東海大学付属福岡高校剣道部員自死事件

ADDRESS & CONTACT


GPS

33.800917, 130.567083


OPENING HOURS

CLAIM LISTING


Is info on this listing outdated? Are you owner of this business? Register and claim it now.

2021年(令和3年)3月10日、私立東海大学付属福岡高等学校の男子生徒(高校2年生•17歳)は、入学直後の2019年4月から6月にかけて、所属する剣道部の寮にいた上級生4人から粘着テープで体を畳に貼り付けられ、下着を脱がされてわいせつな行為をされたり、その様子を撮影した動画をSNSに投稿されるなど、少なくとも12件のいじめ行為を継続的に受け、被害を訴える遺書を残して自死した。部活動の当時の顧問(男性•30歳代)も男子生徒を無視するなど不適切な指導を行っていたことが分かった。

2023年9月 高校が設置した第三者委員会は、上級生たちが男子生徒に悪質なわいせつ行為をし、その様子をSNSで拡散するなど、10件のいじめがあったと認定したが、自殺の直接的な原因は特定できなかったと結論付けた。

男子生徒の母親は、いじめが「自殺に至らしめるほど強い精神的苦痛を与えた」として、当時の上級生だった4名に損害賠償を求めて福岡地裁に提訴した。
2024年9月4日、加害者のうち1名は、重大な精神的苦痛を与えたとして母親に謝罪し慰謝料を支払うことで和解が成立した。
同年12月16日付で、福岡地裁は被告のうち1人に対し、和解金の支払い義務を認める決定を出した。この決定は、民事調停法第17条に基づくもので、双方から異議申し立てがなかったため、2025年1月7日に確定した。

事件の経緯

2019年4月、男子生徒は東海大学付属福岡高校に特待生で入学し、剣道部の寮に入った。
4~6月初旬、上級生から他の部員10人以上の前で体を粘着テープで畳に貼り付けられ陰部を触られたり、陰部を触られる様子を撮影した動画を複数の生徒に交流サイト(SNS)で送信されたり、肩を殴打されるなどの暴行を受けた。
6月11日、男子生徒は寮を出て帰宅し、母親にいじめ被害を訴えた。
6月12日、母親が顧問にいじめ被害を相談した。顧問は母親に「学校には報告しない」と告げた。

6月、男子生徒と母親が剣道部の男性顧問にいじめ被害を相談し、退寮して自宅から通学しながら部活動を続けることになった。

2020年12月、男子生徒が顧問に再入寮の希望を伝えたが拒まれた。

2021年3月上旬、顧問が男子生徒の定期試験の結果を誤認し、過大な課題を課した。
3月7日、男子生徒が顧問に「課題が終わらない」とメールを送り、その後、行方不明になった。
3月10日、男子生徒が自死した。学校も事件を把握した。
3月12日~、学校は同級生や剣道部員らにアンケートやヒアリング調査を行った。
4月5日、遺族がいじめ被害に触れた遺書を学校に開示し、学校がいじめの可能性を認識した。
6月、高校が「重大事態」に認定し、福岡県に報告した。

加害者の処分

加害生徒らのうち1人は、2022年1月に家庭裁判所の少年審判で強制わいせつの非行内容が認定され、2年の保護観察処分を受けた。

調査委員会

調査委員会の設置

学校は第三者委員会を設置した。

調査報告書

2023年9月(2024年2月20日公表) 男子生徒が1年生の時、上級生から部室内で部員10人以上の前で、畳の上に身体を粘着テープなどで貼り付けられ、わいせつな行為をされ、更に、それを撮影した動画もSNSで他の生徒に拡散されるという性的ないじめなど計10件の行為をいじめと認定し、顧問の男性教諭から剣道部の寮への再入寮を拒否されたり、定期試験の結果を誤認した顧問から過大な課題を課せられていたことなどの不適切な指導も、男子生徒の自殺に影響を与えた可能性があると指摘した。いじめが男子生徒の自殺の一因となったとする一方、自殺は家庭環境など様々な要因によって引き起こされたと判断し、直接的な原因は特定できなかったと結論付けた。

