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2013年(平成25年)5月7日、広島県の廿日市市立中学校の女子生徒(中学3年生•14歳)が、自宅で自殺を図り、翌8日に死亡した。遺書には自殺の原因について書かれていた。
女子生徒の自死から5日後、同じ部活動をしていた生徒たちが顧問教諭に対し「部内で女子生徒を仲間外れにするなどのいじめがあった」と報告をした。顧問が詳しい事情を聞き、生徒の帰宅が遅くなったため、その日の夜、報告をした生徒の保護者に複数の教諭が電話で事情を説明した際、「今の段階では、いじめを見たことを広めないでほしい」と要請した。
遺族が事実解明のために市教委に提出した女子生徒の手書きのメモが約3か月間放置され、調査委員会に提出されていなかったことが判明した。
2013年11月16日、市教委が設置した調査委員会は、女子生徒の友人への聞き取りなどを実施した結果、「悪口を言われたり、仲間はずれにされており、いじめの可能性は否定できない」とした。一方、「いじめが自死に至る精神的苦痛を招いた大きな誘因であることは間違いないが、自死の原因のすべてをいじめに求めることはできない。」とした。
事件の経緯
2013年2月、市教委によると、女子生徒から担任を含め複数の教師に、生徒間の「学校生活で日常的に起こりうる事案」の相談が寄せられていた。また、女子生徒は4月に2日間、5月は事件当日に学校を休んでいた。同中学では、1月に全校生徒向けのいじめアンケートを実施したが、女子生徒は「私はいじめを受けている」の設問に「いいえ」と回答していた。
5月7日午後6時半頃、女子生徒が自宅で首を吊っているのを家族が発見した。
女子生徒は病院に搬送されたが、翌8日未明に死亡した。
5月12日、女子生徒と同じ部活動をしていた生徒たちが顧問教諭に対し「部内で女子生徒を仲間外れにするなどのいじめがあった」と報告をした。顧問が詳しい事情を聞き、生徒の帰宅が遅くなったため、その日の夜、報告をした生徒の保護者に複数の教諭が電話で事情を説明した際、「今の段階では、いじめを見たことを広めないでほしい」と要請した。(この件について、市教育委員会は9月10日の記者会見で、「インターネットでうわさ話が流れ、混乱しないようにするためで、隠す意図はなかった」と説明した。)
8月19日、市教育委員会の調査委員会は記者会見し、「女子生徒へのいじめがあった可能性は否定できない」と指摘した。
8月29日夜に開催した保護者説明会で、学校は「いじめがあった」と初めて認め、遺族に謝罪した。
9月15日、遺族が事実解明のために市教委に提出した女子生徒の手書きのメモが約3か月間放置され、調査委員会に提出されていなかったことが判明した。
市教委によると、女子生徒のメモは2枚あり、亡くなった後に自宅で見つかった。部活動の顧問宛てで、部内の人間関係に悩んでいることを記していた。遺族が5月20日頃、学校を通じて市教委にコピーを渡したが、7月末に調査委の資料を閲覧したところ、メモがないことに気付き、市教委に指摘した。市教委は8月19日の調査委に提出した。市教委は取材に「担当者が他の資料と一緒にファイルに挟んだままにしていた」と説明している。奥典道市教育長は「調査に必要な文書はすべて提出するのが当然。メモを保管したままだったのは大変申し訳ない」と話した。
調査委員会
調査委員会の設置•調査内容
2013年5月24日、市教委が遺族からの強い要望で、外部有識者を含めた「生徒の死亡に係る調査委員会」設置した。
①本件発生の経過と背景等について分析すること、②本件発生に関わる当該校及び市教委の課題を明らかにすること、③再発防止に向けた提言を行うこと。
計11回開催。
調査委の委員長を務める奥典道教育長は会見で、これまでに女子生徒の友人への聞き取りなどを実施したことを明らかにした上で「悪口を言われたり、仲間はずれにされていたりしており、いじめの可能性は否定できない」と見解を述べた。
同級生の女子生徒(15歳)は「明るくて、誰とでも親しくできる子だった。信じられない」と肩を落とした。同級生の保護者は「なぜこうなったのか、真実を明らかにしてほしい」と全容解明を求めた。
調査委員
委員7名
委員長:奥典道教育長
副委員長:広島大学名誉教授(教育•社会心理学)
委員:市公立中学校校長会会長•同中学校校長
大学教授(臨床心理学)
看護大学教授(精神看護学)
大学教授(教育心理学)
いのちの電話理事•心理教育相談室室長(臨床心理学)
調査報告書•その後
2013年11月16日 36頁
女子生徒の友人への聞き取りなどを実施した結果、女子生徒が同級生から受けた悪口など一連の行為をいじめと認定し、「自死に至る大きな誘因」とする調査報告書をまとめ、市教委などに提出した。
報告書は、2年生から始まった部活動の同級生による悪口や仲間外れなどが女子生徒を追い詰めていったと指摘した。一方で、「自死の原因のすべてをいじめに求めることはできない」とした。
同日記者会見した遺族は、「報告書を活用し、学校をよりよくするために受け取ることにした。一区切りではあるが、ゴールではない」と語った。父親は、周囲の生徒がいじめに気付いていたにもかかわらず、相談を受けた教師にその認識がなかったことについて、「親にも責任はあるが、校内で起きたことに気付けなかった学校も、原因の中で大きなウェートを占めるのではないか」と強調した。その上で、「先生個人を責めても解決しない。学校態勢に不備がなかったのか、(地域も含めた)みんなで話し合っていきたい」と述べた。母親は女子生徒が亡くなる直前に残した「他にもいじめられている子がいる。その子を助けたい」という言葉を紹介し、「100%の報告書を求めるよりも、不足ながらも公になることで、問題意識を持って、今、いじめられている子を助けられれば」と涙を堪えながら語った。
市教委の大西利武教育委員長は「教育行政に生かすよう、できるだけ早く対応したい」と話した。
参考資料
“広島県廿日市市•市立中学校いじめ自殺” 地上の涙 他