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福岡県の私立沖学園の男子寮「隆徳館」の寮長(30歳代)は、2025年(令和7年)6月上旬、部屋のエアコンを切り忘れた寮生に対して至近距離からステンレス製のコップを右目付近に投げつけ、数針を縫う怪我を負わせた。一歩間違えば失明する危険性があった。6月16日にもエアコンを切り忘れた寮生2名に「お前ら今日中に殺すからな」とメッセージを送り、ビンタや蹴り、2人の頭をぶつけるなどして頭などに出血する怪我を負わせた。
当初、被害を受けた寮生らは「遠くにいる親に心配をかけたくない」と、暴言や暴行に耐えていたが、「寮長に殺されるかもしれない」という恐怖心から保護者に相談したことで、学校が事態を把握することとなった。寮長は学校の聞き取りに暴言と暴行行為を認め、6月17日付で解雇となった。
学校は事案発覚後に寮長を解雇したこと、被害生徒の保護者が警察に被害届を出したことなどを理由に、保護者らが求めていた寮長の謝罪や詳細の説明などを行わず、有耶無耶になろうとしていたが、8月末にメディアが2024年12月から2025年6月にかけて寮生10人以上に対して暴言や暴行を振るっていたという保護者の告発を報じたことで事態が一転し、学校側は事実を公表した。(2025年9月12日現在も被害生徒の保護者が希望している前寮長同席の説明会は行われていない。)
9月12日、福岡県警博多署は前寮長を生徒3人への傷害容疑で書類送検した。
事件の経緯
同校の男子寮「隆徳館」は学校の敷地内にあり、野球部、柔道部、ゴルフ部など約20人の寮生が生活している。8畳ほどの部屋で2名が生活し、食事などは広いリビングを利用している。寮には寮長が常駐していた。

画像出典:NEWSポストセブン1
2025年6月上旬、夜10時頃、寮生たちが部活動を終えて寮に戻ると、部屋のエアコンの電源を切っていなかったことを理由にリビングで寮長から注意を受けた。その時に、数名の寮生とテーブルで向かい合っていた寮長が突然、ステンレス製のコップを至近距離から投げ付け、そのコップがAさんの右目の横に直撃した。Aさんは流血するほどの怪我を負ったが、寮長は病院へ連れて行くこともなく、他の寮生が手当てをして一夜を過ごした。Aさんは翌日、右目付近に絆創膏をして登校し、異変に気付いた担任の教師が病院へ行くように伝えた。Aさんは目尻の部分が切れて数針縫う怪我を負い、「顔面挫創」と診断されたが、一歩間違えば失明する危険性があった。Aさんは両親に心配をかけたくないとの思いから、保護者に「夜に部活動で疲れて帰ってきて、寮の部屋で転んで机の角にぶつけた怪我だった」と電話で説明したという。

画像出典:NEWSポストセブン2
6月16日、寮生のBさんが部活終了後にスマホを確認すると、寮長を含む寮生のグループLINEに寮長から「(BとC)お前ら今日中に殺すからな」というメッセージが入っていた。Bさんは部屋のエアコンを消し忘れたかもしれないと思い、寮に帰ってすぐにCさんと寮長に謝りに行った。BさんとCさんは寮長に顔をビンタされ、頭を掴まれてお互いぶつけられた。Bさんは壁に頭を打ち付けられて、額の左上に傷を負い出血した。腹も殴られてふらつき、どこを蹴られたかも思い出せないくらい暴行は続いた。直後、BさんとCさんは寮生の間で「お仕置き部屋」と呼ばれている寮の2階にある暗い別室に連れて行かれ、正座をさせられて、椅子を投げ付けるような威嚇行為を受けた。更に寮長から、目の前にあった鋏を見せられ、「お前ら殺されんとわからんのか」と言われた。

画像出典:NEWSポストセブン3
Cさんは寮長のビンタを咄嗟に避けてしまったため、激昂した寮長に更に頭を殴られた。首を絞められて出血し、しばらくは首に痕も残っていた。寮長はBさんとCさんに「お前らチクったら(どうなるか)しらんからな」と脅して口封じもしていた。その夜にCさんの保護者は怯えた様子のCさんから電話を受け、Cさんは「部屋のエアコンを消し忘れて、寮長からボコボコにされて頭を切って出血している」と話し、すぐに顔の見えるビデオ通話に切り替えると顔の方も腫れていた。Cさんの頭には、皮膚がパックリと裂けた壮絶な暴行の痕が残されていた。Cさんは保護者に「首を絞められた時に、僕は死ぬと思った。その時は生きていたけど、寝たら寮長に殺されると思った。次の日の朝、僕は生きているかわからなかった……」などと伝え、BさんとCさんは怯えながら一晩を過ごした。