男子生徒は入部から2か月後、母親と共に剣道部の監督の元を訪れ、いじめを受けていることを伝えていたが、そのSOSに対し、監督は学校に報告しなかっただけでなく、男子生徒を無視するなどの不適切な指導についても、自殺に影響を与えた可能性があると指摘した。

2024年1月 男子生徒の遺族が福岡県に再調査を申し立てた。
(2024年2月20日 男子生徒の母親は代理人弁護士を通じ、「剣道が本当に好きだったので、自分らしい剣道ができなくなっていくことはとても辛いことだったと思う。第三者委は、自死の直接的な原因はわからないと判断しており、とても残念に思う」などとするコメントを出した。)

再調査委員会

再調査委員会の設置

2024年2月、男子生徒の遺族の申し立てを受け、県はいじめ防止対策推進法に基づき再調査を行うと決定した。

民事損害賠償請求訴訟

提訴

2024年3月10日(男子生徒の4回忌)、男子生徒の母親は、いじめが「尊厳を著しく奪うもの。自死に至らしめるほど強い精神的苦痛を与えた」として、当時の上級生だった4名に損害賠償を求めて福岡地裁に提訴した。

2024年3月13日、男子生徒の母親は記者会見し、加害者とされる生徒4人のうち3人から弁護士に謝罪文が届いたと明かしたが、「反省しているようには思えない」と述べた。そのうえで、「いじめ行為がなければ、高校生活を最後まで送れていたと思う。犯した罪を認め、償ってほしい」と話した。

一審(福岡地裁)

2024年5月10日、第1回公判で、男子生徒の母親は「裁判の場で上級生たちの行為が社会的に許されないのだと明らかにしてもらい、せめて◯◯(男子生徒の名前)にしたことの責任を取って欲しいと思います」と意見を述べた。

9月4日、他の上級生が暴行した際に被害者の体を押さえるなどして補助した上級生1名は、重大な精神的苦痛を与えたとして母親に謝罪し慰謝料を支払うことで和解が成立した。慰謝料の額は非公表。(加藤聡裁判長)
母親は会見で、「早期の段階で罪を認めて、正面から向き合ってもらえた。簡単には許せないが、一人でもいじめる人がいなくなってほしい」と話した。残る3人とは係争中。

同年12月16日付で、福岡地裁は被告のうち1人に対し、和解金の支払い義務を認める決定を出した。この決定は、民事調停法第17条に基づくもので、双方から異議申し立てがなかったため、2025年1月7日に確定した。和解金額は非公表。
母親は記者会見で、「一つ前進した」と決定を評価し、被告が異議申し立てをしていないことについて、「自らの罪を認めたと理解している」と述べた。

事件のその後

2024年4月 剣道部の顧問は、2017年頃から部員の頭をハンガーで叩く、顔を拳で叩くなどの体罰を繰り返し行い、出勤停止1か月の懲戒処分を受けており、高体連主催の試合に1年間出場できないことになっていたにもかかわらず、学校側が高体連に報告していなかったことが判明している1

顧問は、2024年2月20日現在も教諭として授業や部の指導を続けているという2

顧問は、第三者委員会による調査でも、複数の部員や保護者へのヒアリングで、他の部員に対して「頭がおかしい」「お前は馬鹿なの?」「剣道やめろ」などと人格を否定する暴言があったとされた。これについて津山憲司校長は「学校の生徒アンケートや、顧問本人の聞き取りでは確認できなかった。本人は、17年以降は暴言などは一切していないと話している」と説明した。

参考資料

“東海大付属福岡高校剣道部員自殺 上級生4人訴えた裁判始まる” NHK (2024年5月10日) 他

  1. “出勤停止級の顧問の体罰、高体連に報告せず 東海大福岡高2死亡” 毎日新聞 (2024年4月12日)
  2. “わいせつ動画拡散…先輩からのいじめを認定 高校生自殺で調査報告書” 朝日新聞 (2024年2月20日)
この記事をSNSでシェア!

FEATURES & SERVICES

LOCATION ON MAP

CONTACT OWNER

NEW SEARCH

この記事をSNSでシェア!
テキストのコピーはできません。