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2022年(令和4年)10月23日、熊本県立熊本工業高等学校に通う男子生徒(高校1年生•16歳)は、所属していた部活動での上級生による極度に厳しい指導を苦にして自死した。男子生徒は、部活動での人間関係に悩みがあるなどとして担任や部活動の顧問に相談していた。
2022年8月21日 調査委員会は、炎天下の屋上で30分以上立たせたまま「殺すぞ」と言われるなど5件のいじめを認定し、部活動内で受けたいじめが自殺に「影響を与えた可能性が高い」と認めた。また、「一番大きな問題は、学校や部活動の継承してきた風土にある」と指摘した。
調査委員会
調査委員会の設置•調査内容
2022年11月 県教委は第三者委員会(熊本県いじめ防止対策審議会)を設置し、自死との関連などを調査した。
調査委員
委員長:八ツ塚一郎熊本大大学院教授
調査報告書•その後
2024年8月21日 生徒が部活動内で受けたいじめが自殺に「影響を与えた可能性が高い」とする報告書を県教委に提出した。
生徒は自殺する前に複数回、部活動の顧問やクラスの担任に「部活動で人間関係がうまくいっていない」と相談していた。また、部員へのアンケートでは、上級生が下級生に暴言を浴びせたり、長時間正座させたりしていたとする情報が41件も寄せられた。
調査委員会は、多くの部員の前で、上級生が自殺した生徒に対し「周囲と比べ出来ていない」と指摘し、「何をしに来ているのか」「部活動に必要ない」と発言したことと、3年生が1年生部員を炎天下の屋上で30分以上立たせたまま「殺すぞ」などと暴言を浴びせたことなど極度に厳しい指導5件をいじめと認定した。
また、心理的苦痛を受けた出来事が部活動以外で見当たらず、部活動での心理的苦痛が自殺に影響を与えた可能性が高いと、いじめと自殺との因果関係についても認めた。
生徒は亡くなる3か月ほど前から練習を休みがちになったが、急な欠席連絡によって、3年生から更に厳しく対応されることもあり、こうした指導が日常化する中で、心理的に追い詰められていったと結論付けた。
問題を巡る学校側の対応について、いじめに相当するという認識を持たず、生徒の心情に配慮した対応をしていなかったと指摘し、欠席しがちになった生徒に対して、より厳しく接するよう上級生に指導していた顧問を始め、学校の体制に「本質的な問題があった」とした。
また、自殺との因果関係については「部活動や人間関係の楽しさは、上級生の言動により否定され、喪失感を強めていった」とし、「自殺に影響を与えた可能性が高い」と結論付け、その上で学校側の指導体制に本質的な問題があったと指摘したが、「本事案の表層だけを捉えて『部活動内でいじめが横行していた』『シメが自殺を招いた』などと要約することは不正確である」とし、「この指導や言動は、『いじめかもしれない 相手を傷つけるかもしれない』という自問と反省を、真摯な対話を通して繰り返すことによってしか、問題の再発を防ぐことはできない」とした。
調査委員長は、「自分たちも乗り越えてきたことだから、厳しく頑張って指導することによって克服していこうという方向性で指導を行った学校の指導体制に問題があったと言わざるを得ないと判断した」と話し、伝統的な部活動にある風土や厳しい指導を受けて成長したという過去の指導体験など、顧問を中心とする学校の体制にこそ、本質的な問題があったと指摘した。
事件の背景としての熊本工業高校の風土
第三者委員会は、熊本工業高校の風土が問題の背景にあるとした。熊本工業高校の多くの部活動では、練習の厳しさ、上下関係の厳格さが特徴で、上級生徒の理不尽なまでの厳しい関係が特有の伝統として語られることも多い。亡くなった生徒が所属していた部活動には、「原則として退部は認めない」「練習場所への通り道は先輩と同じルートを使わない」「通学路では先輩の自転車を追い越さない」などのルールがあった。
第三者委員会は、同校には伝統的に行き過ぎた上下関係があり、厳し過ぎる部活動での指導が生徒の死に繋がったと指摘し、伝統と呼ばれるものの内実を見極め、継承すべき内容と部員に無用の苦痛を強いている事項と峻別することは不可避であり、急務であるとした。
参考資料
“上級生から「殺すぞ」…高1自殺『いじめが原因の可能性高い』認定 報告書が指摘する「厳しく頑張って指導」の実態 熊本” RKK熊本放送 (2024年8月21日)
“上級生から「殺すぞ」熊本工高の生徒自殺は“部活動の厳しい指導”が原因か” KAB熊本朝日放送 (2024年8月21日)
“熊工1年生自殺で第三者委員会が答申 5件をいじめと認定【熊本】” TKUテレビくまもと (2024年8月21日)