当たっていたことも、内部では問題視されていました。」(2019年11月1日 週刊文春)1

B教諭

割と粗暴なタイプで、高校時代からいじめをしていたと同級生が証言している。
いじめ指導の担当者で、市教委の聴取に「ここまで被害教員を大切に育ててきた」と説明し、謝罪文とした。

C教諭

生徒や親からはリーダーシップがあるとされていた。
6年生の担任で、子供をいじるタイプ。

D教諭

元気に楽しくがモットーで、単独でのいじめは他の教諭に比べて少ない。

加害教諭の犯行動機

B教諭は自身の犯行動機について「俺が楽しかったらいい、お前の気持ちなんてどうでもいい、ストレス発散」などと語っていた2

主犯格のA教諭の犯行動機について同校の内部関係者は、「(経験豊富なベテラン教師だったA教諭は新人の男性教諭を指導する世話係になり、男性教諭は当初、A教諭を先輩として頼りにし、よく行動を共にしていたが)やがて、X先生(被害者の教諭)は信頼していたA先生に、『内緒にしといてくださいね』とお願いしたうえで、自身の交際相手のことも打ち明けたようです。X先生にとってA先生は恋愛対象外だったゆえのことですが、A先生はおもしろくなかったのでしょう。というのも、実はA先生はひと回り以上も年下のX先生に、特別な感情を抱いているフシがありました」と証言し、これ以降、AのX先生への態度は豹変し、他の加害教師によるイジメも益々加速していったとしている3

事件のその後

被害者の教諭

男性教諭は2019年9月にハラスメントを訴えて以降、適応障害と診断されて療養を続けていたが、2020年4月1日付で、神戸市内の小学校に着任し、教師として復職している。
東須磨小学校での復帰の可能性もあったが、男性教諭本人から「精神的な負担が大きい」という申し出があり、他の小学校になったという。
男性教諭は一度は教師を辞めようともしたが、療養中に「子どもたちから手紙や写真をたくさんもらった。もう一度、先生として仕事をしたいと思った」として、復職を決意した4

加害者の教諭

B教諭とC教諭の現在は不明だが、懲戒免職になった時点で教員免許が失効しているので、今後、小学校の教師になる可能性は低いと考えられる。しかし、近年は教員不足が深刻なので社会人対象の採用試験を受けて合格すれば教員になることは可能であり、塾講師などの道も考えられる。
A教諭とD教諭は神戸市教育委員会に異動になったが、2020年2月28日の会見で市教委は両教諭が市教委による研修を受けた後、将来的に教壇に復帰する可能性があると発表している。

事件担当職員の自殺

2020年2月9日、市防災課から市教委総務課に出向していた男性係長(30歳代)が、兵庫県芦屋市の東灘芦屋大橋から飛び降り自死した。男性は神戸市立東須磨小学校教師いじめ事件の教育委員会内での会議の調整に関わっていた。
男性の遺族は「長時間労働や精神的な負担について適切に対応しなかったためだ」として市に損害賠償を求めて提訴し、2024年5月に神戸地方裁判所は「緊急的かつ具体的な措置をとるべき義務を怠った」として市に約1億2000万円の支払いを命じた。市は控訴し、大阪高等裁判所で和解協議が続いていたが、2025年2月、市が遺族に3000万円を支払うことや職員の労働環境の一層の改善に取り組んでいくことを約束して和解が成立した5

参考資料

“神戸市立東須磨小学校|不祥事” Wikipedia

  1. “Hの顔写真や経歴•自宅住所は?兄弟や家族構成についても【東須磨小の女帝教員】” oricoma (2019年10月27日)
  2. “東須磨小の教諭いじめ事件の調査報告書に記された驚くべき“動機” 「ストレス発散」” AERA (2020年2月24日)
  3. “【教師いじめ】女帝は被害者•男性教諭に恋愛感情か? 男性教諭に交際相手がいると知り、態度が豹変” 週刊文春 (2019年10月31日号)
  4. “「もう一度、先生として仕事したい」東須磨小•教員間暴行の被害教員が心境語る” 神戸新聞NEXT
  5. “いじめ問題対応の神戸市教委職員死亡めぐる訴訟 和解が成立” NHK (2025年6月13日号)
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