熊本県立熊本西高校野球部員死亡事故

2018年(平成30年)11月18日､熊本県立熊本西高等学校の硬式野球部員の男子生徒(高校2年生•16歳)は､練習試合中に頭部に死球を受け､翌日に死亡が確認された｡

事故の経緯

2018年11月18日午後1時40分頃､熊本県立熊本西高等学校のグラウンドで行われていた練習試合中､外野手の男子生徒が打席に立っていた際､相手校の投手が投じたボールが左後頭部に直撃した｡男子生徒は両耳にガードのあるヘルメットを着用していたが､危険球を避けようと捕手側に顔を向けた際､ガードの無い左後頭部にボールが当たったとされる｡直後に｢あいたい｣と叫び､仰向けに倒れて意識を失い､救急搬送されたが､翌19日午前9時30分頃､外傷性くも膜下出血により死亡が確認された｡

事故発生後､同校は部活動を一時休止し､部員の精神的ケアに努めた｡また､事故の詳細な経緯を調査し､再発防止策の検討を行った｡同校は同年の秋季九州大会で8強入りし､熊本県高等学校野球連盟から来春の選抜高校野球大会の｢21世紀枠｣推薦を受けていたが､事故後､推薦の辞退も検討された｡しかし､男子生徒の家族から｢推薦辞退や活動停止はしないでほしい｣との意向が伝えられ､学校側は活動を再開し､部員たちは男子生徒の思いを胸に練習に励んだ｡

社会的影響と再発防止策

この事故は､野球における安全対策の重要性を改めて認識させる出来事となった｡特に､ヘルメットの構造や打者の回避行動に関する議論が高まり､全国の高校野球界で安全対策の見直しが進められた｡また､学校現場では､事故発生時の迅速な対応や救命措置の重要性が再認識され､教職員や生徒への救命講習の実施が推奨されるようになった｡

参考資料

“頭に死球､野球部員死亡　熊本､21世紀枠推薦校” 日本経済新聞 (2018年11月19日) 他

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