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秋田県の進学校•秋田県立秋田高等学校では、威圧的な応援歌指導が存在していた。
入学式の日、オリエンテーションの最後に、新入生たちが待機している体育館に、応援委員会が突然ドカドカと足音を立てて入り、体育座りをしている新入生の前に5人の男子生徒が並び、急に「立て!間隔を空けて並べ!」と言い、「おっす」「いっす」と大声で返事をする練習をさせた。校歌を歌う時は腰を反らして手を後ろに組んだ状態で立たされ、何度も絶叫することを強要された。練習の間、応援委員会の上級生たちは歩き回って新入生が声を出しているかを厳しくチェックしていた。太鼓を持っている人が1人いて、応援委員会のフレーズに合わせて太鼓を叩いていた。
新入生たちは校歌を覚えてくるようにという事前の指示を受けていなかったが、応援委員は「さっさと声を出せ!でかい声を出せ!」と罵倒し、歌っている時もずっと新入生の間を歩き回って、声を出しているかチエックしていた。校歌を歌えずにいると、「秋田高校の伝統を汚すな」と何度も言い、「生徒手帳を出せ」とも言われ、持っていなかった生徒は応援団に取り囲まれて「何で忘れたんだ」と叱責された。新入生の中には恐怖で泣いている生徒もいた。ある年は、ランダムに選ばれた人がみんなの前に出て歌わされる「リード」という仕組みに一部の新入生は強制的に立候補させられた。手を挙げずにいると応援団に詰め寄られて無理矢理前に引き摺り出されていた。また、応援団が竹刀で床を叩いていたこともあった。その間、教師はずっと体育館の脇に立って見ていたため、新入生たちは、これは教師も公認なのかと驚いていた。
罵倒され続けた「応援歌練習」は約30分間続き、翌日以降も4日間にわたって応援の練習が行われた。最終日だけは応援団が優しくなり、「まるっきり洗脳の手法だな」と思った新入生もいた。
同校の応援歌練習に疑問を持った生徒が、Twitter(現在のX)に「秋田高校の応援歌練習がよくないと思う人はリツィートしてください」という書き込みをして話題になったことがあったが、それを見つけた学校は、「応援練習のことをSNSに書くな」と生徒たちに指示していた。
2020年代に入学した男子生徒は、同校の自由な校風と生徒の自主性を尊重する姿勢に共感し受験を決めたが、入学後に「応援歌練習」があるなどという話は聞いておらず、「応援歌練習は人権侵害です。人生であれだけ大声で罵倒された経験はないですし、異常だとしか思えません。今でも時々思い出しては腹が立ちます。SNSに書き込むなと脅すのも悪質です」と話している。
同校は文春オンラインの問い合わせに、「応援歌練習」は現在も行われているが、「今は期間も短く、大声を出さなければいけない、という雰囲気はまったくないと言ってもいい」と回答した。同校の教頭は、「応援歌練習は応援委員会が指導をしますが、生徒会の生徒も関わっています。体育館で行われますが、昔とは変わりつつあるんじゃないかと思います。以前は長い期間、昼休みや放課後に『応援歌練習』がありましたが、今は期間も短く、昔のように大声を出さなければいけない、という雰囲気はまったくないと言ってもいい。生徒によっても感じ方はありますが、無理に参加させないようにしています」と話している1。
- “「あんなに大声で罵倒された経験は後にも先にもない。人権侵害です」秋田県で一番の進学校に入学した男子生徒を待っていた“応援歌練習”とは…” 文春オンライン (2025年4月10日)