東北町立上北中学生自死事件

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2016年(平成28年)8月19日、青森県上北郡の東北町立上北中学校の男子生徒(中学1年生•12歳)は、他の生徒から「汚い」と暴言を吐かれてばい菌扱いされたり、机を叩かれたりするなどの暴行を苦にして自死した。
また、学級担任は特定の同級生を男子生徒の後ろの席にし、授業に集中していなければ注意するように「支援」を頼んでおり、これを受けて同級生は男子生徒の椅子を何度も蹴っていた。男子生徒は椅子を蹴られるのが「嫌だ」と何度も伝え、学校側もいじめと判断していたが支援を中止せず、再調査委員会は「支援」が自死事件の端緒になったとして自殺との因果関係を認め、「支援さえなければ自死しなかったのではないか」と結論付けた

2018年3月9日、再調査委員会は男子生徒が書き置きに「(自殺は)いじめが一番の原因」と記し、いじめに関わっていたとする生徒の名前も残したにもかかわらず調査委員会が「確認できなかった」としていじめと認定しなかったことと、調査委員会が自殺の一因に「本人の特性」や「思春期の心性」などを挙げて「様々な背景が複合的に関係していた」と結論付けたこと、男子生徒が亡くなる3か月前に行われたいじめに関するアンケートが破棄されていた問題について厳しく批判した。

事件の経緯

2016年6月1日、家族に席替えで席が近くなった同級生から嫌がらせを受けていると話していた男子生徒は、担任との面談で、特定の同級生と席が近いことについて「嫌だ」と訴えていた。

6月13日、男子生徒の母親は学校を訪れ、生徒が「死にたい」「(自分が)死んじゃえばいい」と漏らしていることを担任に伝え、その上で席替えを求めたが、担任は「定期テストが終わるまではできない」と説明し、同月30日まで席替えをしなかった。(学校は8月24日の保護者説明会で、男子生徒の母親からの「特定の生徒が授業中、息子の椅子を蹴る」などという電話での相談に対して、6月中に生徒と同級生の双方から事情を聴いたが、具体的なトラブルは把握できないとして同級生への注意などはせず席替えなどで対応したと説明した。町教育委員会には席替えをしたことなどを理由に、解決済みのトラブルとして報告していた。)

8月19日午前5時半頃、男子生徒が自宅敷地内の小屋で首を吊って自死を図り、意識不明になっているのを父親が発見した。男子生徒は搬送先の病院で死亡が確認された。生徒が書いたとみられる「学校に行きたくない」という趣旨の遺書らしきメモが小屋に残されていた。
学校は21日まで夏休みで、男子生徒は休み中、所属する陸上部の部活動や地域の祭りに参加するための練習をしていたという。自死したのは2学期が始まる3日前だった。

8月22日、学校は臨時集会で男子生徒の死亡を報告し、全校生徒に学校生活やいじめの有無などについて尋ねるアンケートを実施した。

8月24日、男子生徒の両親が自宅で生徒の遺品を整理した際、小屋にあったメモとは別に遺書とみられる書き置きを見つけた。はがき大の用紙5~6枚で、両面に男子生徒の直筆とみられる文章が綴られていた。「いじめがなければもっと生きていた」との趣旨の記述や、いじめに関わったとする生徒の名前があったという。両親は書き置きの写しを県警に提出した。遺族は取材に「いじめをしたという生徒は、自分から名乗り出てほしい」と話した。
同日、学校は保護者説明会を行い、中村広美校長は「命を守れず痛恨の極み。誠意をもって対応する」と述べた。

同じ青森県内では、この6日後の25日にもいじめ自死事件(青森市立浪岡中学生自死事件)が起きている。

調査委員会

調査委員会の設置•調査内容

2016年9月2日、東北町教育委員会は、第三者でつくる付属機関「東北町いじめ防止対策審議会」を組織し、いじめの有無に関する事実関係と死に至った過程や背景、再発防止策の3点について、審議会に諮問した。

2016年9月12日、町教育委員会が調査部会を設置。
調査部会長の栗林理人弘前大学特任准教授は、いじめを苦に自殺するとの男子生徒の書き置きなどを根拠に、「いじめはあったと断定できる」との見解を記者発表した。
調査部会は、関係する生徒や教員からの聞き取りなどで、具体的ないじめの内容や自殺との因果関係を調べる。

9月17日、調査部会は遺族と初めて面会し、生育環境や生徒が抱えていた悩みについて聞き取りをした。遺族によると、調査部会の委員1人が約2時間にわたり生徒の両親と面会し、幼少時からの生活や子育ての仕方などについて質問したという。

審議会12回。調査部会11回。

調査委員

審議会委員 計6人
審議会長:荒谷国人 元小学校長•大学特任准教授
審議会長職務代理者:梁田(やなだ)兼男 学識経験者
委員:野田勲 中学校退職校長
中村祐子 スクールカウンセラー(東北町審議会運営規則第3条第2項により全審議会を欠席)
蛯澤孝義 人権擁護委員
乙供房子 学識経験者

