熊本市立五福小学校卒業生自死事件

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2019年(平成31年)4月18日、中学校に入学したばかりの男子生徒(中学1年生•13歳)は、小学校6年時の担任の男性教諭(音楽科担当•2022年12月時点で60歳)から仲の良かった同級生が体罰や暴言を受けたことを苦にして、自宅マンションから飛び降り自死した。

2022年10月に第三者委員会で担任教諭の不適切指導が認定され、担任教諭は2022年12月に懲戒免職になった。

事件の経緯

2014年度~2017年度

2014年度 教諭が五福小学校に着任後、顧問の吹奏楽部の指導のみならず授業などの際に、児童の胸ぐらをつかむ、「バカ」「アホ」などの暴言や大声を出すなどの威圧的な行動を繰り返し、苦情が度々学校に寄せられていた。

教諭が担任していたクラスの児童が、教諭の威圧的な指導への恐怖心から保健室登校状態になった。

2015年2学期 吹奏楽部に所属していた男子生徒の姉(6年生)に、「お前の顔を見るとイライラする」などと暴言を吐き、保護者が抗議した。

2016年度•2017年度 教諭は、学級担任を外れて音楽科の専科教員となった。専科になった理由については、教諭本人は「自分で希望した」などとしたが、一部の管理職は「児童や保護者とのトラブルが相次いでいたことを不安視して専科に回した」「その教科を専門とする教員が、新年度に専科担当を希望しなかったので、この教諭を専科に回した」と証言した。

2017年度 教諭が授業中に3年の児童の胸ぐらをつかんで壁に押し付けるなどして後頭部にこぶを作る事件が起きた。そのことを把握した教頭が教諭に指導した際、教諭は逆上し、「そんくらい、すっでしょうもん(そのぐらいするだろう)!」と怒鳴りながら、教頭のいた場所のすぐ横の壁を殴って威嚇した。

2018年度~

2018年度 学校運営の構想では引き続き教諭を専科にする予定であったが、音楽科ができる教員が他にいたことと、6年の学級担任を希望する教員が他にいなかったという理由で、教諭を6年の学級担任に配置した。

4月上旬 入学式の準備の際に、男子生徒と仲の良かった男子児童に対して、男性教諭が胸ぐらをつかんで清掃用具のロッカーに押しつけるなどの暴行•体罰を加えた。男子児童は首に打撲傷を負い、急性ストレス障害などと診断され、登校できなくなり転校した。男子児童の保護者は警察に被害届を出すなどしたが、2019年4月に教諭は不起訴相当と議決された。男子児童の保護者が検察審査会に申し立てを行ったが認められなかった。この事件での教育委員会としての教諭への処分は、「教諭の他の行為についてもまとめて処分してほしいという要望があった」として2022年11月まで保留状態になっていた。

第三者委員会による報告書では、教諭の常習的な「体罰」や威圧的な指導が指摘されると共に、クラスでは教諭が日常的に「児童に大きな声で返事をさせる。緘黙傾向をもつ児童や大きな声を出すのが困難な傾向がある児童にもお構いなしに、大声を出させようとする」「何かあると、別の児童に対してその児童のどこが悪いのかを指摘させる」などの指導を繰り返し、このことが、直接の指導対象となった児童だけでなく、男子生徒を含めて指導の様子を目撃した児童にも心理的な負担が生じる状況になり、クラスの雰囲気を萎縮させていたと指摘された。

卒業前に配布された卒業文集では、複数の児童が文集に掲載された担任教諭の名前と顔写真を塗りつぶしたと指摘されている。また卒業式の呼びかけでは、ある児童が事前の予定原稿を独自に差し替えて、2018年4月に暴行事件を受けて転校した男子児童の名前を出し、「転校した◯君のことを忘れないで」などと言及した。それを聞いた児童や周囲の教職員は、「担任教諭への抗議•批判」と受け止めた。

教諭は同僚教職員に対しても威圧的な態度を取り、他の教員に対して教育活動上の無理難題を押し付けるなどの状況があり、教諭が6年生のクラス編成を強引に変更したり、修学旅行の段取りを勝手に決めるなどの被害もあった。新任の女性教諭を児童の目の前で叱責を繰り返して十二指腸潰瘍にさせて休職させるなど、子供達以外にも教職員や保護者に多くの不適切な対応が認められている。(被害を受けた複数の教諭は、男子生徒が自死する前に教諭の不適切な言動を管理職と市教委に訴えていたが、被害は隠蔽された。)

2019年3月8日 男子生徒の親を含む保護者らが、教諭が体罰などを繰り返しているとして、「熊本市教員◯◯氏に対する厳正な処分を行う事により、◯◯氏による体罰や不適切指導の完全なる再発防止を求める嘆願書」を市教委に提出した。

2019年4月 教諭は五福小学校から力合西小学校へ転勤(2022年12月2日まで勤務)。

男子生徒の自死

2019年4月18日夜 熊本市立藤園中学校の男子生徒が、自宅マンションから飛び降り自死した。

男子生徒は、小学6年時に担任の男性教諭から同級生が体罰や暴言を受けたことに心を痛め、「先生がうざい」と漏らしていた。

男子生徒の両親は、男子生徒の死後に「死」や「呪」と書かれた小学校時代のノート(このノートは自死約1ヶ月前に小学校内で別の教諭が見つけたが、両親に報告しなかった。)を発見したことや、弔問に訪れた同級生から話を聞く中で、男子生徒の自死には教諭の指導が関係しているのではないかという疑念を持ち、そのことを中学校側に伝えて、同級生などへのアンケートがあれば開示してほしい、調査などをしてほしいと伝えた。

