浜松市立曳馬中学生自死事件

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2012年(平成24年)6月12日、静岡県の浜松市立曳馬(ひくま)中学校の男子生徒(中学2年生•13歳)は、クラスの半数以上の男子生徒から「出しゃばるな」「きもい」「死ね」などの暴言を吐かれたり、ゲームやプロレスをまねて首を絞められたり拳で腹を叩かれるなどの暴行を受けていたこと、塾帰りにエアガンで撃たれたことなどを苦にして、マンション屋上から飛び降り自死した。

2012年12月19日、調査委員会は男子生徒が「死亡前の約4カ月間、塾や学校で悪口を言われるなどのいじめを受けていた」と認定する報告書を公表した。第三者委は死亡時の状況から、男子生徒は自殺したと判断したうえで「背景にいじめがあったと言わざるを得ない」としたが、遺書がないため、直接の原因だったかどうかは分からないと結論付けた。

2014年1月15日、静岡県警は、自殺した生徒への集団暴行に関与したとして、同級生1人を暴力行為法違反(共同暴行)容疑で静岡地検浜松支部に書類送検。同日付で、当時13歳だった同級生8人についても、同法違反と器物損壊で児童相談所に送致した。

2016年1月25日、静岡地裁浜松支部で、11人の同級生がいじめを謝罪することと、浜松市が学校側の対応に遺憾の意を表し、いじめ防止と再発防止策を取ること、同級生らと浜松市が男子生徒の遺族に計495万円を支払うことなどで和解した。

事件の経緯

2012年2月から男子生徒に対するいじめが始まり、2年に進級後はクラスの半数以上の男子生徒から「出しゃばるな」「きもい」「死ね」などの悪口を言われたほか、ゲームやプロレスをまねて首を絞められたり、拳で腹を叩かれるなどの暴力を受けていた。塾帰りに男子生徒に向けてエアガンを1、2回撃たれたこともあった。

4月中旬、男子生徒は塾帰りに自宅近くで5~6人の同級生らに囲まれ、自転車を蹴られたり、体を押されたりしているのを周辺住民が目撃していた。通行人から通報を受けた塾の講師たちが同級生の生徒らに注意した。男子生徒は「大丈夫」と答えていた。

4月、同生徒が塾帰りに同級生に取り囲まれて小突かれたり、乗っていた自転車を蹴られるなど、地域住民や塾関係者が目撃して注意していたことが判明した。
また、同級生の名をあげていじめられていると家族に訴えていた。

6月12日午後4時35分頃、浜松市中区の10階建てマンションの管理人から、建物南側のコンクリート敷きの駐車場に男性が倒れていると110番通報があり、病院に運ばれたが死亡が確認された。死亡したのはこのマンションに住む浜松市立曳馬中学校の男子生徒(中学2年生•13歳)で、見つかった時は学校の体操着姿だった。マンションの屋上に男子生徒のものと見られる靴跡があったことなどから、転落死したとみられ、遺書はなかったが、飛び降り自殺した可能性もあるとみられた。

同中学校の教頭によると、男子生徒は12日は普段通り登校。3、4時間目には外部からの講師を招いて命の大切さについて考える「命の教育講演会」に参加していた。6時間目の授業までは出席したが、所属する卓球部の練習は休み、午後3時45分頃下校したという。
また同校では5月31日にいじめに関するアンケートを実施したが、男子生徒はいじめられた経験もいじめた経験も「ない」と回答していたという。

石川和男校長は保護者集会で、「いじめがあったと思う」と発言したが、市教委は「死との因果関係が認められるものは確認できていない」として、いじめが自殺の原因であるという認識は否定した。
男子生徒の死後、「いじめがあったのではないか」との遺族の指摘を受け、関係者から事情を聴き、同じクラスや部活の生徒らに聞き取りや記名式のアンケートをしたが、「新たな事実は見当たらなかった」という。
保護者対象のアンケートで複数が「生徒は学習塾帰りにいじめを受けていた」と記述していたため、同中が塾に確認した結果、塾からいじめがあったとの報告を受けたが、塾に通う生徒を対象にした調査を行わなかった。

調査委員会

調査委員会の設置•調査内容

2012年7月11日、市教委は、いじめの有無を調査する第三者委員会を発足させることを決定した。

7月26日、事実関係の調査を開始した。全校生徒に対する無記名アンケートなど、報告書の作成に約5か月間を要した。
アンケートには全校生徒の8割近い回答があり、うち約15%が名前を記入していた。

調査委員

委員4名。氏名公開。
委員長:静岡県弁護士会子どもの権利委員会の弁護士
副委員長:元家裁調査官で静岡英和学院大教授(生徒指導論)
委員:臨床心理士
元警察官

調査報告書•その後

2012年12月19日、浜松市教育委員会が設置した第三者による調査委員会は男子生徒が「死亡前の約4カ月間、塾や学校で悪口を言われるなどのいじめを受けていた」と認定する報告書を公表した。第三者委は死亡時の状況から、男子生徒は自殺したと判断したうえで「背景にいじめがあったと言わざるを得ない」としたが、遺書がないため、直接の原因だったかどうかは分からないと結論付けた。

