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2020年(令和2年)6月22日、北海道の登別市立鷲別中学校に通う男子生徒(中学1年生•13歳)は、所属するサッカー部員からのいじめを苦にして、朝、登校時に自死した。
2021年3月22日 第三者委員会は、運動の部活動で受けたからかいなどをいじめと認定し、いじめに加えてコロナ禍での生活などによる不安な心理などの内的要因が影響して自殺に至ったとした。
事件の経緯
2020年6月18日 男子生徒は腹痛を起こして保健室に行き、養護教諭に「部活で疲れている」「人間関係です」と話したが、養護教諭は担任や校長には伝えなかった。(後に校長は「生徒のサインを見逃した」と謝罪している。)
6月22日 午前8時半頃、男子生徒は自宅がある道営住宅の敷地内で倒れているのが見つかり、間もなく死亡が確認された。現場の状況から4階付近から転落したとみられている。
遺書はなかったが、現場に遺されたスマートフォンに、「部活を休むのであれば筋トレを30分やれ、それを動画で送れと…」などとサッカー部員から筋トレを強要されるやり取りがあった。
6月23日(通夜前日) 校長の立ち会いの下、母親が部活の生徒たちと会い、「なぜいじめたのか」などと問い詰めたが、生徒たちは「からかったけど、いじめていない」と答えたという。
6月24日 市教委は、全校生徒292人を対象に記名式アンケートを実施した。同じ部活の生徒から体形の特徴や運動能力についてからかわれていたことを確認した。
(母親は男子生徒が悩んでいることに気づいていなかった。母親によると、死後、生徒のスマートフォンを見て、部活のグループLINEで筋トレをしている動画を送るように指示され、体形について書かれていたことを見つけたという。更に、オンラインゲームの対戦相手に「相談できる相手もいないし、つらい」と悩みを打ち明けていた。)
校長によると、男子生徒の性格は「誰とでも分け隔てなく付き合える子。休み時間には自然と友達が集まる明るい人柄だった」というが、部活の仲間との関係で悩んでいた。
調査委員会
調査委員会の設置•調査内容
男子生徒の母親が「長男はいじめで自殺した」と学校側に訴えたことなどから、市教委は2013年施行のいじめ防止対策推進法が定める重大事態に当たると判断し、学識者や弁護士らで構成する第三者委員会を設置し、いじめの有無と学校や市教委の対応、再発防止策について検討を求めた。
同委員会は、2020年7月から2021年3月に関係者の聞き取り調査などを進めた。
2020年7月22日 第1回目
市教委によると、生徒は事前に悩みを教員に相談しており、学校側の対応も調べるとした。
調査委員
5人
会長:竹内亮平(精神保健福祉士)
副会長:水上志子(臨床心理士)
委員:増川拓(弁護士)
阿知良洋平(室蘭工業大講師)
皆川夏樹(登別市PTA連合会理事)
調査報告書•その後
2020年7月 「登別市立中学校における重大事態の再発防止策について」(PDF:831KB)
2021年3月22日 第三者委員会は生徒が自殺したとの見解を示した上で、運動の部活動で受けたからかいなどをいじめと認定し、いじめに加えてコロナ禍での生活などによる不安な心理などの内的要因が影響して自殺に至ったとする報告書を市教委に答申した。
報告書は計101ページで、いじめ調査の内容の他、再発防止策などで構成。概要によると、男子生徒は部活動内で、「太っている」などと言葉で体形をからかわれていたことや、「乳首が大きい」と胸を触られるなどの行為の他、「へたくそ」などと運動の技量をからかわれていたことを「いじめ」と認定した。
一方、生徒の心理状態など内的要因として、新型コロナウィルスに対する不安や、コロナによる学校の休校によって外出できないストレス、将来への不安などに苦しんでいたと指摘し、第三者委員会は、自殺に関して「『いじめ』を中心とした『外的な』要因と生徒自身の『内的な』問題の両者が関与した」と結論付けた。
第三者委員会の竹内亮平会長は、「(からかいについて)部活動の顧問が認識していた部分もあった」とした上で、指導体制を見直す必要性を指摘した。
関連資料
心優しい子…中1生徒自殺か”学校に悩み相談” いじめあったと訴える母親「知っていることあれば教えて」 (2020年6月26日)
出典:北海道ニュースUHB
参考資料
“中1死亡、いじめ調査 登別市教委 住宅から転落か” 北海道新聞 (2020年6月25日)
“登別•中1転落死、いじめ有無は 第三者委調査” 朝日新聞北海道版 (2020年7月23日)
“登別の中1、いじめが自殺の一因 市教委の第三者委認定” 北海道新聞 (2021年3月23日)