福岡市立小学校(西区)保護者による冤罪事件

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2003年(平成15年)5月12日、福岡県福岡市西区の福岡市立小学校で、男性教諭(46歳)が担当クラスの男子児童(小学4年生•9歳)の母親の曽祖父がアメリカ人だと知ったことをきっかけに、差別発言や暴力などを繰り返し、自死を強要されてPTSDを発症したとされる事件である。

民事訴訟裁判では、教諭の幾つかの体罰と発言が認められたが、原告側が主張する体罰による怪我や差別発言、自殺強要発言、教諭の行為により発症したとされるPTSDなどは認められなかった。また、児童のクラスの保護者に聞き込みを行っても、教諭の体罰を見たという児童が現れないことや、担当医が重篤なPTSDと診断し、体罰場面を思い出させる場所では強い回避の症状が見られると説明する児童が、体罰が行われていた学校で、土曜日•日曜日はほとんど欠かさずサッカーをしていたこと、裁判で「児童の曽祖父がアメリカ人」という児童と両親の当初の主張が虚偽であると判明した。当初は教諭の実名を報じて児童の両親側の主張のみを鵜呑みにして煽情的に報じたメディア報道のあり方も問われた。

事件の経緯

2003年4月18日 男子児童が他の児童に対して暴力を振るい、教諭が口頭で注意しても止めなかったために、児童の右頬を右手の甲で叩いた。(この体罰については教諭も当初から認めており、懲戒処分の理由の1つともなっている。尤も裁判では、原告からは上記事実は主張されなかった。)

5月12日 教諭が児童宅を家庭訪問。面談は男子児童の母親が応じ、午後8時頃から10時30分頃まで続けられた。

5月30日 児童の両親が学校に最初の抗議。家庭訪問時の差別発言や、家庭訪問の翌日以降、体罰が行われていることなどを校長に訴えた。

6月9日 授業中に教諭は、児童に対して謝罪。この日以降、教諭の授業には、他の教師が立ち会うようになった。

6月16日 授業に他の教師が立ち会うのは教諭の行動を監視するためであったが、あべこべに「監視が付いているのは、児童が悪いからだという噂が広まっている」として、児童の母親が保護者会の開催を求めた。

6月17日 教諭が、児童の両親に対して「体罰を通り越して、いじめていました」と謝罪。

6月20日 4年生の社会科見学が行われ、児童と教諭も参加。その後、午後8時20分頃、児童の両親が学校に抗議。教諭が監視の目を盗んで体罰を加えていることを述べ、担任の交代を要求。

6月23日 学校が4年3組の保護者を対象に懇談会を開催。教諭が児童に対して行ったいじめについて説明し、担任の交代を告げた。

6月27日 朝日新聞(西部本社)が「小学校教諭が小4児童をいじめ」との見出しで事件を報道した。

7月2日 福岡市教育委員会が、教諭に対して事情聴取を開始。聴取は8月19日まで8回にわたり行われた。

7月7日 4年3組の児童28名を対象に、教諭のいじめ行為についてのアンケートが行われる。

8月22日 福岡市教育委員会が、教諭に対し、停職6か月の懲戒処分を行う。

9月5日 児童が久留米大学病院で前田正治医師の診察を受ける。前田医師は心因反応、抗うつ反応と診断し、児童に対し通学を取りやめ自宅で療養するように指示。投薬治療も開始した。

10月2日 『週刊文春』が「『死に方教えたろうか』と教え子を恫喝した『殺人教師』」との見出しで事件を報道した。
同日 前田医師が児童をPTSDと診断。

10月8日 児童とその両親が原告となり、500人を超える弁護団を結成し、学校の設置主体である福岡市と教諭を被告として、福岡地方裁判所に提訴。教諭のいじめにより、児童が重篤なPTSDに罹患したとして、約1300万円の損害賠償の支払いを求めた(その後、請求額を約5800万円に拡張)。
福岡市のみならず、教諭個人も被告に加えた理由について、訴状では、不法行為の加害者が公務員であるというだけで免責されるのは不合理である旨述べている。

10月10日 教諭が福岡市人事委員会に対して懲戒処分の取り消しを求めて審査請求を行う。
このとき、教諭は地元のテレビ局に対し、いじめや体罰の事実を否定し、その後マスコミの取材を受けるようになる。

10月14日 児童が久留米大学病院精神神経科の閉鎖病棟に入院。入院は翌2004年4月16日まで続いた。
児童は入院中も原則的に週末は自宅に外泊することなり、外泊中は学校でサッカーをするなどしていた。

