群馬県立勢多農林高校生自死事件

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2019年(平成31年)2月1日、群馬県立勢多農林高等学校の女子生徒(高校2年生•17歳)は、いじめを苦にして踏切で自死した。
女子生徒が遺した十数枚のメモには「ツイッターに悪口を書かれ、うざいと言われたり、無視されたりした」「先生は私の言葉を信じてくれなかった。ネットで悪口を言われているのは本当なのに」「もうつかれた」「耐えられない」などと記されていた。

女子生徒は入学した数カ月後から周囲の生徒に嫌がらせを受けていたという。「いじめる生徒がいる」と家族に話し、体調不良も訴えた。教員から呼び出されて個室で厳しく指導され、泣きながら帰宅することもあったという。亡くなる1カ月ほど前から体調が悪化していた。亡くなる約1週間前に「同級生から『死ね』と言われた」と母親に相談していた。事故当日は体調が悪く、学校を早退し、家族が付き添って病院で受診。帰宅後に姿が見えなくなった。

女子生徒は一部の授業を負担に感じて2018年7月に自殺未遂したことがあった。学校は、女子生徒のメモは死亡直近ではなく1年生時に書かれた可能性が高いとし、同級生らへの聞き取りでいじめが確認できなかったとした。

2020年11月30日 県教委が設置した第三者委員会は、同級生からの悪口をいじめと認定したが、女生徒が遺したメモは認定せず、いじめは自殺の主要因ではなく「2018年11月の飼い猫の死が影響したことが主要因」と結論付けた。
女子生徒の父親は、「娘や私たちに寄り添った調査をしてはもらえなかった」として再調査を求め、2021年6月18日に県による再調査委員会の設置が決定した。

調査委員会

調査委員会の設置•調査内容

2019年3月31日 高校はA4用紙1枚の基本調査結果を遺族に手渡し、報告した。
亡くなる約2週間前、ホームルームの時間に「3年生を送る会」の準備での打ち合わせで、配役について、ヒロイン役となった女子生徒に対して、周囲の生徒から「なぜ(当該生徒が)やるのか」「他に似合う子がいるのに」など、生徒が複数の否定的な発言をした点をいじめと認定した。
また、女子生徒が担任に相談していたことは認めたが、相談後の対応など詳細は「調査中」とした。打ち合わせ後の当日、女子生徒が「死ねばいいのに」と言われたと訴えている点や、1年時に醜いハダカデバネズミに似ていると言われたという訴えを含む20数枚のメモを書き残した点は、いじめと認めていない。
また、いじめが常態化していたことは否定した。
県教育委員会は、第三者委員会で死亡との因果関係などを調査する。

「県いじめ問題等対策委員会」は弁護士や精神科医、教育関係者ら5人で構成される県教委の常設の付属機関。今回の自殺がいじめ防止対策推進法の「重大事態」に相当するとした。

2019年4月から2020年3月まで13回会議を行った。
聞き取りは女子生徒の両親、教職員11人、クラスの生徒13人、中学時代の友人ら6人、通院していた医療機関2人、県教委職員4人に実施した経緯を記した。
アンケートはクラスの生徒38人、部活動で関係があった生徒20人に配布した。回答はクラスで21人、部活動で9人からあったという。

調査委員

弁護士や精神科医、教育関係者ら6人。

委員長:小磯正康弁護士(群馬弁護士会)
委員長職務代理者:吉田浩之大学教授
福田正人大学教授
横田正夫大学教授
大津豊美氏(保護者•PTA関係)
臨時委員:池末登志博弁護士(群馬弁護士会)
猶原宗雄臨床心理士

2019年5月上旬 父親は県教委へ委員の交代を電話で求め、17日に県教委を訪れたが、「特定の委員を除外しない」などと文書で回答があった。
1人は2010年に桐生市で女子児童(小学6年生)が自殺した問題で、両親から聞き取りせずに「家庭環境などの要因も加わった」と指摘した調査委の元委員だった。(その後、委員は続けるが、同事案の調査は辞退した。)
委員3人は前身の委員会の設置当初の2011年から委員だった。うち1人は県の審議会や別の委員会でも長年委員を務めていた。
別の審議会で長年委員を務める人もいた。

県の委員ではそれぞれ報酬が出ていた。残る委員も県内の公職を務めていた。

調査報告書•その後

2020年3月30日 中間報告 約10頁

2020年11月30日 報告書
亡くなる直前に学校行事の配役を巡り、他の生徒の「何であいつなんだ」などの発言に女子生徒が苦痛を感じていたとみられる点を、「いじめ」と認定した。学校の調査もこれをいじめと認定しており、新たないじめは確認されたなかった。
女子生徒が残した27枚のメモについては、意味が不明なものや、考え過ぎなものと思われるとし、いじめの要因とは認定できないと判断した。
他の悪口や女子生徒のメモなど5件は、証言が抽象的で認定できないなどとした。
また、「自死の要因としは主要なものではない」「複合的なもの」とし、自殺との因果関係は認めなかった。
学校側の問題点としては、いじめの正確な認知や重大事態への備えについて、適切な対応ができていなかったことを指摘し、再発防止策として、徹底した研修の実施などを求めた。

詳細な報告書は「遺族の了解が得られていない」として非公表とされた。

県教委は、提出された71頁の報告書の内、28頁の概要版しか遺族に送っていなかったことが判明した。概要版であることを説明していなかった。
県教委は、委員から「ボリュームが多く遺族が読むのは大変だ」「関係者が見て誰のことを書いているか判らないようにプライバシーに配慮すべきだ。」といった意見が出たため、第三者委員会の判断に従ったまでと釈明した。

調査委員会の報告書の答申時点での説明によると、いじめは自殺の主要因ではない•自殺の要因は「複合的なもの」と判断したとされていたが、遺族によると、報告書では「2018年11月の飼い猫の死が影響したことが主要因」と結論付けられていたという。遺族側はこの結論に強い疑問を持っているとしている。
遺族は、自分たちが報告書を受け取る前に勝手に概要を公表したのは許せないとした。

答申(概要) 4頁

2021年2月上旬 保護者が、県教委に報告書全文を情報開示請求し、公開した。
概要版では、全文にある「同級生が『死ね』みたいなことを言っていた。(女子生徒に)聞こえていたような」という証言や亡くなる当日か少し前に、女子生徒が3、4人の友人に、「私もうすぐ死んじゃうのかな」と言っていたこと、女子生徒の自殺未遂を把握した学校側が県教委への報告を怠っていたことなど、学校や教委にとって都合の悪い部分が削除されていたことが判明した。

再調査委員会

再調査委員会の設置•調査内容

女子生徒の父親は取材に「娘や私たちに寄り添った調査をしてはもらえなかったと感じている。『悪口や陰口があった』という証言もあり、1年の時から悩みをメモ書きにして残していたのに、なぜいじめではないのか」と話し、再調査を求めた。

2021年6月18日 県が常設する「再調査委員会」が調査することを決定した。

調査委員

常設委員に、遺族が推薦した任意団体「いのちのミュージアム群馬実行委員会」の代表(山田穂子)が臨時委員として加わった。

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