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愛知県の江南市立中学校の女子生徒(中学1年生)は、2023年から同級生から暴力を受けて靭帯損傷や顎を脱臼するなどの怪我を負わされたり、SNSで悪口やいたずら画像を拡散されたり、同級生の文房具が無くなった際に犯人扱いされて再び誹謗中傷を受けるなどの被害に遭った。女子生徒は重度のPTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断され、学校側はいじめ防止対策推進法に基づく「重大事態」と認定した。
学校側は調査を行ったが、調査報告書を女子生徒と保護者に提供することを拒否したばかりでなく、調査も女子生徒本人への聞き取りを行わないなど杜撰なものだった。
事件の経緯
2023年(1年時)、女子生徒は同級生から暴力を受けて靭帯損傷や顎を脱臼するなどの怪我を負わされたり、SNS(交流サイト)で悪口やいたずら画像を拡散された。その際、女子生徒の保護者は学校にいじめとしての調査を申し立てたが、女子生徒に心理的ストレスなどを与えることなどから、当面は見守ることで落ち着いた。
2024年(2年時)、同級生の文房具が無くなった際、女子生徒が犯人扱いされ、再び誹謗中傷を受ける事案が発生した。女子生徒は重度のPTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断され、学校側は10月、いじめ防止対策推進法に基づく「重大事態」と認定し、市教委に報告した。市教委は学校主体の調査を指示し、調査は翌11月から2025年1月にかけて行われた。
2025年2月、学校は調査報告書を提示しながら女子生徒の両親に調査結果を口頭で説明した。その際、両親は報告書の提供または撮影許可を求めたが、学校側は「渡せない」と拒否し、市教委も開示請求して入手するよう回答した。このため、母親は保有個人情報開示請求を行い、交付費用として1枚につき10円を支払った上で、計11枚の報告書を2か月後に入手しなければならなかった。母親は「当事者なのになぜ提供してもらえないのか。いったい誰に対する報告書なのか」と学校や市教委の対応を批判している。
報告書の提供を拒んだことについて、学校側は「市教委に何も答えないように言われている」とし、市教委の担当者は「学校がガイドラインに沿って判断したこと。(報告書は提供していないが)保護者は調査結果の説明時に録音をしていた」と釈明した。
女子生徒は現在、重度のPTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断され、通学はできているが教室に入ることができない状態という。母親は「娘は今でも加害生徒を見ると急に意識を失い倒れてしまう。それほど苦しんでいることに対し、市は責任を感じてほしい」「中学校3年間、小学校6年からは戻せないので、そこは本当に悔しい。今から第三者委員会が立ち上がっても、この過ぎた時間はもう戻せない」とし、その上で「娘への聞き取りすらしていない学校側の調査は到底納得できない」と話している。
学校や市教委の対応について、名古屋大の中嶋哲彦名誉教授(教育行政学)は「被害者に寄り添うものではなく、不誠実で最悪な対応だ。(提供ではなく)提示を選んだ正当な理由が示されなければならない。保護者には事実を知る権利があり、生徒がその後、充実した学校生活を送るためにも納得できる対応が求められる」と指摘している1。
調査委員会
調査委員会の設置•調査内容
2025年6月26日、保護者が学校主体の調査が女子生徒本人に聞き取りがなかったことから「調査が不十分」として、第三者委員会による再調査を求める所見書を沢田和延市長宛に提出したことを受け、江南市は第三者でつくるいじめ問題調査委員会を設置することを明らかにした。学校や市教委はこれまで、関係する生徒への聞き取りなど必要な措置を講じたとして、学校主体の調査のみの対応だったが、保護者の要請などを踏まえて再調査を決めたという。
参考資料
“同級生から暴力、SNSに悪口 市教委「いじめ重大事態」 愛知•江南” 毎日新聞 (2025年6月20日) 他
- “いじめ調査報告、市教委が提供拒否 被害者は開示請求で入手 愛知” 毎日新聞 (2025年6月26日)