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2021年(令和3年)2月11日、石川県の野々市市立布水中学校の女子生徒(中学1年生•13歳)は、同じクラスの8人の女子生徒から、無視や暴言、LINEで嫌悪感を示すようなメッセージを残すなどのいじめを受けて自死した。
2023年2月2日 調査委員会は「いじめが自殺の原因となった」とし、学校の対応についても「学校の不十分な対応が自殺の原因になった」とする報告書を公表した。
2023年9月 女子生徒の遺族は、いじめを行ったとされる同級生8人に対して民事調停を申し立て、調停が不成立となった1人に対して165万円の損害賠償を求めて金沢地裁に提訴した。
2024年6月27日、女子生徒の遺族は、教師やいじめを行った生徒に処罰がないなどとして、市を相手取り7227万円の損害賠償を求めて提訴した。市側は、遺族の請求を全て棄却するよう求める答弁書を提出した。
事件の経緯
2020年9月 女子生徒が学校の担任らに「いじめを受けている」と訴えた。その後もいじめは続き、女子生徒は両親と学校に伝えた。
11月 学校が市教委に、9月以降把握していたいじめが「解消した」と報告した。
学校は1、2か月に1回の頻度で、全校生徒にアンケートを実施し、いじめの有無などを確認していた。2020年11月と2021年1月のアンケートで、女子生徒がいじめを受けていると回答し、学校は回答後に本人と面談したが、いじめではないと判断し、市教委に報告しなかった。
女子生徒はその後も学校の聞き取り調査に対して、同じ学校の生徒から悪口を言われたり、揶揄われたりしたと訴えた。学校は市教委に状況を報告し、解決に向けた対応して、その後は経過観察とした。
2021年2月2日、学校はいじめが解消したと市教委に報告した。
2月10日(自死の前日) 女子生徒はアンケートに「いじめはない」と回答した。
2月11日 女子生徒は自宅で自死した。
(3月にこの学校を卒業した女子生徒は、学校アンケートは自身や周囲でのいじめの有無を確認するものだったと振り返り、「(いじめが)あると書いたら、あとで先生に呼ばれて、それが広まって、自分がいじめられるかもしれない。もしいじめを目撃しても、みんな書かないのではないか」と話している。)
2月16日 学校は1年生を集めた朝礼で校長が生徒の死を伝え、18日までスクールカウンセラーを臨時派遣した。3月16日にも、校内放送で全生徒に自殺を報告し、16、17日もカウンセラーを派遣して生徒のケアに当たった。
2021年6月15日 女子生徒の父親が市役所で会見をし、学校側の対応を批判すると共に、「娘が自殺して約4カ月が経つなか、記憶が風化してきている。私が知りたいのは、とにかく何があったかなのです」などと真相究明を訴えた。
女子生徒や、他の保護者からいじめの様子を聞いていたという父親は会見でこの点に触れ、「娘はずっといじめられていた」「同じ仲良しグループのメンバーが入れ代わり立ち代わり、亡くなるまで繰り返しいじめていた」などと強く反論。また、2021年2月のアンケートで女子生徒が「いじめはない」と回答を一変させた点については「(いじめを訴え続けることに)心が折れたのかな。絶望の底に達してしまったのでは」などと語った。
野々市市立布水中学校では、2023年9月にもいじめにおける重大事態が発生したとして第三者委員会による調査が行われている。因みに、この中学校は女子生徒が自死してから一度も記者会見を開いていない。
調査委員会
調査委員会の設置•調査内容
2021年4月6日 市教育委員会は、「いじめ防止対策推進法」の「重大事態」に当たるとして、弁護士らで構成する第三者委員会を設置し、初会合が開かれた。
調査報告書•その後
2023年2月2日 調査委員会は、女子生徒が2020年9月~2021年2月、同じクラスの複数の女子生徒から「学校に来るな」と言われたり、LINEで「うざい」とメッセージを送りつけられたりしたことなど29の行為をいじめと認定した。女子生徒は「自殺直前まで日常化していたいじめを受けて」おり、「学校は指導しない状況」で、女子生徒が「いじめを受けている」と学校のアンケートに答えたにもかかわらず、学校は21年2月2日、「いじめは解消した」と市教委に報告するなど、女子生徒が学校に助けを求めても状況が改善されず、「自殺するしかないと考えた」とし、同じクラスの複数の女子生徒によるいじめが自殺の原因になったと結論付けた。その上で、学校の対応について「積極的認知の方針が守られず、情報共有や事実確認も不十分だった」と批判し、「学校の不十分な対応が自殺の原因になった」とした。スクールカウンセラーに情報を提供しなかった点も「大きな問題だ」とした。
女子生徒の父親は記者会見で「報告書では、教員がどのようにいじめを見逃していたのか明らかでない」として、学校側の対応について再調査を求める所見書を市教委に提出したと語った。
2月4日 学校は全校生徒の保護者会を開催した。学校の対応への批判と共に再発防止の徹底を求める声が相次いだ。
加害生徒と教諭に対する調停
2023年9月、女子生徒の両親は、いじめを中心的に行っていたとされる3人に対して、いじめを行っていたかを問うと共に、女子生徒が受けた精神的苦痛への損害賠償を求めて金沢簡裁に調停を申し立てた。
3人のうち2人は加害行為を認めて賠償金を支払った。(金額は非公表)
女子生徒の両親は生徒3人との調停終了後、他の5人に対しても申し立てを行った。話し合いを進める中、3人については加害の程度が比較的低いと判断し、当時の事実関係を知るための質問状に回答するなど「誠意ある回答がなされた」(父親)として請求を取り下げた。
残る2人は「質問状への回答がなかったり、誠実さがみられなかったりした」(父親)として調停を継続した。最終的に、いずれの生徒側も賠償金の支払いに応じたという。(金額は非公表)
女子生徒の父親によると、民事調停の終了後も加害生徒からの謝罪はない。父親は北國新聞社の取材に「調停で同級生がいじめ行為を認める結果を得られた。娘を失った悔しい気持ちは癒えないが、自分としてできる限りを尽くした」と話した。
女子生徒の両親は、当時の教諭にも損害賠償を求めた。教諭の調停は終わっているが、結果は公開していない。
民事損害賠償請求訴訟
加害生徒に対する訴訟
提訴
2024年8月、女子生徒の両親は、いじめを中心的に行っていたとされるが、加害行為を認めず賠償金の支払いを拒否した1人に対し、165万円の損害賠償を求めて金沢地裁に提訴した。
市に対する訴訟
提訴
2024年6月27日 女子生徒の両親は、教師やいじめを行った生徒に処罰がなく、自死の原因は学校が適切ないじめ防止措置を講じず、自死の可能性を予見できたのに注意義務を怠ったとして、市を相手取り7227万円の損害賠償を求めて金沢地裁に提訴した。
両親は生徒の写真や日記を公表した。
一審(金沢地裁)
2024年9月9日 初弁論で、市側は遺族の請求を全て棄却するよう求める答弁書を提出した。
参考資料
“「中学1年生が死を決意せざるを得ない状況に追い込まれる思いを知ってほしい」父親が涙の訴え…同じ中学校で相次ぐ”いじめ重大事態” FNNプライムオンライン (2024年9月11日) 他