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福島市立小学校に通っていた男子児童は、5年生だった2018年(平成30年)4月から卒業直前の2020年2月まで、複数の同級生から悪口を言われたり無視されるなどの暴行を受けて6年の2学期から欠席がちになり、3学期の2月上旬以降は登校しないまま卒業した。男子児童は適応障害と診断され、現在も通院している。中学校進学後も不登校が続き、自傷行為を繰り返した。
男子児童は2020年8月19日に再び自死を図り、保護者が自死未遂事案の発生と第三者委員会設置の要望を福島市教育委員会に連絡したが、市教委は「重大事態に該当しない」として、第三者委員会の設置要請を拒否した。しかし、翌月に男子児童の自死未遂事案が新聞報道されたことを知った市長が、第三者委員会の設置を要望し、やむなく市教委は第三者委員会を設置して、男子児童の事案を重大事態と認めなかった市教委の当初の判断を誤りと認定する報告書をまとめた。
2022年10月末に、関係者に代わって市長と教育長が男子児童と保護者に謝罪し、関係者の処分を検討する他、慰謝料として市が180万円の解決金を支払うという内容でADR(裁判外紛争解決手続き)による和解が成立した。
事件の経緯と学校•教育委員会の対応
2018年4月(5年生)-2020年2月(6年生) 男子児童が複数の同級生から悪口を言われたり無視されるなどの暴行を受けた。男子児童は6年の2学期から欠席がちになり、3学期の2月上旬以降は登校できなくなり、そのまま卒業した。
2020年2-3月 学校の内部調査が行われ、いじめがあったと確認したものの重大事態ではないと結論付けられた。
男子児童は中学校に進学してからも不登校の状態が続き、自傷行為などもあった。男子児童は適応障害と診断された。
2020年8月19日 男子児童は再び自死を図った。保護者が自死未遂事案の発生と第三者委員会設置の要望を福島市教育委員会に連絡したが、1週間後に市教委は、「いじめた相手や時期、場所が具体的に立証されていない」「いじめと適応障害との因果関係が不明」であることを理由として、「重大事態には該当しない」ので第三者委員会の設置要請には応じられないと文書で回答した。
調査委員会
調査委員会の設置•調査内容
2020年8月に男子児童の保護者からの第三者委員会設置の要請を拒否した市教委であったが、9月18日に男子児童の自死未遂事案が新聞報道されたことを知った市長が第三者委員会の設置を要望したために、やむなく10月に第三者委員会を設置し、2022年2月に結果をまとめた。
調査報告書
2022年1月19日 「福島市内公立小学校で発生したいじめ重大事案の調査報告書」(PDF:3MB)
- 男子児童の事案を、生命や心身に重大な被害が生じた恐れがある「重大事態」と認めなかった市教委の当初の判断を誤りと認定した。
- いじめを児童間のトラブルと捉え、学校側の対応が遅れたことや、市教委の保護者への説明が不十分だったと指摘した。
2022年8月29日 「追加報告書(福島市内公立小学校で発生したいじめ重大事案)」(PDF:105KB)
- 男子児童の家族側が調査を希望しなかったかのように読める記述を修正した。
- 市長への聞き取りでは、事案の報告がなかったことが明らかにされた。
事件のその後
2022年7月 男子児童の保護者側は市や市教委に関係者本人の謝罪と処分などを求めたが、明確な回答が得られなかったため、県弁護士会の示談あっせんセンターにADR(裁判外紛争解決手続き)を申し立てた。
10月末 関係者に代わって市長と教育長が男子児童と保護者に謝罪し、関係者の処分を検討する他、慰謝料として市が180万円の解決金を支払うという内容で和解が成立した。保護者は市長から謝罪を受けた後、「納得しているわけではないが、長引かせることもできなかった」と語り、男子児童は「心の傷、治らない」と語った。
市長は、教育行政や児童福祉の専門家ら5人以内で構成する有識者会議の提言を得て、いじめ問題への対応を改める考えを示した。有識者会議は12月中にも設置し、半年程度での提言の取りまとめを期待している。また、処分対象者の検討はこれからとした。
関連資料
福島市のいじめ問題 市教委が保護者側に初めて謝罪(福島県)
出典:TUFchannel