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2021年(令和3年)1月30日、沖縄県の沖縄県立コザ高等学校の空手部主将を務める男子生徒(高校2年生•17歳)は、顧問教諭から「主将をやめろ」など日常的に精神的負担を与える言葉で叱責され、多大な精神的疲労を抱えて自死した。
2021年3月5日 第三者委員会は「自死は部活動顧問との関係を中心としたストレスが要因となった可能性が高い」とする調査報告を県教委に提出した。
県教委は同年7月に元顧問を懲戒免職処分とした。
事件の経緯
2021年1月29日 男子生徒は学校から帰宅後所在不明になり、21時過ぎに総合病院から家族に男子生徒が搬送されているとの報告があり、30日2時36分に男子生徒は亡くなった。
男子生徒は、中学時代までの競技成績が評価され、同校に推薦入学した。2年で主将になって以降、男性顧問教諭から「主将をやめろ」「部活をやめろ」などと日常的に厳しく叱責されていた。
男子生徒の死後、学校が行った顧問への事情聴取や教員•生徒へのアンケート調査で、男子生徒が日常的に厳しい指導を受けていたことがわかる回答があった。
調査委員会
調査委員会の設置•調査内容
2021年2月中旬 県教委は第三者委員会を設置し、詳細調査を行う。
調査委員
調査報告書•その後
2021年3月19日 報告書は、顧問だった男性教諭は男子生徒が2020年7月に主将になってから叱責が厳しくなり、「キャプテンを辞めろ」といった精神的負担となる言葉を日常的に使っていたと指摘した。男子生徒が自殺した前日も顧問から厳しい叱責を受けていたことについて「『最後の引き金』になった可能性が高い」とし、「部活動以外に、自死につながるほどのストレス要因は考えにくい」と結論付けた。
また、生徒は特別推薦で入学した際、「活動継続確約書」の提出を求められていた。
生徒の連絡にLINEを多用し、迅速な対応を要求した。やり取りは夜中まで続くこともあり、男子生徒は帰宅後もイヤホンを着けて連絡の有無を意識するなど「生徒は常に緊張状態に置かれ、多大な精神的疲労を抱えていた」と指摘した。顧問のLINE履歴から生徒とのやり取りが削除されていたことも判明した。
調査の中で、2017年度にも、当該顧問が鼻に指を入れたりいきなり技を掛けられたと女子生徒から副顧問に相談があったことが判明した。また、顧問から授業中に不適切な言葉を受けた女子生徒が2018年度に不登校になっていた問題も判明した。
再調査委員会
再調査委員会の設置•調査内容
2021年6月 県立高校の保護者の有志らが、「県の調査期間は短いうえに生徒10人あまりと教職員6人への聴き取りに留まっており不十分」だとして、教育委員会から独立した第三者機関による再調査などを求めた。
初期の第三者委員自身からも「指定された調査期間は著しく短い」と批判が上がっていた。
2021年8月27日 県は、第三者調査委員会を県総務部総務私学課に設置した。
2022年1月 県は、第三者調査委員会を設置した。
委員会は月1回程度開催され、期限は設けずに行われる。
調査委員
委員長:古堅(ふるげん)豊弁護士 (ふるげん法律事務所)
副委員長:上間(うえま)陽子琉球大学教育学部教授
委員:小西智子弁護士 (学校事件•事故被害者全国弁護団 大阪弁護士会)
安里(あさと)学弁護士 (おきなわ法律事務所)
山岸利次長崎大学教育学部准教授
宮城聡 (医療法人卯の会新垣病院•地域医療部長•沖縄県公認心理師協会事務局長)
宮里新之助 (沖縄国際大学総合文化部人間福祉学科)
上高(かみたか)徳弘沖縄教育塾塾頭
調査報告書•その後
2024年3月8日 全200頁を越える報告書は、男子生徒の自殺は「前日にあった顧問からの理不尽かつ強烈な叱責が大きな要因」だと結論付けた。
元顧問は、自分の言動が生徒に精神的負担を与えていたとしても、「生徒の監護義務者は母親である」ので、自死の原因は「自分にない」と反論していた。
2024年3月22日 「調査報告書【概要版】」(PDF:517KB)
民事損害賠償請求訴訟
提訴
2023年2月9日 遺族は、男子生徒が自死したのは部活動の顧問だった元教諭のパワーハラスメントが原因などとして、県を相手取り約1億3900万円の損害賠償を求めて那覇地裁に提訴した。
訴状によると、元顧問は生徒を叱る際に「気持ち悪い」「キャプテンを辞めろ」などと発言し、部活動外の時間に雑用を強要したり、携帯電話で緊急ではない連絡や指示をしたりした。暴言を伴う激しい叱責によって「自死を選択せざるを得ない心理状態に追い込まれた」と主張した。当時の校長らも、元顧問の暴言などを止める措置を講じず、安全配慮義務に違反したとしている。