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茨城県の私立水戸英宏中学校に通う女子生徒(中学3年生)は、所属していた運動部の女子部員らからいじめを受け、2022年(令和4年)5月に学校に訴えた。女子生徒と保護者は、いじめ防止対策推進法に基づく調査を再三求めたが、学校側は1年以上調査を始めなかった。学校側は2023年8月になってようやく女子生徒側の訴えを受け入れ、同法に基づく「重大事態」があったとして茨城県に報告し、調査に入った。女子生徒は不登校の状態が半年以上にわたって続き、女子生徒側は「長期間にわたって問題を放置した」と学校側の対応が不適切だったと指摘している。
弁護士らで構成した調査委員会は報告書で、これらの事態を把握した上で「いじめに対する本質的な理解不足や教育不足があった」として学校側の対応を厳しく批判した。
学校側は取材に対して、「いじめの有無も含めて、生徒のプライバシーに関わることなので回答は差し控える」と回答した。県内の私立学校を管轄する県私学振興室も「個別事案については個人情報のためお答えできない」としている。
事件の経緯
2022年5月 女子生徒は所属していた運動部で複数の女子部員から練習中に無視や八つ当たりをされたり、「むかつく」「うざい」と仲間外れにされたりした。女子生徒だけが白抜きに加工された集合写真をSNSで公開されることもあった。
女子生徒は直後から学校を休みがちになった。管理職を含む複数の教員にいじめの被害を訴えたが、「他の人と仲良くすればいい」「あなたにも問題があるのではないか。あなたが変わればいい」と言われた。部活の大会期間中には、担任の教員から「大事な試合でもめ事を起こしたら迷惑だ」と突き放された。
女子生徒から相談を受けた保護者の訴えで、学校は同年6月、いじめに関与したとされる女子部員らと話し合いの場を設けたが、「部活動でのいざこざ」と結論付けられ、解決には至らなかった。保護者は取材に「誰も寄り添ってくれなかった。娘は『先生にもいじめられている』という感覚になっていた」と憤っている。
結局、女子生徒は運動部を退部した。同年9月以降も別の生徒から学校生活での揶揄いや無視といった嫌がらせを受けた。孤立感を深めた女子生徒は、強い胃の痛みや吐き気などの症状が出るようになり、2024年1月から不登校になった。
保護者は同月以降、県にいじめの被害や学校の対応について相談した。学校に対しても、いじめ防止対策推進法が定める「重大事態」に該当する行為があったと再三訴えた。
学校は8月になって、この問題を「重大事態」と捉えて調査に入る旨を保護者に通知した。10月末までの間、外部の有識者を交え、いじめの当事者らに聴き取り調査を行うとした。
水戸英宏中学校のホームページによると、同校は2004年に開校。近隣にある水戸啓明高校、水戸葵陵高校と、連携型の中高一貫教育を行っている。同校はホームページ上で「いじめ•暴力ゼロ」を宣言し、「いじめかどうかの判断は、いじめを受けたという生徒の立場に立って状況を理解することが必要です。加害者側が『ふざけていただけ』『からかっていただけ』『冗談』のつもりでも、受け手の側で『いじめられた』と認識している場合があります。生徒たちをより良く導くために、状況を複数の視点から把握•考察することが大切です」などと記している。
同校で起きたその他の事件(調査報告書より)
2022年6月、いじめの被害者の女子生徒(中学2年生)は、緊急保護者会で別室待機していた際、当時の教頭から「逃げだな」「あなたたちが変わればいい」などと言われ、学校への不信感や疎外感から不眠や抑うつ症状を発症し、不登校になり転校を余儀なくされた。また、加害者の女子生徒も、翌年6月に「(別の生徒に)いじめを受け教室で孤立している」と訴えて不登校になり、そのまま卒業した。
これとは別に、男子生徒も、暴力や金銭トラブルによるいじめ被害を受けて2023年秋に転校を余儀なくされた。調査委が卒業前にクラス全員を対象にしたアンケートでも、複数の生徒が「男子間で暴力をふるって金を奪う出来事があった」と回答していた。
調査委は「いかに様々な特性の生徒が在籍しているとはいえ、あまりに多数かつ深刻な状況。教室運営に問題があったとしか解せない」と非難した。生徒たちが既に天候や卒業をしたことにも触れ、「学校生活での指導•支援のチャンスはない。卒業生らの状況や要望次第で今後も対応•指導の余地を持っておくべきだ」と指摘した。
参考資料
“いじめを1年以上調査せず 「いじめゼロ」宣言の水戸市の私立中学校” 朝日新聞 (2023年8月25日)
“3人が転校や不登校、茨城の私立中いじめ問題 暴力で金を奪う事案も” 朝日新聞 (2024年7月23日)