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神奈川県大磯町立小学校に通っていた男子児童(2025年1月時点では中学1年生)は、小学校入学以降、複数の男児から体形などを揶揄われ、持ち物を壊されたり、靴箱から靴を投げ捨てられたりされるなどの暴言や暴行を受けて不登校になり、転校を余儀なくされた。町教育委員会はいじめ防止対策推進法に基づく対応を怠っていた。
男子児童の転校から4ヵ月経った2023年4月、保護者が町に一連の対応について情報開示請求をしたところ、町教委は一転して同法の「重大事態」に認定した。
事件の経緯
男子児童は小学校入学以降、複数の男児から体形などを揶揄われ、持ち物を壊されたり、靴箱から靴を投げ捨てられたりした。加害児童は男子児童に「(周りに)チクるなよ」と隠蔽を強要していた。
2022年 男児は暴行を受けたストレスで目を強く瞬きするなどのチック症状が出て、医師から「ストレスによる胃痛」と診断された。
加害児童のグループは普段から授業をさぼってトイレにたむろし、大声で奇声を上げるなどの問題行動を繰り返していた。
男子児童が4年生になると暴行は更にエスカレートし、加害児童らは男子児童の顔付近を殴ったり、テストの採点用紙を奪って捨てたり、給食時には加害児童に「デブは食うなよ」と悪態をつきながら配膳し、おかずがほとんどないことも続いた。男子児童は被害を10回以上も担任の教師に訴えたが、「しつこい」などと言われて放置された。
男子児童は落ち着いてトイレに行けず、給食もまともに食べられない状態が続いたために早退が続くようになった。加害児童のグループから「階段から突き落としたい」と言われたこともあり、学校では常に背後を気にしながら行動せざるを得なかった。
男子児童の母親は事ある毎に学校へ被害を訴え、父親は校長に適切な対応をするよう手紙を書いた。しかし、学校側からは「小さないじめは自分で解決して欲しい」「◯◯(男子児童の名前)君には(いじめを受け流す)スルー力が足りない」など信じ難い言葉を受けたという。
保護者が加害児童への指導を求めて校長に訴えると、「加害者の親の町議とは近い関係なのでできない」と拒否された。また、別の町議に被害を相談すると、「息子さんのいじめのことはみんな知っているけど(親が有力者だから)きちんとした対応はしないだろう」という返答があった。
10月には町教委も保護者と面談するなどしたが、男児は2学期から学校を休みがちになり、11月下旬からは登校できなくなり、「ぼくはいじめられるために生きているんじゃない」と訴えたため、保護者は5年時の12月に町外の学校に転校させた。この間も保護者はいじめをやめさせるように求め続けたが、学校や町教委から加害児童への指導など必要な措置を講じた報告はなかった。町教委はこの間の欠席について「保護者からの転校の希望があり、実際に見学に行くなどと聞いていたため、いじめによる不登校の認識ではなかった」として、いじめ防止対策推進法に基づく対応はしなかった。町教委や学校の対応についても、「保護者に了解が得られたと考えており、重大事態として調査希望があることは4月になって把握した」としている。
2023年4月14日 学校の対応に不信感を抱いた保護者が、町にいじめの対応について情報開示請求をし、いじめ防止対策推進法に基づく調査を求めると、町教委は同日付で「重大事態」と認定した。町教委は「保護者が納得した上で選択した転校で、いじめだけが原因とは認識していなかった。」として、5月中にも外部の専門家らによる調査を開始することを決めた。
保護者は「町や学校は転校で問題を終わらせるのではなく、再発防止に向けての対応策を示してほしい」と訴えている。
5月23日 池田東一郎町長は6月定例会の行政報告の中で、町教委は保護者からの情報開示請求を受けて4月に「重大事態」認定を行ったが、「昨年後半に児童が学校を休みがちになった時点、または遅くとも町外に転校された時点で認定すべきだった」との認識を示し、今後、速やかに第三者委員会を設置し、対応の問題点を明らかにしていくとした。
参考資料
“いじめで小学生転校、保護者が訴え「重大事態」に 神奈川•大磯町” 朝日新聞 (2023年5月18日) 他