学校と教育委員会の対応

中学校は男子生徒に関する情報を確認し、教員への聞き取りも行ったが、自死の兆候を窺わせるような内容は確認されなかった。小学校からの引き継ぎ資料にも気になる情報はなかったが、小学校との情報交換の中で、男子生徒が6年時の担任だった教諭の不適切指導を中学校側に伝えた。

2019年7月 市教委教職員課は、教諭による児童に対する体罰3件、暴言3件、不適切指導14件などを事実と確認した。胸ぐらをつかむ体罰や、複数の児童が教諭の指導により登校を渋ったり休みがちになったりしたこと、インフルエンザにかかった児童を演奏会に参加させたことなどが含まれていた。

2020年3月30日 市教委は同級生から自由記述式のアンケートを取ったり、小学校校長から聞き取りをして、「いじめや友人とのトラブルは見られない」と国に報告。基本調査報告書に自死原因の記載は一切なかった。市教委は、調査結果について、男子生徒の保護者への説明を拒否。文科省の指針を知らなかったとした。

市教育委員会は教諭の行為について150件以上を審議し、2022年11月までに合わせて42件を不適切な指導や体罰であると認定した。その中には調査報告書で指摘されたものも複数含まれていた。

市教育委員会と教諭の異動先の勤務校•熊本市立力合西小学校では、教諭を2022年11月中旬まで通常通り教壇に立たせていたが、2022年11月17日以降は勤務を停止させた。(大西一史市長は「教壇に立たせない判断はもっと早くやるべきだった。命を落とす前に、いろんなことができたのではないか」と述べた。)

市教育委員会は2022年11月に、五福小学校と藤園中学校に在籍する児童•生徒とその保護者に対して、教諭の行為に対する情報提供を呼び掛けた。2022年11月末までに57件の不適切行為の情報が寄せられ、市教委は内12件について「詳細な調査対象とする」とした。

市教委は、それまでに確認された42件の行為を処分対象として、2022年12月2日付で教諭を懲戒免職処分とした。

2022年12月23日 市教委は、確認された教諭の44件の行為を処分対象として、校長に減給10分の1(2ヶ月)、教頭に停職14日、市教委の管理職7人に戒告処分(口頭)、教育長に訓告処分(口頭)を行った。

調査委員会

調査委員会の設置•調査内容

2020年3月 遺族や他の保護者が、教諭が複数の児童の胸ぐらをつかむ体罰や「役に立たない」などの暴言を繰り返していたとして調査を求めた。市教委は、直後は教諭について調査をしていなかった。その後の調査で、教諭が同小に赴任した2014年以降、体罰や「バカ」「アホ」などの暴言など39項目の不適切行為があったことが判明した。

2020年3月30日 市教委は第三者委員会を設置する方針を示した。遺族は、「第三者委では、自殺と、不適切指導との関連を踏み込んで調べてほしい。」「遺族の意向を踏まえて委員を選ぶよう」求めている。
「市子どもの死亡事案に関する詳細調査委員会」を健康福祉局子ども未来部子ども政策課に設置した。

調査委員

委員長:清田晃生(一社)日本児童青年精神医学会
委員長代理:田中真由美(熊本県弁護士会)
大貫隆志((一社)ここから未来)
河崎酵二(くまもと親と子と教職員の教育相談室)
原村憲司(熊本県弁護士会)

報告書

2022年10月24日 「熊本市子どもの死亡事案に関する詳細調査委員会 調査報告書(公表版)」(PDF:8MB)

  • 男性教諭から男子生徒への直接の暴力や暴言があったかどうかははっきりしないが、教諭の日常的な威圧的態度と同級生への暴力や暴言を間近で見ていたことなどによって重症化した抑うつ状態が自殺の一因であり、教諭の不適切な指導が発症に影響した可能性が高いと認定した。
  • 「事実関係を解明してほしいという家族の願いに十分に応えられていないこと」「小学校担任教諭への不適切指導への対応が不十分だったこと」「中学校での同級生への調査や心のケアなどの対応が不十分だったこと」など、小学校•中学校•及び熊本市教委の対応が不十分だったことを指摘した。
  • 小学校が、「死」などと書かれたノートの存在を把握していながら保護者に伝えていなかったことは、「伝えれば病院受診などに至っていた可能性が高い」などとして、伝えなかったことは問題だったと指摘した。小学校では、担任教諭の不適切指導に十分対応できなかったことは不十分だと指摘した。中学校と熊本市教委については、中学校での同級生への調査などの対応が不十分で、事実関係を解明してほしいとする家族の願いに十分に応えられなかったことは不適切だと指摘した。

事件の背景

男性教諭は五福小学校の吹奏楽部で「五福小学校器楽部」という吹奏楽バンドを結成して指導していた。吹奏楽指揮者として参加したコンクールは、その多くが金賞受賞という高い成績を修めていた。また、国立大学の教育学部附属小学校で行われた研究授業においても、「非常に質の高い授業である」「究極の指導技術である「子どもを見る温かい目」に裏付けされてた授業であった。」と高い評価を受けていた。

事件のその後

男子生徒の母親は、教諭が男子生徒に謝罪に来るように市教委に申し入れているが、2022年12月現在も教諭からの謝罪はない。

資料

男子生徒の遺したノート

男子生徒の遺したノート「死」と書かれたノート。自殺した当日に男子生徒の自宅の部屋から見つかった。小学校は男子生徒に書いた理由などを尋ね、ノートの存在を把握していたが、市教委や保護者に報告していなかった。
出典:朝日新聞DIGITAL


男子生徒のノートには「死」の他に「呪」と書かれていた。
出典:朝日新聞DIGITAL

関連資料

中1男子生徒自殺 不適切行為多数の元担任を懲戒免職処分(熊本)


出典:TKUofficial

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