八王子市立第六中学校陸上部員自死事件

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2018年(平成30年)8月28日、八王子市立第六中学校の女子生徒(中学2年生•13歳)は、陸上部の上級生らからLINEで批判されたり、無視されるなどのいじめに遭い、電車に飛び込んで自死を図り、約2週間後に死亡した。遺書には3月まで在籍していた陸上部での「トラブル」という言葉や、「部活で仲良くしていた子に無視され悲しかった」「まわりが助けてくれなかった」「学校に行きたかった」などと同級生との人間関係に悩んでいたことを窺わせる内容が書かれていた。

2019年8月5日 調査委員会は、「いじめ」が不登校の重大事態の契機になっており、直接的な関連性があると認定したが、「いじめ」と「自殺」との間には直接的な関連性は認められないと判断した。

2022年5月14日 再調査委員会は、「いじめと学校の対応のまずさが自殺の主な要因」とする報告書を公表した。

事件の経緯

2017年8月下旬、女子生徒は家族旅行で部活動を休み、写真をSNSに投稿したところ、陸上部の上級生からLINEで批判されたり、他の部員から無視されたりして、9月に入って女子生徒は不登校になった。

同年10月上旬、女子生徒と両親が学校にこれまでの経緯を説明し、陸上部の顧問は上級生に事情を尋ねると、上級生は「強く責めてしまった」と答え、女子生徒に謝罪した。女子生徒が「謝ってもらったので大丈夫です」と言ったので学校はトラブルは解決したと判断した。しかし、女子生徒が亡くなる数ヵ月前にも女子生徒の携帯電話に「消えろ」などとメッセージが送られるなどいじめは続き、女子生徒の不登校は2018年4月に別の中学校に転校した後も続いていた。

学校側は女子生徒や保護者から何度も相談を受けていたが、「当校には悪い子は一切いません」と話し合いを拒否し、真剣に取り合わなかった。

女子生徒の遺書

女子生徒の遺書

お母さん、お父さんへ
これを読んでいるという事は私が死んだって事ですね。
最後まで迷惑をかけてごめんなさい。
ずっと言っていなかったからここでいうけど、中1の時、学校に行かなくなったのは部活が理由です。
なぜか途中からみんなが私をさけて、私がめんどくさがり屋で部活に行かなかったり、大会に出なかったりしたからなのかなって思うけど、ずっと部活で仲良くしてた子に無視されたりしたのは悲しかったし辛かった。LINEのステータスメッセージとかでわるくいわれるのも全部私がわるいくせにおちこんで悲しんだ。先輩ともめたりした時も、だれもたすけてくれなかったなって思う。
こういうことがあったから部活をやめようとしていろんな理由を出したのに、引きとめられて勉強と両立できないって言ってもダメで結局、自分の意思も弱くて、辞められなかった。先生は、先輩達は両立させてみんな志望校に受かってきたって言ってたしね。でも私のきらいなもめた先輩がおちたことしって本当笑えるって思った。そこから不登校をして、私もだんだんどうして学校にいけなくなったのかいきたくないのかもわからなかった。それで転校することになって、行ったけど人見知りで、ぜんぜんうまくいかないしそんなに仲良くなれなくて、ちゃんと行くからって言ったのに、行けなくて、くやしかったしそんな自分がイヤで本当に自分がキライになった。制服だってなんだって、行くからって言ったのにうそつきでごめんなさい。口だけの負け犬でごめんなさい。
私が普通の子でたくさん友達がいて、ちゃんと学校に行ってる子だったら、幸せだったのかな。
ろくでもない子どもでごめんなさい。
学校も行けない弱虫でごめんなさい。
私もそんな私が大キライです。
学校が始まるのがこわいです。
行けてないから、この先のことをかんがえると、ものすごくあせるし、ちゃんとしなきゃって思うけど、思ってるだけでなにもできない。
毎日「早く死にたい」って思ってた。
もっと不登校にやさしい世界だったらなってあまえて思ってしまうこともあります。
義務教育って大切なことはわかるけど、学校に行かなきゃダメかな。塾とかじゃダメなのかなって思う。
でもお父さんは私に学校毎日ちゃんと行って欲しかったよね。
行けなくてごめんなさい。
ここまで育ててくれてありがとう。長生きちゃんとしてね。
◯◯(女子生徒の名前)
できれば最後までるんちゃん達飼ってて欲しいです。
出典:日本経済新聞

