Is info on this listing outdated? Are you owner of this business? Register and claim it now.
茨城大学教育学部附属小学校に通う女子児童(当時4年生)は、2021年(令和3年)4月頃から同級生の女児から登下校を含めて学校で一日中付きまとわれたり、悪口を言われるなどされたことを苦にして不登校になった。
学校は女児がいじめを理由に不登校が続く「重大事態」と認定しながら、約1年3ヵ月にわたり文部科学省に報告せず、いじめ防止対策推進法に基づく調査もしていなかった。保護者には、認定の半年後に文科省へ報告したと事実と異なる説明をしていた。
事件の経緯
2021年4月頃 女子児童は、同級生の女児から登下校を含めて学校で一日中付きまとわれたり、悪口を言われたりするなどされた。
6月 女子児童は学校を休みがちになり、不眠や腹痛、吐き気を訴えるようになった。母親が付き添って登校することもあったが、5年生になっても不登校が続いていた。女子児童は母親に自殺を仄めかすこともあった。保護者は、女子児童がいじめを理由に欠席していることをクラス担任に連絡した。
2023年1月13日 保護者は学校に同級生への指導を求めたものの、状況が改善されていないとして、校長らと面談した。いじめ防止対策推進法に基づいて学外の第三者による調査を求めた他、文部科学省への報告情報も尋ねた。これに対して校長は、「2022年5月30日に重大事態として大学から文部科学省に報告した」と説明した。
1月24日 校長は「第三者委員会による調査の必要は無いと判断しました」とする文書を保護者に送り、調査を拒否した。
2月2日 保護者が文科省に対して重大事態の発生報告の記録の情報開示請求をしたところ、3月3日付で「保有していないため不開示」と学校側の未報告が疑われる通知があった。
2月16日 学校が大学を通じて文科省に重大事態の発生を報告した。
2月17日 保護者が、いじめ防止対策推進法に基づく手続きが行われているのかを改めて確認したところ、学校は「重大事態と認知したのは21年11月」「大学から文科省に22年5月30日に報告」と保護者にメールで回答した。
3月17日 茨城大学が保護者らとの面談で「いじめ防止対策推進法に基づく調査は行っていない」と説明した。2月16日に文科省に重大事態として報告したと明らかにした。
4月6日 毎日新聞がスクープ記事を掲載した。
学校側は毎日新聞の取材に対して、「制度に対する認識が不足していた」などと対応の誤りを認め、いじめ防止対策推進法に基づく第三者委員会を設けていじめを調査すると明らかにした。
同日、同校の校長•副校長、同大教育学部長は、被害女児と母親、代理人弁護士と面会して一連の対応を謝罪した。ただ、学校側が謝罪文を読み上げる形を取ったため、母親や弁護士から「娘に分かるようにお話をしていただけたら」「普通の言葉で『ごめんなさい』って言っていただければ」と求められた。
結局、面会が始まって10分以上たって、学校側の3人は「ごめんなさい」「安心して登校できるように、先生たちと一緒に考えて頑張っていきます」などと噛み砕いた言葉で謝った。

出典:茨城大学教育学部附属小学校|本学教育学部附属小学校のいじめ事案に係る報道について

出典:茨城大学|本学教育学部附属小学校のいじめ事案への対応に係る報道について
4月10日 永岡桂子文科相は、茨城大学の太田寛行学長に面会し、茨城大学教育学部附属小学校がいじめの重大事態に関する文科省への報告を長期間行っていなかった問題で、第三者委員会による調査を速やかに行うよう口頭で指導した。同校は第三者委員会を設置し、いじめの内容の検証と再発防止に努める方針。文科省は、調査を早期に開始するとともに、構成メンバーの人選が大学関係者らに偏らないことや、調査の進捗について保護者らと共有することも求めたという。
3月に同校でいじめの実態が解明されず問題が解消されていないとして学外の第三者による調査を求めた保護者や代理人弁護士と面談した際、「どれだけ調査したら気が済むんだ」と述べていた茨城大学教育学部副部長の三輪寿二教授が、「いじめ問題について問題発言があった」として、同日付でひたちなか市教委のいじめ問題調査委員を辞任した。
市教委によると、市教育研究所で不登校などに関する専門家として三輪氏の助言を受けていた。そのため、重大事態を調査するいじめ問題調査委員会を設置した2017年4月から委員を委嘱していた。同市では、その後重大事態が発生していないが、その他のいじめについて市教委は三輪氏の助言を得ていたという。
4月13日 茨城大学の太田寛行学長は千葉県庁を訪れ、教育長に現状を説明した。記者団に「いじめられた児童や保護者に申し訳なかった。学習支援や心のケアに努める」と述べ、第三者委員会を設置し、いじめの詳細や学校の対応を調査する方針も明らかにした。
4月30日 同校の渡部玲二郎校長は「一身上の都合」として辞任した。大学側は辞任を認めた理由を「報道もあり、子供にとって望ましい状況を踏まえて受け入れた」としている。渡部氏は、兼任の教育学研究科教授は引き続き務める。5月1日から毛利靖•付属中校長が付属小校長を兼務する。
学校が文科省への重大事態の発生の報告を怠った経緯
3月17日に女児の母親と祖父、母親の代理人の松井武弁護士(第二東京弁護士会)と、教育学部副部長の木村勝彦、三輪寿二(茨城県ひたちなか市教育委員会のいじめ問題調査委員)両教授が出席した面談で、保護者側がいじめの実態が解明されず、問題が解消されていないとして第三者による調査を再三求めたが、三輪氏は「調査って言葉、僕もあんまり使いたくなくて、グチャグチャになっちゃうから嫌なんだけど」と学校が加害児童への面談などを実施してきた経緯を説明し、弁護士から重ねて事案の解明を求められると、「じゃあ、先生(弁護士)はどれだけ調査したら気が済むんだ」と言った。
弁護士の「重大事態として認定しているんだから、調査は義務付けがある」という問いに対して、三輪氏は「法に基づく調査は現時点では行っていない」と認め、母親が情報開示請求した2月2日までに文科省に重大事態を報告したかを糺されると、2月16日になって報告したことを明らかにした。
学校が「2022年5月30日に文科省に報告した」と説明してきたことについては、木村氏は「(件数が)『1件』ということで報告はしてます」として、それは文科省が毎年、全国の学校から不登校やいじめなどの件数を集約する統計調査への回答だったことを示唆した。続けて、いじめ防止対策推進法では統計調査とは別に国立大学の附属学校に対して大学の学長を通じて文科省に報告するように明記されているにもかかわらず、「詳細な報告の必要性については、特に法的には書かれていない」と言った。(文科省がいじめ防止対策推進法に基づき策定した指針では報告内容なども例示し、不登校で重大事態が発生した場合は報告は「7日以内に行うことが望ましい」と記している。)
茨城大学は毎日新聞の取材に対して、2022年5月30日の文科省への報告は、「統計調査への件数報告」で、誤った対応であったと認めた。
参考資料
“「茨城大付属小でいじめ不登校 「重大」認定も1年以上調査•報告せず」” 毎日新聞 (2023年4月6日)