画像出典:NEWSポストセブン4
6月17日、Bさんの保護者は居ても立っても居られず、学校に連絡を入れて寮へ向かい、BさんとCさんを病院へ連れて行った。病院でBさんは頭部打撲傷•擦過傷•顔面打撲傷受傷、Cさんは頭部顔面打撲傷•右頸部擦過傷の診断を受けた。その時、寮のグループLINEに寮長が辞めるというメッセージが流れた。「詳細の説明もないままの学校の早過ぎる解雇処分は、まるで臭い物に蓋をするような違和感を覚え」たBさんの保護者は、病院から学校へ向かい、「息子や保護者たちに何も謝罪がありませんでしたが、前寮長本人はどう思っているのか」と聞くと、教頭は「前寮長に会いたいんですか?」と言った。Bさんの保護者は、会いたいとかではなく、なぜ、これほどの暴力を振るったのか、事態をどう受け止めているのかを本人から聞きたかったが、学校は「前寮長はもういないので安心してください」と繰り返すばかりで、寮内で何があったかを説明する様子はなかった。
寮長は学校の聞き取りに暴言と暴力行為を認め、6月17日付で解雇された。
学校は同日付で男子寮生の保護者らに向けて校長名で『男子寮における寮長の不適切な言動に関するお詫び』という文書を配布した。
6月17日、Aさんの保護者は学校からの連絡で、Aさんの6月上旬の目の怪我が寮長による暴力だったことを知った。Aさんの保護者は「寮長は6月17日付で解雇しました」「今からいろいろ聞き取りしていく」という感じの短い内容に驚き、寮生活を送るAさんに不安を抱いた。
6月18日、Aさんの保護者は学校に電話をして「被害届を出してほしい」と伝えた。
6月25日、Aさんの保護者が学校に電話をすると、Aさんは警察署で聴取を受けて、学校にも警察が聞き取りを行ったことを知った。Aさんの保護者は、事案の経緯や調査状況、前寮長のことなど「また連絡があったら教えてください」と学校に伝えた。
当初は学校も謝罪をしており、迅速な対応に信頼していたAさんの保護者だったが、その後は学校から調査の進捗や経緯の説明もなく、「学校から誠意ある説明が今もないのは、生徒ではなくて、学校や自分たちを守るためにうやむやにしようとしているのではないかと思ってしまいます。寮長の暴力行為について、学校側がどのような調査を行い、どのような事実確認をしたのか、第三者に調査を依頼しているのか否か、まったく説明がありません。事案は公にされることなく、文書1枚だけで保護者説明会も開かれていません。加害者を許すことはできず、子どもは精神的なストレスを抱えたまま今も寮生活を続けています。学校の対応には不信感を感じています」と話している。

