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2025年(令和7年)1月下旬、広島県の私立広陵高等学校の硬式野球部に所属する男子生徒(高校1年生)が寮内で消灯後にカップラーメンを食べるという禁止行為を行ったことで、4人の2年生男子が当該部員に対して暴力行為を行った。学校側は関係者に聞き取りをしたうえで日本高等学校野球連盟(高野連)に報告した。報告を受けた高野連は、同年3月5日に野球部へ厳重注意を行った。
同年8月の甲子園大会には出場し、8月7日の1回戦では北北海道代表の旭川志峯高校に勝利した。試合後の整列の際に旭川志峯の部員3人が握手をしなかったことについて、1月の事件が影響した可能性が指摘された。同日、他の暴力行為もあった可能性も浮上した。8月8日に学校は「第三者委員による調査中」と発表した。
本件がSNSで話題となり拡散されると、生徒への誹謗中傷が相次ぎ、爆破予告や部員の顔写真の拡散が行われた。8月10日、同校は「生徒、教職員、地域の方々の人命を守ることを最優先する」として出場を辞退した。
学校は事件を「指導に伴う単発の暴力」と定義し、いじめ防止対策推進法に基づく「重大事態」としては扱わず、県への報告は行わなかった。Aさんの保護者は、学校が事実を過小報告し、調査が不十分だったとした。また、監督や学校幹部が「事件を表に出すな」と圧力を掛けていたと訴えた。
事件の経緯
2025年1月20日、Aさんともう一人の1年生部員Bさんが清風寮(広島市安佐南区)の部屋で禁止されているカップラーメンを食べているところを先輩が見つけ、二人を口頭で注意した。
1月21日、Aさんは複数の先輩部員から殴る蹴るの暴行を受け、右肋骨部打撲で約2週間の安静加療を要する怪我を負った。
1月22日、Aさんは先輩部員から呼び出しを受け、「本当に反省しているのか?反省しているなら便器舐めろ。◯△(部員名)のチンコ舐めろ」と命令されるなどした。(Aさんは「靴箱舐めます」と拒否した。)
1月23日未明、Aさんは寮を脱走し、母親にSOSの連絡を入れた。その後、部長らと幾度かのやり取りを繰り返し、集団暴行の事実確認を行った。加害生徒ら食事の時間をずらすなどできる限り接触しないように配慮した上で、「戻ってきて欲しい」と部長が提案した。
1月26日、Aさんは母親と共に寮に戻った。
1月27日、学校側が暴力事案を聞き取った報告書がAさんの両親に渡された。
監督はAさんから相談を受けた際、3人のコーチも同席する中で、「嘘をつくな」「親もそうされて育っている」「2年生の対外試合がなくなってもいいのか」などと発言し、事件の隠蔽を試みた。(この発言について、スポーツ紙記者は「要するに“おまえが事を大きくすると野球部に迷惑がかかる”と。部に対し絶対的な権力を持つ監督から部員に対してですから、“そんなことはさせない。したらわかってるのか?”というような脅しに近い発言ともいえます」と述べている。)
「加害生徒と食事やお風呂の時間をずらす」という部長による約束は守られず、Aさんとは別の棟に移して隔離する約束だったはずの加害生徒の1人は隣の部屋に移ってきた。加害生徒の中にはAさんに謝罪する選手もいたが、加害生徒ではない上級生の中には食堂で体当たりをしてきたり、風呂場で「クソがっ」と罵倒したりする者もいた。暴行事件の報告書を提出し、2度と起こらないようにしっかり対策を協議し、速やかに保護者会を開いて改善策を提案すると部長は約束していたが、Aさんが野球部にいる間に開かれることはなかった。
1月27日、Aさんは帰寮時に監督に呼び出され、「(加害者の一部の名前を挙げ)こいつらは優等生、お前は優等生じゃない」と言われた。Aさんは両親にもうこれ以上、野球部にいることが難しく、「誰も信じられない」と告白し、自主退学を決断した。Aさんは「コーチ3人は、誰も監督を止めてくれなかった。コーチが監督を怖がって、顔色を窺って誰も守ってくれない」と話している。
2月、Aさんが退寮した。
事件発覚後、内部調査を行っていた同校は、2月に広島県高校野球連盟(県高野連)に報告した。
3月5日、高野連は広陵高校に対し「厳重注意」処分を決定した。加害部員には「1カ月以内の公式戦出場停止」を指導した。高野連は「学生野球憲章に基づき、注意•厳重注意は原則非公開」とし、追加の出場停止や大会辞退は求めなかった。
同校は加害部員4人に対し、1か月間の公式戦出場停止処分を科した。
3月末、Aさんが転校した。
5月、Aさんの両親が送った質問状に学校側が回答した報告書が渡された。
6月、Aさんの両親が警察に被害届を提出した。
7月11日、Aさんの両親が県高野連に連絡したところ、学校側から両親に示された報告書と、学校が県高野連に提出した報告書では加害者の人数などを含め、内容が異なっていることが分かった。(校長は10日の会見で、両親に示したのは「途中経過の報告」であるため、最終的な報告と内容が異なると釈明した。)
学校側の公式発表:
当時2年生の部員4人が、1年生部員1人に対し、「胸を叩く」「頬を叩く」「腹部を押す」「胸ぐらを掴む」などの暴力を個別に振るったとした。
被害者側の主張(SNSや保護者による告発):
• 暴力は単発ではなく、複数人(9~10人以上)による集団暴行だった。
• 身体的暴力(殴打、蹴り、平手打ち)に加え、精神的•性的強要(「便器を舐めろ」「性器を舐めろ」などの命令)や金銭要求(約1,000円で口止め)があった。
• 被害者は正座させられ、10人以上に囲まれて死ぬほど蹴られ、顔も殴られた。それを監督に相談したら「お前嘘はつくなよ」「2年生の対外試合なくなってもいいんか?」と逆に追い詰められた。
7月、Aさんは広島県警安佐南署に被害届を提出した。
7月23日、Aさんの保護者を名乗るInstagramアカウント(@whatisjustice0122)が、事件の詳細を告発した。集団暴行や性的強要の詳細を公表し、学校の隠蔽を批判した。

