Is info on this listing outdated? Are you owner of this business? Register and claim it now.
2018年(平成30年)12月5日未明、千葉市立柏高等学校の吹奏楽部に所属していた男子生徒(高校2年生)は、校舎から転落して死亡した。
2022年3月 調査委員会は、部活動の長時間練習が自殺の背景にあるとする報告書をまとめた。
事件の経緯
2018年12月5日 千葉県柏市立柏高校の吹奏楽部の男子生徒が、未明、同校の中庭で頭から血を流して倒れた状態で警備員に発見され、死亡が確認された。
2019年1月 市教委は、「いじめと体罰は確認できなかった」とする調査結果を遺族に報告。
父親は「息子は平日は7時間、土日祝日は12時間練習していた。2年生になってから休みは2日間だけ。それなのに報告では息子に何が起きたのか十分な回答がなかった」と話している。
同校は生徒数957人。吹奏楽部には200人超が所属し、全国大会の常連校として知られ、金賞も多数獲得している。
調査委員会
調査委員会の設置•調査内容
父親は、「所属していた吹奏楽部の厳しい練習や顧問の指導で過労自殺に至った可能性がある」として、第三者委員会の設置を求めた。
2019年12月12日 柏市は、医師や弁護士らで構成する第三者委員会を設置して調査することを発表。第三者委は、教師の行き過ぎた指導がなかったかについても調べる。
調査委員
5名
会長:福原亮(弁護士)
副会長:安達和志(神奈川大学教授)
委員:阿部惠一郎(医師)
細井尚人(医師)
宮野モモ子(千葉大学名誉教授)
報告書
2022年3月25日 調査委員会は、自殺の原因は不明だが、「生徒は学業不振、異性問題、教職員からの指導、いじめという複数の悩みを抱えるなか、吹奏楽部の長時間練習が続き、精神的な余裕を失い自殺に至った」と結論付け、部活動の長時間練習が自殺の背景にあるとする報告書をまとめた。それによると、当時の吹奏楽部の練習時間は平日約5時間半、休日約11時間。休養日は月平均1.5日だった。(国の部活動ガイドラインは、活動時間は長くても平日2時間程度、休日3時間程度で、週2日以上の休養日を設けるとしている。)
また、事件直後から部員の意向を聞かずに練習や演奏会活動を再開し、生徒の家族へ配慮に欠ける対応をした他、第三者による検討委員会の設置をなかなか行わなかったことなどの問題点を指摘した。
柏市いじめ重大事態調査検証委員会は、「不開示情報が含まれる事項についての調査、審議及び検証を公開すると、配布資料、委員の発言等から、不開示内容が明らかとなるため」という理由により、事案に係る個人の行動や心理に係る調査、及び検証を非公開とした。
事件のその後
2024年5月2日 報告書を受けて柏市は2023年4月に部活動方針を改め、「適切な活動時間」を定めたが、その内容が平日は3時間以内、休日6時間以内、休養日は平日週1日以上•週末月2日以上との内容で、ガイドラインより活動時間は長く休みは少ないことを問題視した遺族側が市に話し合いを求めたが、市が応じないことから、活動時間や休養日の基準を定めた国の「部活動ガイドライン」の順守などを柏市や全国の自治体に指導するよう、文部科学省に申し入れた。また、申し入れ書では、柏市に対し、遺族への謝罪や協議再開をするよう指導することも文科省に求めている。
参考資料
“毎日練習5時間半…強豪吹奏楽部の男子部員は命を絶った 以後も活動時間上限の目安がゆるい柏市に遺族は” 東京新聞 (2024年5月2日)