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2020年(令和2年)9月4日、神戸市立中学校の女子生徒(中学3年生•14歳)が、複数の同級生からのいじめを苦にして自宅の自室で自をした。机に置かれていたメモには「学校疲れた」「死にたいな」などと書かれていた。
2022年12月9日 第三者委員会は、女子生徒には小学5年から継続的にいじめがあったと認め、「いじめがなければ自死することはなかった」と結論付けた。
事件の経緯
2016年4月 女子生徒が転居に伴い小学5年時に転入した。
11月(小学5年) 女子生徒が触った物を汚物扱いされるなど、同じクラスの7割が女子生徒を「◯◯菌」と言うなどの集団いじめが発覚した。
2017年(小学6年) 女子生徒がいじめアンケートに「持ち物をきたないと言われる」と回答した。
2018年4月(中学1年) クラスで女子生徒を対象にした「ばい菌」ゲームが発覚した。
2019年2月 女子生徒は男子生徒5人の集団いじめなどを担任に申告した。学校は5人を1回だけ指導し、組織的•継続的な指導をせず「指導済み」扱いにした。
3月 女子生徒は自傷行為をするようになり、同じクラスの女子生徒に「学校嫌–」などとLINEを送信した。学校は女子生徒の母親に「いじめは解消している」と説明し、いじめの深刻さを伝えていなかった。
10~11月(中学2年) 他の女子生徒からLINEで「殺すぞ」「はやくしねや」などのメッセージが送られた。
2020年4月(中学3年) 女子生徒は、かつてのいじめ加害者と同じクラスになった。
6月 女子生徒は、かつてのいじめ加害者5人のうち3人と同じクラスになり、精神的な負担が増加したため、生活ノートに「(加害生徒と)席を近くしないでください」などと記入するなど席替えを再三訴えた。
6~8月 女子生徒は、LINEで「リスカ止まらんし」などと送り、SNSに「リスカしたいけど周りに切れるもんがない」と投稿していた。
8月 女子生徒はSNS上の知人に「学校始まってほしくない」「始まったらまたいじめ」などと送信していた。SNSに「死にたいってなんなんだろう」「誰か助けて」と投稿していた。
8~9月 女子生徒は友人らのLINEグループから繰り返し削除されるなどのいじめを受け続けた。
9月4日 女子生徒が自室で自死した。自室の机には「学校疲れた」「死にたいな」などと書かれたメモと、同級生の女子生徒6人に宛てた手紙と封筒があったという。
そのうちの1通には「部活でも学校でも容赦なくいじってきますね。まあどちらかと言えば楽しんでいるのでいいけど…部活の時と教室におる時、雰囲気ちがいすぎて怖かった」(原文)と書かれていた。他の手紙にも無視されるなどの仲間外れと思われる行為が記されていた。
女子生徒の遺したメモ
「学校疲れた」「死にたい」などの文字が並んでいる。
出典:神戸新聞NEXT
調査委員会
調査委員会の設置•調査内容
2020年9月5日 机に残されたメモや手紙の内容から、遺族側は「いじめの可能性がある」と申し入れた。
10月 遺族の代理人弁護士が、いじめの疑いを学校に訴え、市教委が「いじめ重大事態」と認定した。
12月16日 いじめ防止対策推進法に基づく「重大事態」と認定し、神戸市教委が第三者委員会「令和2年度神戸市立中学校生徒自死事案に関するいじめ等調査委員会」を設置し、同級生や教諭らに聞き取り調査をした。
調査委員
委員長:松本隆行弁護士(みなと元町法律事務所)
市原滋比古弁護士(いちはら法律事務所)
髙橋典久岡山大学教育学研究科准教授(学識経験者)
山下仰武庫川女子大学文学部心理社会福祉学科教授(精神科医)
吉岡由美武庫川女子大学文学部心理社会福祉学科講師(臨床心理士)
調査補助員
出原由美子臨床心理士(兵庫県スクールカウンセラー)
岩井知子臨床心理士(兵庫県スクールカウンセラー)
大田健司弁護士(芦屋西宮市民法律事務所)
調査報告書
2022年12月9日 第三者委員会が調査報告書を公表した。
報告書は、いじめがトラウマになり、生徒の自己肯定感が著しく損なわれていたと指摘し、進学への不安も重なって精神的に追い込まれていたが、周囲がそれを理解せず、適切な支援ができなかったと結論付けた。また、いじめや生徒の自傷行為がエスカレートしていたのに、学校側はその兆候を見逃し、「いじめは解消した」と判断していた。報告書は学校が組織的な対応を怠り、家族との情報共有も不十分だったと指摘した。「致命的な誤りで、自死は防げた」と厳しく批判した。
- 女子生徒は小学5年から中学1年まで続いたいじめによって自己肯定感が低下し、崩れやすくなっていたと指摘した。中学3年で加害生徒と同じクラスになったことでいじめへの不安が募り、そこに成績不振や進路を巡って親に叱られることへの不安が重なったとした。さらに複数のストレスが重なって混乱、疲弊し、試験結果の負担が上乗せされて自死に至ったと推測される。
- 机上の手紙については、遺書として書かれたものではなく、いじめを告発する趣旨と理解することはできないとした。また、学校側の対応については、中学3年のクラス替えで加害生徒と同じクラスにした判断を誤りと指摘し、女子生徒の自傷行為がエスカレートしていることにも気付かず、適切な支援を行えなかったとした。
「令和2年度神戸市立中学校生徒自死事案に関するいじめ等調査委員会調査報告書(概要版)」(PDF:3MB)
関連資料
「学校疲れた 死にたいな」残されたメモに悲痛な叫び 神戸の女子中学生自殺はいじめ原因か
出典:サンテレビニュース