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2015年(平成27年)7月7日、兵庫県の姫路市立灘中学校の男子生徒(中学1年生)は、所属する柔道部の練習中、柔道部の先輩(中学2年生•中学3年生)から、頭や顔、体を10回以上叩かれ、太腿や腹部を膝で蹴られ、喉を物差しで突かれるなどの暴行を受け、胸骨骨折で全治1ヶ月の重傷を負った。
男子生徒が病院に搬送される際に、柔道部顧問の男性教諭(58歳)は「階段から転んだことにしておけ」と、付き添った副顧問に嘘の説明をするよう指示し、副顧問はそのように医師に伝えた。
顧問はその後、市教委や校長の指示に従わず、加害生徒の一人を大会に出場させていた。
市教委の調べに対し、顧問教諭は「警察に通報され問題が大きくなると思った。隠す意図はなかった」と話している。
2016年2月、県教委は「いじめの対応、職務命令違反という点で大きな問題がある」として、柔道部顧問を停職6ヶ月の懲戒処分とした。また、指導監督が不十分だったとして校長を訓告処分とした。
調査委員会
調査委員会の設置•調査内容
2015年7月9日 学校は市教委に報告し、他の部員にもいじめの有無を尋ねるアンケートを実施した。他に被害は確認されなかった。
市教委は重大事態として対応した。
報告書•その後
調査の結果、加害生徒2人(中学2年生と中学3年生)は、被害生徒を含めた男子生徒3人(何も中学1年生)に日常的に暴力を振るっていたことが判明した。
市教委の調査で、柔道部は強豪校として知られ、市の許可なく、校区外から「越境通学」している疑いがある生徒が18人いることが判明した。
部員54人中42人が県外を含む校区外の出身者だった。いじめの加害生徒と被害生徒は何も県外出身者で、学校近くの下宿で共同生活を送る中で今回のいじめが発生していた。
柔道部の男子生徒2人は、1年の男子生徒3人に対し、プールや海に無理矢理沈めたり、揮発性の香水を腕に塗って火を付けたりした他、殴る蹴るなどの暴行をしていた。
下宿で嫌いな食べ物や食べきれなかったものを1年生に食べさせ、食べきれなかった生徒を暴行した他、1年生がタメ口をきいたとしてエアガンで撃つなどしていた。
7月29日 市教委は出場が決まっていた近畿中学校総合体育大会に、加害生徒の1人を出場させないように学校に指示し、校長も顧問に命じたが、顧問は従わず、8月4日の大会に出場させていた。
市教委は、学校長や部活動の顧問、保護者や地域住民らが参加し、部活動の時間や指導内容が適正であるかどうかをチェックするために、市立の全35中学校に健全な部活動のあり方を検討する懇話会を設置した。
関係者の処分
2016年2月 県教委は、「いじめの対応、職務命令違反という点で大きな問題がある」として、柔道部顧問を停職6か月の懲戒処分とした。また、指導監督が不十分だったとして校長を訓告処分とした。
2016年10月、元教諭は処分を「重すぎて不当」として提訴した。二審•大阪高裁は処分の取り消しを認めたが、2020年7月6日、最高裁(木沢克之裁判長)は、高裁判決を破棄し、「処分は県教育委員会の裁量の範囲内」として、元教諭の請求を棄却した。
最高裁は、元教諭は大会のために主力選手の不祥事を隠そうとし、被害生徒の気持ちを蔑ろにしたと指摘し、「いじめを受けた生徒の苦痛を取り除くことを最優先に対応すべきだ」としたいじめ防止対策推進法の趣旨に反し、医師の診察も誤らせうる「重大な非違行為」と認定した。
その上で、「(生徒は)実際に適切な治療が受けられなかったわけではない」などとして処分を取り消した二審判決の妥当性を検討した。県教委が免職の次に重い停職6ヶ月とした処分には、「決め方が形式的で直ちに首肯しがたい点はあった」としつつ、いじめを隠すなどの重大さを踏まえれば、「裁量を逸脱するものとまではいえない」と結論付けた。
参考資料
“いじめで骨折「転んだことに」元教諭が逆転敗訴 最高裁” 朝日新聞 (2020年7月6日) 他