調査委員会

調査委員会の設置•調査内容

市教委は、内部調査をした上で「いじめがあった」と認定した。
2018年11月14日 八王子教育委員会は、いじめ問題対策委員会に調査を依頼。自殺との因果関係を調べた。
職能団体に推薦を依頼した。
2018年11月28日 八王子市いじめ問題対策委員会調査部会を設置した。

調査開始時から、部活動の先輩との間にトラブルがあったことが女子生徒の不登校の契機と思われることが、遺族、学校、市教委の間で共通認識になっていたこと、遺書にも不登校となった理由が部活動であること等が記載されていたことから、アンケートは実施しない。

女子生徒の保護者、甲中学校生徒28名、同卒業生6名、同教員7名、乙中学校生徒2名、同中学校教員2名、市教委職員5名、警察官1名、その他の関係者4名から聴き取りをした。
12回会議を行った。他、調査方法の協議、調査結果の分析、検討等のために随時、部会員の一部または全員による打ち合わせをした。
すべての会議を市教委事務局の立ち会いなく実施した。部会員のみで情報共有した。

調査委員

委員長:松浦信平弁護士(第二東京弁護士会)
委員:杉森伸吉東京学芸大学教授
笠原祥乃弁護士(第一東京弁護士会)
坂倉渉太弁護士(東京弁護士会)
大塚充臨床心理士
滑志田ひとみ臨床心理士

調査報告書•その後

2019年8月5日 報告書提出(全67頁)
陸上部で、練習を休みがちな当該生徒が、SNS上で家族旅行について触れたところ、3年生の先輩がLINEのステータスメッセージに「自慢ですか」と書いたことを契機に、非難の応報があったことをいじめと認定した。
陸上部の学校対抗大会に、前日は参加すると言っていた当該生徒が来ず、問い合わせに「足が痛くなった」と答えたことに対して、「足が痛くても来られるでしょ」と送信したのは「いじめ」と認定した。(ただし、その後手紙を通して真摯な謝罪をし、友人関係を回復させている)

「いじめ」が不登校の重大事態の契機になっており、直接的な関連性があると認定した。
「いじめ」に該当する行為と、当該生徒の自殺との間に相当の期間が経過しており、その間に、不登校の長期化、転校、転校後の不登校、進路の課題への直面等、様々な要素が介在していること、遺書にも陸上部での出来事を学校に行かなくなった理由としているが、自殺する直接の理由とはしていないこと、転校後のいじめは認められなかったとして、「いじめ」と「自殺」との間には直接的な関連性は認められないと判断した。

再調査委員会

再調査委員会の設置

女子生徒の遺族が「学校による不適切で違法な対応が不登校の継続や長期化の原因だ」として市長に再調査を申し立てたことを受けて、市長は市いじめ問題調査会を設置した。

調査委員

委員:伊東亜矢子弁護士(第二東京弁護士会)
倉持政勝弁護士(第一東京弁護士会)
金井美穂社会福祉士
高塚雄介明星大名誉教授
西田俊男東京都公立学校カウンセラー(臨床心理士)

調査報告書

2022年5月14日 「いじめと学校の対応のまずさが自殺の主な要因」とする報告書を公表した。

女子生徒がTwitterで家族旅行に行ったことを呟いたことに、陸上部の上級生が「自慢ですか」とLINEに書き込み、試合に欠席し旅行に行った写真をSNSに掲載し、部員から「足が痛くても(試合に)来れるでしょう。」などとメッセージを送られたことなどが、女子生徒に心理的苦痛を与え、自殺の一因になったと認定した。

また、学校がいじめを重大事態として調査せず、女子生徒が不登校になった後も専門家に相談しなかったことにも触れ、「学校の不作為が自殺につながる心理的な苦痛を強めた可能性がある」とした。

死亡見舞金不支給問題

2023年2月、SNS上でのいじめが「学校の管理下で行われた事実が確認できなかった」として、スポーツ振興センターは死亡見舞金の不支給を決定した。遺族側が不服審査を請求し、センターは外部有識者を含む審査会で再審査した。2021年の市の再調査報告書が「部活動での心理的ないじめがあった」「学校の管理下の出来事が自死の主な要因となった」と指摘していることを踏まえ、「学校の管理下において発生した事件に起因する」と認め、2023年8月9日付で遺族側に死亡見舞金2800万円と医療費が支給された。

関連資料

中2女子いじめ自殺 遺書に「学校が始まるのがこわい」 (2018年11月7日)


出典:TOKYO MX

中2女子いじめ自殺 八王子市長 「早急に原因究明を」 (2018年11月22日)


出典:TOKYO MX

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