2004年3月28日 児童がインターナショナルスクールに編入。

4月16日 児童が久留米大学病院を退院。
児童は退院後も定期的に久留米大学病院へ通院し、抗うつ剤や精神安定剤の投薬治療を受けた。

4月 児童が熊本市の私立中学校に入学。一方、教諭は教職へ復帰。本件の学校とは別の小学校へ異動した。

2008年12月10日 民事訴訟判決確定後、教諭が市人事委員会に申し立てていた懲戒処分に関する審理が再開された。

2013年1月17日 教諭によるいじめの事実は認められないとして、市人事委員会が教諭に対する懲戒処分を全て取り消す裁決がなされた。

民事訴訟

2003年10月8日 男子児童と両親が原告となり、学校の設置主体である福岡市と教諭を被告として、教諭のいじめにより、児童が重篤なPTSDに罹患したとして、慰謝料など1320万円の損害賠償を求めて提訴。(その後、請求額を約5800万円に拡張)

原告側の主張

  • 「血が混ざっている」発言
    家庭訪問の際、児童の尊属にアメリカ人がいると聞いて「血が混ざっている」ないし「血が混じっている」発言した。
  • 家庭訪問中の差別発言
    家庭訪問中、児童や母親に対し「やっぱり純粋じゃない」「日本は島国で、昔は純粋な日本人の血の人間ばかりだったのに、だんだん外国人が入ってきて、穢れた血が混じってしまった」その他の差別発言、アメリカ批判、キリスト教批判を行った。
  • 学校での体罰
    家庭訪問の翌日以降、児童に対し、10数える間に荷物を片付けろなどの命令を行い、これができないと「アンパンマン(頬を引っ張る)」「ミッキーマウス(耳を掴んで持ち上げる)」などの体罰を加えた。
  • 体罰による怪我
    上記体罰が連日行われ、児童は鼻血を出したり、歯が折れたり、耳が切れるなどの怪我を負った。
  • 授業中の差別発言(1)
    教諭が授業中に、児童に対し「アメリカ人」「髪が赤い人」などの差別発言を行った。
  • 授業中の差別発言(2)
    さらに「外国人の血が混じっているので血が穢れている」「アメリカ人は頭が悪い。だからお前も頭が悪い」「キリストはでたらめを言い、楽ばかりしたから、最後は磔にされて殺された。お前も苦しめ」などの差別発言を行った。
  • 児童の持ち物をごみ箱に捨てた行為
    児童のランドセルや持ち物をごみ箱に捨てた。
  • 自殺強要発言
    児童に対し「お前は生きとう価値がない。死ね」などと述べて自殺を強要した。
  • 児童のPTSD
    上記のような教諭の度重なるいじめ行為により、児童はPTSDに罹った。

一審判決

2006年7月28日 福岡地裁 一部認容 福岡市に、児童に対して220万円の支払いを命じる判決。

判決概要

一部認容の理由は、教諭が児童に対し家庭訪問の翌日から週に3,4回、アンパンマンやミッキーマウスの体罰を行ったことと、「授業中やゲーム中に「アメリカ人」「髪が赤い」と述べたこと、児童のランドセルをごみ箱に入れたことが不法行為に当たるというもの。
一方、体罰については、原告が主張するような、怪我をするほどの強い力でほぼ毎日行われたものと認めることはできないと判断。また、上記以外の差別発言や自殺強要発言も認められないとした。さらに、PTSDの主張も退けた。
教諭個人に対する損害賠償請求は、国家賠償法第1条に基づき、棄却。

控訴審判決

2008年11月25日 福岡高裁 一審と同様の事実認定。賠償額は330万円に引き上げられた。(確定)

参考図書

でっちあげ―福岡「殺人教師」事件の真相―

でっちあげ―福岡「殺人教師」事件の真相―福田ますみ(著) / 新潮社出版 / 2010年1月1日
<内容>
先生がねえ、死ねって、ぼくに言いよった……
ある日突然「殺人教師」にされたーー 恐怖の実話ドキュメント!
「早く死ね、自分で死ね。」2003年、全国で初めて「教師による児童へのいじめ」と認定される体罰事件が福岡市で起きた。地元の新聞報道をきっかけに、週刊誌やワイドショーが大々的に報じ、担当教諭は「史上最悪の殺人教師」と称され、停職処分に。児童側はさらに民事裁判を起こし、舞台は法廷へ移り、正義の鉄槌が下るはずだったが、待ち受けていたのは予想だにしない展開と、驚愕の事実であった……。第六回新潮ドキュメント賞受賞。累計13万部突破、恐怖のロングセラー。

外部リンク

福田ますみ『でっちあげ』事件、その後

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