委員として各分野の専門家らを加え、それぞれの見地からの意見も聞く。

2016年9月12日、2回目の審議会で、臨床心理士など3人の臨時委員を新しく加え9人の委員で本格的な調査に入った。
臨時委員:栗林理人弘前大学大学院医学研究科付属子どものこころの発達研究センター特任准教授•医学博士
委員:藤林正雄青森大学社会学部社会学科教授
足立匡基弘前大学大学院医学研究科付属子どものこころの発達研究センター特任助教•博士(人間科学)臨床心理士
村田典子青森県弁護士会弁護士(第5回審議会及び第4回調査部会(10/24)より参加)

調査報告書•その後

2016年12月26日、教育長に答申した。
調査委員会は、審議会は男子生徒に行われた行為のうち一部の生徒から「汚い」と言われていたほか、ばい菌扱いされたり机を叩かれたりするなど6項目中3項目をいじめと判断し、いじめが自殺の一因であると認定した。また、男子生徒が特定の同級生に後ろから椅子を何度も蹴られることを「嫌がらせ」と訴えていたことについて、学級担任が同級生に「男子生徒が授業中に集中していない時などに合図を送る」よう依頼していたとし、これも自殺の一因になったとした。
一方、繊細でこだわりがあるといった生徒本人の特性や思春期の心性、小規模な小学校から規模の大きい中学校へ進学したことによる環境の変化への戸惑いなどを抱えていたとみられることを挙げ、自殺はいじめ以外にも「様々な背景が複合的に関係していた」とした。また、男子生徒はある生徒から「クズ」と言われたことをメモに残していたが、審議会はこの部分を「確認できなかった」としていじめと認定しなかった。
学校側の対応に関しては、男子生徒が5月以降、同級生らに「死んじゃえばいいんでしょ」などと話していたことを担任教諭は把握していたが校長らには伝えておらず、「学校は深刻な認識を持てなかった。生徒のサインを適切に受け止める必要があった」と指摘した。

同日、取材に応じて遺族は、いじめの実態解明が不十分として「納得していない」と話し、再調査を求める意向を表明。男子生徒の母親は報告書について「いじめの加害者を擁護しすぎではないか」「調査は学校への配慮が優先され、真実にたどりつけたとは思えない」と不満を漏らした。同校の中村広美校長は「死をほのめかした発言に対する認識が甘かった」と述べた。

再調査委員会

再調査委員会の設置•調査内容

2017年1月11日、男子生徒は書き置きに「(自殺は)いじめが一番の原因」と記し、いじめに関わっていたとする生徒の名前も残したが、調査報告では書かれていた生徒によるいじめは認められなかったため、両親が「納得がいかない」として再調査を要望した。

2017年1月25日、町は再調査を決定した。
2017年3月27日、町いじめ問題再調査委員会が発足した。
再調査委員会が、学校が、男子生徒自殺3か月前の5月に全校生徒に行ったいじめに関するアンケートの回答を破棄していたことを把握した。
学校は「いじめを訴えた生徒はいなかった」「破棄した時期もわからない」と説明した。町教委は、アンケートは保存義務がある公文書には当たらないと判断し、学校に管理を任せたとしている。
一方母親は、自宅で生徒がアンケートに記入している姿を見ており、「悪口、からかい」の項目に印をつけていたという。

計20回の委員会 中学校や小学校、同級生ら約20人に聴き取り。

調査委員

大学教授、臨床心理士、社会福祉士、弁護士の4人
委員長:久保富男青森中央短期大学教授
木下晴耕弁護士

調査報告書•その後

2018年3月9日 答申
中学校は特定の同級生を男子生徒の後ろの席にし、授業に集中していなければ注意するよう「支援」を頼んでいた。これを受けて同級生は男子生徒の椅子を何度も蹴っていた。再調査委はこの行為を「いじめ」と新たに認定し、自殺との因果関係を認めた。支援を男子生徒や両親に伝えなかったことで、男子生徒が混乱したとして「本件発生の端緒になった」と判断した。
また、男子生徒は椅子を蹴られるのが「嫌だ」と伝え、中学校側はいじめと判断していたにもかかわらず、支援を中止せず、いじめ対策の会議の開催や町教委への報告も怠った。これを「致命的なミス」と指摘し、「支援さえなければ自死しなかったのではないか」と結論付けた。
いじめ防止対策審議会が16年12月に答申した報告書は、自殺の一因に「本人の特性」 や「思春期の心性」などを挙げていたが、再調査委はこれを「主観的」だとし、「推測の域を出ず、妥当でない」と批判した。亡くなる3か月前に行われたいじめに関するアンケートが破棄されていた問題も「猛省すべきだ」とした。

また、中学校の教頭が前回の報告書の内容を把握していなかったことも判明した。

参考資料

青森県東北町•町立上北中学校いじめ自殺地上の涙

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