画像出典:週刊女性PRIME

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画像出典:マニアさんのXアカウント

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8月3日頃から、XやThreadsで加害者とされる部員11名の名前や顔写真が拡散された。主将の名前や卒業アルバム、公式サイトの情報が基にされているが、真偽は不明である。
広陵高校は2025年8月5日開幕の第107回全国高校野球選手権大会(夏の甲子園)に広島県代表として出場した。
高野連はSNSの情報について、3月に審議し厳重注意の措置をした事案だと公表した。
8月6日、同校が文書で事案の概要を公表した。SNSで拡散されているような新たな事実は確認できなかったと説明した。
高野連は「新たな事実がない」として出場継続を認めた。
同日深夜、元広陵野球部員の父親がFacebookで実名告発した。(2024年度に起きた広陵高校硬式野球部員暴行傷害事件(3))
8月7日、広陵高校は初戦で旭川志峯高校(北北海道)に3-1で勝利した。試合後、大会本部が「別事案」の情報提供があったことを発表した。学校側が第三者委員会を設置し、調査中と説明した。高野連は「学校が第三者委員会を設置し調査中」と発表し、調査結果次第で追加処分を検討する方針を示した。監督は「学校が発表した通りなので、今を頑張るしかない」とコメントし、性的暴行や隠蔽疑惑には触れなかった。
8月8日、阿部俊子文部科学相が「決して許されない行為」と異例の発言をした。出場の是非は高野連に委ねつつ、辞退の重大性を指摘した。
8月10日、広陵高校の堀正和校長が兵庫県西宮市で記者会見を開き、「被害を受けた元部員や家族への誠意を欠く」と判断し、2回戦を前に甲子園出場を辞退すると発表した。これは甲子園史上初の「大会開幕後の不祥事による辞退」となった。堀校長が県高野連副会長職の辞職を発表した。
同日、広陵高校は緊急の保護者会を開催し、約250人の保護者が参加したが、質問が一切出ないまま約30分で終了する異例の事態となった。堀校長は会見で「誰一人質問の手が上がらず保護者の方が我々の意に同意してくれている様子が伺えました」と満足気に述べ、保護者の理解が得られたと強調したが、保護者会のニュースを報じたコメント欄に「誰一人質問の手が上がらないというけれど、質問の際には息子のポジションと名前を名乗るよう求められていた。そんな状況でもし質問したら子供が退学になるかもしれない。子供を人質に取られているような状態で声を上げられる親はいない。」と参加者と思われる書き込みがあり大炎上した。学校側の報復を恐れて沈黙した保護者を校長が同意と解釈していたことが明らかになった。
8月20日、広陵高校は監督の退任と野球部長の交代を発表した。
監督は、広陵高校、大商大を経て、1986年から広陵高校のコーチ兼副部長に就いた。1990年から監督に就任し、翌1991年の選抜大会で優勝した。2003年にも選抜大会を制した。2007年と2017年には全国高校野球選手権大会で準優勝。同校の副校長も務めている。
参考資料
“【広陵野球部・被害生徒の父親が告発】「その言葉に耐えられず自主退学を決めました」中井監督から投げかけられた“最もショックな言葉” 高校側は「事実であるとは把握しておりません」と回答” NEWSポストセブン (2025年8月17日) 他