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2017年(平成29年)4月26日、宮城県の仙台市立折立中学校の男子生徒(中学2年生•13歳)は、同級生から「くさい」「頭悪い」などの暴言を吐かれたり、机に「死ね」と書かれたり、ズボンを下げられるなどの暴行を受けたことを苦にして、高層マンションから飛び降り自死した。
男子生徒は2016年6月と11月の2回のいじめアンケートで、暴言やズボンを下げられるなどのいじめを同級生から受けていると訴えていたが、学校は「加害生徒は悪いが、男子生徒にも悪い点がある」との認識で適切な対応をしなかったばかりか、複数の教師は大声を出した男子生徒の口に粘着テープを貼ったり、居眠りした男子生徒の後頭部を拳骨で叩くなどの暴力的指導を行っていた。
学校や市教委は自殺直後はいじめの事実を否定していたが、男子生徒の机に「死ね」と書かれたことも判明し、一転していじめを認めた。
2019年8月9日、調査委員会はいじめを中心に、学校側の対応の不十分さなど複数の要因が自殺につながったと結論付けた。複数の教師による男子生徒への体罰は「いじめを許容する雰囲気を助長した」と認定し、後頭部を拳骨で叩いた体罰は自殺の前日に行われており、自殺に「心理面に影響を与えた可能性を否定できない」と指摘した。
調査委員会
調査委員会の設置•調査内容
仙台市教育委員会は第三者の調査委員会を設置して、事実関係の確認を進めるとした。
2017年3月末から4月上旬にかけて、市教委の第三者機関「いじめ問題専門委員会」の委員6人中5人が相次いで辞任した。
同年5月15日と6月14日、遺族は①半数を遺族側が要望した団体から推薦を得た者とすること②遺族の推薦する3団体(精神保健福祉などの分野)が推薦する有識者を委員として選任することを要望した。
同年9月11日、メンバー決定後、初めての会議を開き、遺族推薦の委員について検討した。遺族の要望を受けて、通常の委員に加え臨時委員を置くことを決定した。
2018年7月28日(第7回) 正副委員長の選出を行った。
2019年1月29日、途中経過を遺族に報告した。
調査委員
2017年9月11日
委員長:川端壮康(たけやす)尚絅学院大教授
副委員長:高橋達男宮城県社会福祉士会会長
委員:伊藤佑紀(ゆうき)弁護士
大塚達以(たつい)精神科医
その後,遺族から推薦を受けた「自死遺族連絡会」の代表ら、新たに3人の臨時委員が加わる。
2018年7月28日、正副委員長を選出する。
同年8月7日 現在7名
委員長:川端壮康(たけやす)尚絅学院大教授(臨床心理士会推薦)
副委員長:大塚達以(たつい)精神科医
委員:伊藤佑紀(ゆうき)弁護士(仙台弁護士会推薦)
大久保さやか弁護士(みやぎの萩ネットワーク推薦)
神(じん)春美人権擁護委員(仙台法務局推薦)
高橋達男宮城県社会福祉士会会長(宮城県社会福祉士会)
田中幸子(さちこ)全国自死遺族連絡会代表理事(全国精神保健福祉連絡協議会推薦)
調査報告書•その後
2019年8月9日、調査委員会は答申を提出し、同級生からのいじめを中心に、学校側の対応の不十分さなど複数の要因が自殺につながったと結論付けた。
いじめの加害生徒6人を特定し、匿名で明記した。「くさい」「頭悪い」といった暴言を受けたり、机に「死ね」と落書きされていたなど、8件の事案をいじめと認定した。一部の生徒がいじめを繰り返していた。
男子生徒は複数の教員にいじめを再三訴えたが、学校は「加害生徒は悪いが、男子生徒にも悪い点がある」との認識で、双方を諭すだけだった。
別々の教諭による「大声を出した男子生徒の口に粘着テープを貼った」「居眠りした男子生徒の後頭部をげんこつでたたいた」の2件を体罰と認定し、「いじめを許容する雰囲気を助長した」とした。
粘着テープの事案は「周囲の生徒に、いじめは許されるとの誤ったメッセージを伝えた可能性」があるとした。自殺直前のきっかけは特定しなかったが、げんこつは自殺の前日で、「心理面に影響を与えた可能性を否定できない」とした。
繰り返し被害を訴えても学校側の効果的な指導や介入がなく、男子生徒が無力感を強めたと分析し、自殺は「いじめを中心として、学校の指導や保護者との連携不足など複数の要因が相互に関連した」と結論付けた。再発防止へ、学校内での情報共有態勢の強化やスクールカウンセラーの積極的な活用を提案した。
遺族は「納得できる内容で、亡き息子に良い報告ができる。大切な命を奪ういじめは、もう絶対にあってはいけない」とのコメントを出した。