画像出典:NEWSポストセブン5
前寮長とその妻の前寮母は、解雇直後にグループLINEに「みんな大好きだったぜ バイバイ」というメッセージを送信した。その後、前寮長は地元に戻って優雅にSNSの投稿をしており、Bさんの保護者は「反省の様子も感じられません。子どもたちの心は完全に潰されてしまいました」と話している。また、Cさんの保護者も「前寮長からは反省のかけらも見受けられません。解雇されて寮を出て行く当日、コーチと笑顔で談笑していたそうです。子どもたちは今も精神的に不安定になっています。ある寮生からは『なぜ暴力をふるった前寮長は逮捕されないのか?』と聞かれ、返す言葉が見つかりませんでした」と話している。
7月4日、BさんとCさんの保護者は学校に行き、事案が発覚した翌朝に実施されたという寮生全員へのアンケート用紙を目にした。アンケートは寮生全員が回答しており、20人の寮生のほとんどが県外出身で、前寮長から道路で殴られた子、食事中に椅子が飛んできたことなど10人を超える寮生が暴言や暴行を受け、「遠くにいる両親に心配をかけたくないから言えませんでした」と書いていた。保護者が教頭に「暴言や暴力を受けた他の生徒さんたちはこのことを知っていますか?」と聞くと、「文書でお知らせはしていますけど、連絡をしていません」と言われた。保護者は「文書は暴力で前寮長が解雇されたと書かれていただけで、詳しい内容はわかりません。親に心配をかけたくないと記入している子どもたちのためにも学校から適切に伝えるべきです」と教頭に話した。
同寮にはBさんとCさんの所属する部活のコーチが住み込みで常駐していたが、コーチは前寮長の暴言や暴行を「まったく知らなかった」とBさんとCさんの保護者に答えている。
保護者らは学校に前寮長本人の謝罪の場と、保護者説明会を求めているが、学校はどちらも「無理です」と拒否している。
学校は事案発覚後に寮長を解雇したこと、被害生徒の保護者が警察に被害届を出したことなどを理由に、保護者らが求めていた寮長の謝罪や詳細の説明などを先送りにしていた。2か月経っても保護者説明会が開かれることもなく、有耶無耶になろうとしていたが、8月末にNEWSポストセブンが2024年12月から2025年6月にかけて生活態度の改善を指導する際に寮長が寮生に対して暴言及び暴行などの行為を行っていたという保護者の告発を報じたことで事態が一転し、学校側は事実を公表した。
報道を受けて、同校はホームページで《本校男子寮において元寮長による暴力行為を含めた不適切な言動があった事案が確認されております。被害にあわれた生徒及び関係者各位に深くお詫び申し上げます》と、謝罪した。
9月12日、福岡県警博多署は前寮長を生徒3人への傷害容疑で書類送検した。
被害生徒の保護者は「昨日、警察から前寮長を書類送検したと連絡がありました。早く取り調べて、とにかく厳罰を受けてほしいという思いです。9月13日に保護者説明会が行われますが、前寮長が同席するかはわかりません」と話している。
また、怪我を負った被害生徒は保護者を通じて「(前寮長には)刑務所に入って罪を償ってほしいです」とコメントしている。
前寮長がなぜ、これほどの暴言と暴行に及んだのかを知るためにメディアは本人に取材を申し込んだが、「申し訳ございませんがお答えする事はできません」と拒否された。
メディアは同校に前寮長のLINEでの発言、住み込みで常駐していたコーチの存在、被害生徒や保護者が要望する前寮長同席の保護者説明会の実施などについて問い合わせたが、「前寮長が、エアコンをつけたまま登校した生徒に対し、当該表現によるメッセージを寮生のグループLINEに送信したことは事実です。男子寮にコーチが住んでいるのは事実ですが、寮の構造上、同コーチの部屋では食堂での声等は聞こえず、また、本件以前に寮長の暴言、暴行に関する申告もなかったので、本件を含む前寮長の非違行為について把握致しておりません。(保護者説明会については)被害にあわれた方の保護者には個別に対面での説明をします。その他の寮生の保護者は遠方であるため、オンラインでの説明を実施する予定です」として、保護者説明会の実施には前向きな対応を示したが、前寮長の同席と謝罪については明言はなかった。これに対して、被害を受けた保護者は「前寮長が来る前までは、皆、平穏な寮生活を送っていました。前寮長が子どもたちの人生を一変させたのです」と悔しさを滲ませている。
主管する福岡県の私学振興•青少年育成局 私学振興課は同校の事案について、「被害生徒の心のケア、再発防止など、学校として責任をもって適切に対応していただきたい」と答えている。
沖学園高等学校はゴルフ界の名門校で、数多くのプロゴルファーを輩出している。同校硬式野球部派甲子園出場経験もあり、多くのプロ野球選手を輩出し、柔道部ほか全国レベルのクラブ活動が盛んである。
寮長はプロのダンサーでレゲエバンドのメンバーとして活動しており、同校のダンス部でもダンスを教えていた。同校は「2023年7月頃、ダンス同好会のコーチが他学校での指導となるために退職するので、同人の先輩の夫である寮長がダンス指導ができるので紹介を受けた。学校側は同年8月以降、週に2、3回、1回2~3時間の指導で契約した。」と話し、2024年4月以降は寮長の妻が教員免許を持っていることから、彼女を入試広報の業務に従事する臨時職員として採用した。夫婦で学校にかかわる中で、前任の70歳代の寮長が退職したことで、夫妻が立候補する形で同年7月1日から住み込みの寮長となったという。2024年秋頃、寮長は寮生が使用する食堂等での酒盛りパーティーは認められていないにもかかわらず、寮内で友人たちと飲酒を伴うパーティを開催していたが、本件被害生徒の保護者から指摘されるまで学校側は事態を把握していなかった。
参考資料
“《ゴルフの名門•沖学園高等学校で複数の暴力事案が発覚》激怒した寮長の投げた金属製コップが生徒の目元に直撃…流血で数針縫うケガ” NEWSポストセブン (2025年8月28日) 他
- “《みんな大好きだったぜ バイバイ》暴力事案で揺れるゴルフの名門•沖学園、解雇寮長が寮生に送った反省なしの「お別れメール」と地元に戻ってSNS投稿の日々” NEWSポストセブン (2025年9月8日)
- “《みんな大好きだったぜ バイバイ》暴力事案で揺れるゴルフの名門•沖学園、解雇寮長が寮生に送った反省なしの「お別れメール」と地元に戻ってSNS投稿の日々” NEWSポストセブン (2025年9月8日)
- “《みんな大好きだったぜ バイバイ》暴力事案で揺れるゴルフの名門•沖学園、解雇寮長が寮生に送った反省なしの「お別れメール」と地元に戻ってSNS投稿の日々” NEWSポストセブン (2025年9月8日)
- “《みんな大好きだったぜ バイバイ》暴力事案で揺れるゴルフの名門•沖学園、解雇寮長が寮生に送った反省なしの「お別れメール」と地元に戻ってSNS投稿の日々” NEWSポストセブン (2025年9月8日)
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