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岡山県の矢掛町立矢掛中学校に通っていた女子生徒は、自閉症スペクトラム障害で制服を着ることに抵抗があり、中学校に私服での登校を求めたが認められず不登校になった。
2025年9月19日、岡山地裁は、「私服の着用を不許可としたのは合理的な配慮を欠いた違法行為に該当する」として、町に33万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
民事損害賠償請求訴訟
提訴
女子生徒は障害を理由に中学校に私服での登校を求めたが認められず不登校になり、教育を受ける権利を違法に侵害されたとして、町を相手取って慰謝料など330万円の賠償を求めて提訴した。
一審判決
2025年9月19日、岡山地裁(溝口優裁判官)は、「私服の着用を不許可としたのは合理的な配慮を欠いた違法行為に該当する」として、町に33万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
判決では「校則の定めが違法となるのは、校則が社会通念に照らして著しく合理性を欠き、不当ないし不適正である場合である」としたうえで、制服の着用を求めることは「社会通念に照らして著しく合理性を欠いたものではないが、障害などのやむを得ない理由で制服を着用できない生徒にも教育を受ける機会が確保されるよう配慮することが求められる」と指摘した。
そのうえで、女子生徒には感覚過敏を伴うことがある自閉症スペクトラム障害などがあり、制服に対する拒否的反応は障害に由来し、制服を着用できないのはやむを得なかったと認定した。女子生徒が着用を求めた私服は小学校の時の制服と同じような白のポロシャツとスカートで、他の生徒に悪影響を与えるような服装ではなく、学校側に私服の着用を認めなかったことは「合理的な配慮を欠いた違法行為」だとした。
その一方、女子生徒が不登校となったのは、制服の着用が主な原因ではなく、障害やそれに起因する可能性のある生活習慣の乱れなどにあったとし、「制服着用の免除をしなかったことは登校することへの心理的障壁の一つに過ぎず、中学校の違法行為は、原告の教育を受ける権利を侵奪したとまで評価することはできない」ともした1。
- “自閉症スペクトラムの生徒に私服登校認めず 「配慮欠き違法」と地裁” 朝日新聞 (2025年9月19日)