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2014年(平成26年)7月7日、熊本市立帯山中学校の男子生徒(中学3年生)は、自宅で多量の薬を飲むなどして自死未遂した。スマートフォンに、いじめの内容や「先立つ不孝をお許しください。毎日生きているのがとても辛かった」などと書いた遺書を残していた。
2017年2月28日 第三者委員会は、11の行為をいじめと認定した。複数の生徒が男子生徒を揶揄う替え歌を歌っていたことや、暴言を浴びせていたこと、部活中にボールで狙い撃ちにしたことなど5つのいじめを特に非難されるべきものだとした。「いじめがなければ自殺未遂は起きなかったと推測される」として、いじめが自殺未遂の原因の1つと結論付けた。また、学校の対応について、男子生徒に関わった教諭の対応に不適切だと思われるものが少なくなく、そのため男子生徒や家族の学校に対する不信感が増し事態が深刻化したと指摘した。
男子生徒は、市教育委員会や学校の対応が不適切だったとして、市を相手取り500万円の慰謝料を求めて提訴していたが、2021年5月17日に熊本地裁で和解が成立した。
事件の経緯
男子生徒は1年の頃、所属する運動部などでボールをぶつけられたり、口に氷を詰められたりするなどのいじめを受けた。学校が相手方を謝罪させた後もいじめは継続した。
2年生の時、男子生徒は同級生にLINEで「明日の朝、部活はあるか?」と尋ねたところ、「ない」と返信があった。しかし、翌日学校に行くと部活は行われていて、男子生徒は顧問から他の生徒たちの前で注意を受け、その後、同じ同級生からLINEで「ざまあみろ」と送られてくるなどのいじめを受けた。
一旦退部した運動部へ学校の勧めで2014年5月に復帰したが、保護者は「一部で悪口を言われるなど絶望感を抱いていた」と主張している。
2014年6月 保護者は学校に「息子が『先立つ不孝をお許しください。毎日生きているのがとてもつらかった』と遺書のような文面を書いている」と相談していた。
7月7日 男子生徒は、自宅で多量の薬を飲むなどして自死未遂した。
学校は調査委員会を設け、他の生徒への聞き取りなどを実施した。
9月中旬 調査委員会は、LINEでのトラブルなど3件を「いじめ」と認定する一方、「いじめを行ったとされる生徒に悪意があった可能性は低く、継続性もない」と結論付けた。
調査対象は、1年時のいじめは解決済みとし、調査対象を2年だった2013年9~12月に限定していた。
精神状態を考慮して本人の聞き取りは行っておらず、自殺未遂との「因果関係は不明」と報告している。
男子生徒の保護者は以前から学校に何度も相談していたが、いじめはなくならなかったと話している。
生徒は心理的に不安定な状況で、自宅で療養している。
2016年11月14日 市教委は、加害生徒3人の保護者の要望を受け、被害者側に無断で、いじめを受けた生徒の個人情報を伏せないまま報告書を渡していたことが判明した。
調査委員会
調査委員会の設置•調査内容
2014年10月30日 保護者の反発を受けて、市教委が常設する「いじめ防止等対策委員会」が、いじめの事実や自殺未遂との因果関係を再調査することを決定した。
委員会は、教諭や生徒など合わせて40人余りから聞き取りを行った。
調査委員
委員長:吉田道雄熊本大学名誉教授
調査報告書
2017年2月28日 調査委員会は、11の行為をいじめと認定した。複数の生徒が男子生徒を揶揄う替え歌を歌っていたことや、暴言を浴びせていたこと、部活中にボールで狙い撃ちにしたことなど5つのいじめを特に非難されるべきものだとした。
中学1年から3年まで、男子生徒に対するいじめが継続的に行われ、「いじめがなければ自殺未遂は起きなかったと推測される」として、いじめが自殺未遂の原因の1つと結論付けた。
学校の対応について、男子生徒に関わった教諭の対応に不適切だと思われるものが少なくなく、そのため男子生徒や家族の学校に対する不信感が増し事態が深刻化したと指摘した。
民事損害賠償請求訴訟
提訴
男子生徒は、市教育委員会や学校の対応が不適切だったとして、市を相手取り500万円の慰謝料を求めて提訴した。
一審(熊本地裁)
2021年5月17日 熊本地裁(中辻雄一朗裁判長)で、男子生徒と熊本市の和解が成立した。