多可町立小学生自死事件

ADDRESS & CONTACT


GPS

35.05033, 134.92336

ウェブ


OPENING HOURS

CLAIM LISTING


Is info on this listing outdated? Are you owner of this business? Register and claim it now.

2017年(平成29年)5月1日、兵庫県の多可町立小学校の女子児童(小学5年生•10歳)は、自死を図り、翌2日に死亡した。
町教委が実施した教諭や同級生のアンケートからいじめが原因の疑いが浮上した。

2019年4月15日 再調査委員会は、女子児童を仲間外れにしていたグループが他の児童と遊ばせない「囲い込み」のいじめもしていたと認定し、「複雑ないじめを受けている状況を学校は正しく認識できておらず、解決できないと観念させられたのが自殺の最大の要因になった」と結論付けた。

2020年2月27日 女子児童の遺族側は民事裁判で慰謝料などの金額を争うことを望まず、より迅速に解決できる「裁判外紛争解決手続き(ADR)」を申し立て、兵庫県弁護士会の紛争解決センターが仲介し、町が和解金300万円を支払う内容で和解が成立した。

調査委員会

調査委員会の設置•調査内容

遺族が「いじめがあったのではないか」と調査を要望した。

2017年7月20日 町教委が第三者委員会を設置した。
2017年7月23日 初会合が開催された。自殺の背景の調査や再発防止策の提言を求めた。
計38回の会議や調査が行われた。

調査委員

学識経験者や精神科医、臨床心理士ら5人で構成。
委員長:尾崎公子兵庫県立大教授(教育学)

調査報告書•その後

2018年7月2日
「いじめ」や女児の属する女子グループの「いびつな社会関係」による疲弊感が自殺の要因と認定した。
女児が属する5~10人のグループは、「固定化した加害層」と、女児を含む「加害者にも被害者にもなる流動的•可変的な層」があり、2016年7月頃からグループ内で流動的•継続的な嫌がらせがされていた。特定の児童から蹴られる暴力行為もあった。
女児は2017年4月のメモでは「だれも、いじめたりしないようにしてください」と自分へのいじめを明確に言及していた。作成時期は不明だが「死にたい、でもこわいの苦しいから」というメモもあった。
5年生になった2017年4月以降、加害層の児童らが女児の行動を監視するようになり、他のグループに属することがないよう圧力をかけ、一方で無視したり、悪口を言ったりすることがあった。
こうした継続的な嫌がらせや圧力、監視を女児への「いじめ」と認定した。
女児は2016年6月、9月、11月のアンケートでいじめを受けている旨を記入して書き直していた。
11月には別のクラスの数名が女児へのいじめに言及した。学校によるストレスチェックの数値も2018年6月の「6」から、同年12月には「9」に上昇し、高ストレス群に入っていた。

「担任らは見守る程度にとどまり、学校で問題が共有されることなく、組織的な対応ができなかった」とした。

2018年7月 遺族は、メンバーを変えた再調査を希望した。
①当該児童に対するいじめがどのようなものであったのか、大変わかりにくい書き方となっている。
②当該児童に対するいじめの報告が保護者に全くなかった理由がはっきりしない。
③いじめと自死との関連性について、「いびつな社会関係による疲弊感」を自死の要因とし、自己完結的に物事を対処する性格とも相まって自死を図ったと推察されるが、いじめ以外に自死の原因が存在したのかが明らかでない。
などの理由による

再調査委員会

再調査委員会の設置•調査内容

2018年8月22日 多可町は、再調査することを決定し、年度内に調査結果を求めたい意向を示した。

調査委員

弁護士や小児科医など5人の専門家。
委員長:吉田竜一弁護士
委員:徳田仁子(きみこ)京都光華女子大学健康科学部心理学科教授

再調査報告書•その後

2019年4月15日 全64頁
再調査委員会は、女子児童を仲間外れにしていたグループが他の児童と遊ばせない「囲い込み」のいじめもしていたという見方を新たに示し、「複雑ないじめを受けている状況を学校は正しく認識できておらず、解決できないと観念させられたのが自殺の最大の要因になった」と結論付けた。

報告書によると、グループは2016年夏頃からあり、女子児童は同年秋頃から仲間外れにされたり、不本意に胸の見せ合いに参加させられたり、足を強く蹴られたりするなどのいじめを受けた。グループを抜けようとしたが、休み時間にグループの数人に行動を見張られて他の同級生らと遊ぶことができず、ひとりで読書するようになり孤立していった。

報告書は、こうした「囲い込み」をいじめと認定し、「許されない行為」と批判した。同時に、学校がこの状況を正しく認識できず、進級時のクラス替えで女子児童をグループから離さなかったために、女子児童がますます無力感に支配されて精神的に疲弊したと指摘した。4泊5日の宿泊行事を3週間後に控えた日に、女子児童は「孤立状態の継続」を予想し、「確固たる決意をもって自死を決行した」と経緯を説明した。

会見した第三者委の吉田竜一委員長は、「いじめは一見、仲が良いグループで起きる」と、異変に気付きながら「見守り」に留まった学校の対応に甘さがあったと指摘した。仲間外れも囲い込みも明らかないじめだとした上で、「学校は十分認識すべきだった」と語った。第三者委の報告を受けた岸原章教育長は「重く受け止める」とし、町教委が設置した第三者委が2018年7月にまとめた報告書について「遺族の思いに寄り添っていない部分があった」と述べた。

遺族は今回の報告書について「決意をもって自死に至った経緯を十分理解することができた」としたうえで、「この報告を基に、二度とこのようなことを起こさないよう再発防止策を検討し、実施してほしい」と訴えるコメントを発表した。

町教委は再調査報告書について、学校関係者やマスコミ向けには、要点をまとめた概要版のみを公表していたが、2019年6月、遺族側は再調査報告書の全文公表を要望した。町は、関係した児童等の個人名の特定に繋がる箇所へのマスキング処理を施した上で、2020年5月27日に町ウェブサイト上で1年間の予定で全文を公表した。また、町教委は、いじめ再発防止策をまとめた。

関係者の処分

2019年10月23日 県教育委員会は、「当時の校長はいじめを把握しながら、学校全体で問題を共有せず、掘り下げた原因の究明も行っていなかった」として、女児の4年時の男性校長(59)と、5年時の男性校長(58)をそれぞれ減給10分の1(1カ月)の懲戒処分とした。また、町教委は管理監督責任を問い、学校教育課長を戒告処分とし、岸原章教育長が給与の10分の3(3カ月)を自主返納した。

当時の学校教育課長(3月に退職)も給与の10分の1(1カ月)を自主返納する意向を示しているが、県教委によると、女児の担任だった60歳代の元男性教諭と30歳代の元女性教諭の2人は既に退職したため、懲戒処分の対象とはならず、給与を自主返納する意向も示していないという。

裁判外紛争解決手続き(ADR)による和解成立

2019年9月 女子児童の遺族側は民事裁判で慰謝料などの金額を争うことを望まず、より迅速に解決できる「裁判外紛争解決手続き(ADR)」を申し立て、兵庫県弁護士会の紛争解決センターが仲介した。

2020年2月27日 町が和解金300万円を支払う内容で和解が成立した。
いじめの自殺を巡り、民事裁判をせずに遺族側と自治体の間で和解が成立したのは全国で初めて。事件後、町の教育委員会がいじめの防止に向けて真相解明に真摯に取り組み、反省を示したことが大きな要因。

この記事をSNSでシェア!

FEATURES & SERVICES

LOCATION ON MAP

CONTACT OWNER

NEW SEARCH

この記事をSNSでシェア!
テキストのコピーはできません。