国分寺市立第五中学生体育授業死亡事故

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1994年(平成6年)6月8日、東京都の国分寺市立第五中学校の男子生徒(中学3年生•14歳)は、体育の授業中、ふざけて8段の跳び箱からプロレス技を真似た跳び方をして落下し、第4頸椎を骨折して3週間後に死亡した。

2002年10月29日 東京高裁は教諭による安全配慮義務違反を認め、男子生徒が跳び箱の課題とされた技とは異なる危険を伴う技を自ら行ったことに起因することなどを考慮し、被害者側の過失は約4割と考えられるとして、和解が成立した。

事故の経緯

体育の授業は、3年のA組とB組の合同で、33名が参加していた。

器械体操の授業では同じ1時限の中で、総員を3グループに分け、グループ毎にマットと鉄棒、跳び箱の3種目の練習を、1種目5分から10分で、ローテーションのように次々と生徒たちにやらせていた。(1時限内にどのグループも3種目の練習をする)

各種目に関して、生徒たちは予め指示された共通課題と各人が選択する自由課題の技に取り組んでいた。練習は生徒が自主的に行い、教師は適宜指導していた。

当日はマット運動の採点があり、A組から実施していた。テストを受けないクラスの生徒は、それぞれ鉄棒、跳び箱等の練習を行っていた。

男子生徒は課題を終え、ふざけてプロレス技を真似た跳び方をした。1回目のムーンサルトは成功して周囲の生徒からざわめきと賞賛の声が上がった。男子生徒はリクエストに応える形で2回目に跳び箱の上に立ち、シューティングスタープレスをして回転しきれず失敗した。男子生徒は直後にマットの上で「身体が動かない」と話していた。

男子生徒は3週間後に亡くなった。

民事損害賠償請求訴訟

提訴

男子生徒の遺族が、授業中の安全指導に問題があったとして、国分寺市を提訴した。

遺族側の主張

• 学校で事故があった場合、事故原因を追求し、学校が主体となって家族への報告をするべきである。
• 学校の授業現場で子どもの命が失われたことに対して、教諭と親で悲しみを共有すべきではないか。
• 事故を踏まえて二度と起こらないために再発防止をするべき。

裁判での証言(元生徒など)

成人した当時の同級生3人が証人として出廷した。(6人が陳述書を提出した。)

体育の時間は、ふざけていても何も注意を受けたことがない。そのため、何人かが途中で隠れてさぼっているようなこともあった。授業中、生徒がザワザワしていても、(教師は)関心がなく、生ぬるくやっていた。
体育の担当教師は、いつも下を向いて何か書いていた。
事故の時も、◯◯君(男子生徒の名前)は跳び箱の上に立ち、周囲は拍手をしたりしていたが、事故が起きたことを生徒が知らせるまで教師は気付かなかった。

男子生徒が2年生の時、別の体育の教師の指導時に学校で指定されていた白い体操着を着用せず黒いTシャツを着てきたため、1年間体育の授業を受けさせてもらえなかった。そのため、技術的には大変優れていたが、その年の体育の成績は「1」だった。このことを両親は裁判の過程で初めて知った。

被告(体育指導教師)の主張

生徒が死亡したことは申し訳ないが、通常の授業に関しては指導方法等に間違いはなく、責任がない。一度に三種目の器械体操をさせることも、一人で十分に全体を見渡すことができるので、問題は無かった。安全対策としては、グループ編成の中で、互いに安全を確認させていた。(事故当日は、マットのテスト中であったため、グループ形態が崩れていた。)また、授業は新たな技術に挑戦するものではなく、できることを行う授業だったため、安全に対する不安は無かった。

◯◯君(男子生徒の名前)の死亡事故後も、進行中の体育の授業については今まで通りの指導方法を続けた。次年時からは、より安全を期すために、器械体操は1時限に1種目ずつ行うよう、同中の体育教師で話し合ってやり方を変えた。

生徒指導は厳しくやっていた。事故が起きた時は、今日の法廷のように静まり返っていた。生徒が事実に反することを証言(いつも騒がしかった、注意されなかった)したのは、男子生徒と親しいグループであったことと、日頃、厳しい生徒指導をしていたことへの反感からだと思う。

一審(八王子地裁)

2002年2月7日 提訴から3年4か月を経て「棄却」判決。

生徒の証言を全て「信用できない」とし、教師と学校側の言い分のみを認めた。原告側の主張する安全配慮義務、事前注意義務、事後報告義務など全て、学校側はそれなりの責任を果たしていたとした。
事故の原因を、全体が見渡せる位置で、教師が生徒たちの目配りをしていたにも関わらず、男子生徒が担当教師に見つからないように目を盗んで行った危険な行為の結果であるとして、教師に責任を問えないとした。

二審(東京高裁)

2002年10月29日 市が原告側に慰謝料を支払い、指導教師の責任と共に、男子生徒の過失を4割認めることで和解が成立した。

和解案についての考え方
1. 被控訴人の責任について
教諭による体育の授業の実施方法について、安全配慮義務の観点から、次の点が指摘できる。
(1) 同教諭はマット運動のテストの監督•採点を行わなければならないために、それ以外の運動を行う生徒の動勢に十分な注意を払うことができないことが容易に予想されたにもかかわらず、器械体操という相当程度の危険を伴う活動を、特段の監督者を置くことなく、生徒の自習に委ねた点
(2) 現実の授業を開始した後、マット運動のテストを受ける者以外の生徒が必ずしも秩序だった状態で自習しておらず、剰え、本件事故直前に亡◯◯(男子生徒の名前)が跳び箱の課題とされていた技とは明らかに異なる危険を伴う技を行って成功させ、それを見た他の生徒が歓声を上げるという状態にも関わらず、特段の措置を採ることなく放置した点
2. 被害者側の過失について
本件事故は亡◯◯(男子生徒の名前)が跳び箱の課題とされた技とは異なる危険を伴う技を自ら行ったことに起因すること、同人の事故当時の年齢(14歳)、本件が体育の授業中に発生したものであること、1に述べた本件事故発生までの経緯等本件に関するあらゆる事情を考慮すると、被害者側の過失は約4割と考えられる。

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