報告書によると、2012年2月からいじめが始まり、2年に進級後はクラスの半数以上の男子生徒から「出しゃばるな」「きもい」「死ね」などの悪口を言われたほか、ゲームやプロレスをまねて首を絞められたり、拳で腹を叩かれたりしていた。塾帰りに男子生徒に向けてエアガンを1、2回撃たれたこともあった。

市教委は、「教育委員会からのメッセージ〜第三者による調査委員会の調査報告書を受けて〜」として提言の部分を公開した。
校長は報告を受けて記者会見し「教職員が心中を事前に察知して救うことができなかったことをおわびしたい」と謝罪。「いじめが生徒を孤立させ、追い詰めたと思う」と述べた。

加害生徒らの処分

2013年5月、男子生徒の父親は、同級生からのいじめが死亡につながったとして浜松中央署に被害届を提出した。

2014年1月15日、浜松中央署は暴力行為法違反(共同暴行)の疑いで同級生の男子(15歳)を静岡地検浜松支部に書類送検し、同法違反(同)や器物損壊の疑いで8人を浜松市児童相談所に送致した。児童相談所は「8人の処分については答えられない」とした。
署は「関係者の聞き取りや証拠品の確認などで、事実が確認できるかを調べた。集団による行為であることを重くとらえた」と説明。ただ、男子生徒の転落死を自殺とみるものの、立件した行為との因果関係は「分からない」との立場をとった。

容疑では、9人のうち4人は2012年4月に市内で男子生徒をエアガンで撃ち、3人は同月に男子生徒の自転車を蹴ったとされる。1人は同1月に男子生徒の筆箱をはさみで切り、2人は同6月に油性ペンで筆箱に落書きしたとされる。
署によると、書類送検された男子はエアガンと自転車の両方の行為に関わり、自転車を蹴ったとされる時は14歳だった。ほかの8人は当時14歳未満のため刑事罰に問えない。9人とも容疑を認めた。

校長は「警察の判断を重く受け止めている。◯◯(男子生徒の苗字)君は学校で苦しい日々を過ごしていた。私たちが早く気付けず、守れなかったことに深い責任がある」と話した。
父親は「強制力のある警察の捜査で、新たな事実が出てくるのを期待したが、立件できたのは調査委の指摘の一部だけだった」と話した。

3月31日、静岡地検浜松支部は、転落死の約2か月前に男子生徒の自転車を蹴ったとして、暴力行為法違反の疑いで、同級生だった少年(15歳)を靜岡家裁浜松支部に送致した。送致容疑は2012年4月、浜松市で、ほかの男子生徒と一緒に自転車を足で蹴るなどして暴行を加えた疑い。家裁浜松支部は事件の内容や少年の性格などを調査し、少年審判を開始するかどうか決定する。

民事損害賠償請求訴訟

提訴

2013年、男子生徒の自殺は同級生からいじめを受けたことが原因の自殺だったとして、両親は同級生ら11人に約6400万円の損害賠償を求めて提訴した。

訴状によると、男子生徒は2012年2月頃から約4か月間、クラスや卓球部の部活動、通っていた塾などで同級生ら約11人から悪口を言われ、殴られるなどのいじめを受け、自殺に追い込まれたとされる。これまでの弁論で、原告側はいじめの予防や制止を十分しなかったなどと主張。学校側は注意義務違反を否認し、生徒側も自殺といじめの因果関係などを否定して請求棄却を求めた。

2015年3月2日、第6回口頭弁論が静岡地裁浜松支部で開かれた。古谷健二郎裁判長が和解を勧告し、原告、被告が今度、和解条件などの協議を進めるとした。
弁論後の会見で原告側弁護士は市に対し、風化防止やいじめの再発防止策を求める方針を示した。父親は「行為の善悪を明確にし、学校や担任、加害生徒に◯◯(男子生徒の名前)の命の重みを永遠に背負わせたい」と述べた。

和解(静岡地裁浜松支部)

2016年1月25日、同級生らと浜松市が計495万円を支払うことなどで静岡地裁浜松支部(古谷健二郎裁判長)で和解した。
原告側代理人によると、和解条項には同級生がいじめを謝罪することや、浜松市が学校側の対応に遺憾の意を表し、いじめ防止と再発防止策を取ることなどが盛り込まれた。

両親は「校長や担任教諭らはいじめに気付かずに放置し、自殺後も原因の調査などを行わなかった」と主張していた。
和解条項について原告側には「(全体としては)こちらの要求とはほど遠い内容」と不満があったが、原告側代理人は「同級生らの行為に対する法的責任にかかわらず、今後のいじめ防止のため、同級生らが謝罪と哀悼の気持ちを持ち続けるように裁判所が促してくれたことで、両親が和解受け入れを決めた」と話した。

父親は記者会見で「和解は一つのけじめで、息子の霊前に報告したい。いじめをした同級生らはやったことの責任を背負って生きていってほしい」と述べた。
浜松市の花井和徳教育長は25日、「亡くなった◯◯(男子生徒の苗字)君とご遺族にあらためて追悼の意を表します」とのコメントを出した。

参考資料

静岡県浜松市•市立曳馬中学校いじめ自殺地上の涙

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