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2018年(平成30年)8月19日、三重県立高校の男子生徒(高校1年生•16歳)は、所属していた運動部で、上級生3人と同級生1人の計4人の生徒から、部活動中にきつい言葉を浴びせられながら雑用を押し付けられる、体を叩かれる、LINEに「かす」「いらんわ」など人格を否定するような言葉を投稿されるなどのいじめを受けたことを苦にして自死した。男子生徒の死亡後の2018年8月末、「子どものスマホで、LINEにいじめが疑われるような書き込みがあったことに気づいた」と、保護者が学校に連絡して発覚した。
同年11月 県教委はいじめ防止対策推進法に基づく「いじめ重大事態」と認定した。
2020年3月6日 調査委員会は、上級生3人と同級生1人を加害生徒と特定し、生徒間のLINEでのやりとりなど7件をいじめと認定して、うち6件をいじめと自殺に「因果関係が認められる」と指摘した。
2022年3月17日 再調査委員会は、男子生徒が受けたと認定したいじめ7件のうち6件について、自殺との因果関係があると判断した。また、部活動の顧問だった男子生徒の担任が「問題の深刻さを把握できていなかった」と指摘した。様々な教員が情報共有して学校が組織的に対応することや、遺族への心理的な支援などを求める8項目を提言した。
2021年8月に遺族が加害生徒4人と三重県を相手取って民事訴訟を起こしたが、原告である遺族の死去で訴訟終結となった。
事件の経緯
2018年8月19日 男子生徒が自死した。
遺書は無かったが、生徒のスマートフォンに残されていたLINEのやり取りを見た遺族が、「いじめではないか」と通っていた高校に連絡した。
7月上旬から8月までに、グループLINE内で、いじめが疑われるメッセージが数回、当該生徒に送信されていた。また、別の高校に通う友人が弔問の際、遺族に男子生徒から受けていた相談内容を伝えたという。
学校側は4月12日と7月19日に保護者を交えた三者面談、7月10日にいじめに関するアンケートを実施していたが、男子生徒へのいじめは把握していなかった。
遺族から8月下旬に連絡を受け、9月初旬にグループLINEに参加していた生徒数人から聞き取り調査を行い、内容を遺族や県教委に報告した。
調査委員会
調査委員会の設置•調査内容
2018年11月 遺族が第三者による調査を申し入れた。
12月21日 県教委は第三者で構成する「三重県いじめ対策審議会」を開催した。
在校生や教員への聴き取りを実施した。
調査委員
弁護士や精神科医ら5人でつくる審議会
審議会長:尾高健太郎弁護士
委員:小嶋(おじま)玲子桜花学園大学保育学部教授
齋藤洋一精神科医
志村浩二臨床心理士
調査報告書•その後
2020年3月6日 報告書提出
上級生(当時高2)3人と同級生1人を加害生徒と特定し、生徒間のLINEでのやりとりなど7件をいじめと認定して、うち2018年5月末~8月にあった以下の行為など6件をいじめと認定し、いじめと自殺に「因果関係が認められる」と指摘した。
• 部活動で雑用や掃除をきつい言葉で言いつけられたり、手で叩かれたりした。
• 部活動のLINEグループで、「かす」「いらんわ」と投稿された。
• 貸した自転車を壊された
• 公開を望まない画像をクラスメートのLINEグループに投稿された。
• 公開を望まない画像を友人とのLINEグループに投稿された。
また、調査で男子生徒が6月頃に教諭に「先輩との人間関係に少し悩んでいる」と口頭で相談した。8月11日にも、同じ教諭に「相談があります」とLINEを送っていたが、教諭は「直接会ったときに聞きます」と返信した。その後連絡が途絶え、8月19日に生徒が亡くなった。
報告書は、学校が「もう少し積極的な対応をしていれば気づけた可能性もあるが、不適切であるとまでは考えていない」とした。
再調査委員会
再調査委員会の設置•調査内容
2020年8月17日 県は、県教育委員会の第三者委員会がまとめた報告書の内容を不十分とする遺族からの申し出を受け、県を設置主体とする別の第三者委を設け再調査すると発表した。報告者は「いじめが原因の一つ」としていたが、加害者とされた生徒への聞き取りを実施していないことなどを、遺族が不服としたという。
調査委員
委員長:庄山哲也弁護士
副委員長:小池敦三重県立看護大学教授
委員:大日方真史三重大学教育学部准教授
金井剛三重県立子ども心身発達医療センター長
竹村浩特定非営利活動法人三重県子どもNPOサポートセンター事務局長
本江優子公益財団法人反差別•人権研究所みえ事務局次長
調査報告書
2022年3月17日 男子生徒が受けたと認定したいじめ7件のうち、2018年1学期から8月に起きた部活動の上級生によるいじめ4件と、同級生によるいじめ2件について、自殺との因果関係があると判断した。上級生は、大会に遅刻した男子生徒に、無料通信アプリ「LINE」で「殺すぞ」などと追い詰めるようなメッセージを送信したり、男子生徒の自転車を壊したりし、同級生も男子生徒を煽るようなメッセージを送信していた、とした。また、部活動の顧問だった男子生徒の担任が「問題の深刻さを把握できていなかった」と指摘した。様々な教員が情報共有して学校が組織的に対応することや、遺族への心理的な支援などを求める8項目を提言した。
2022年3月17日 「三重県いじめ調査委員会調査報告書(公表版)」(PDF:214KB)
三重県いじめ調査委員会の提言をふまえた具体的な対応策について
民事訴訟
提訴
2021年8月 遺族は加害者とされる元生徒4人と三重県を相手取り、約7400万円の損害賠償を求めて津地裁に提訴した。三重県の責任については、「生徒が顧問教員にいじめを相談したにもかかわらず、積極的な対応をしなかった」とし、教諭の注意義務違反と生徒の自殺に因果関係があると主張した。
三重県の主張
三重県教委は「教諭は繰り返し上級生に注意していた」「顧問教諭は、生徒の自殺を予見できなかった」「生徒と相談する準備も進めていた」などと主張して、請求の棄却を求めた。
訴訟終結
原告が訴訟が津地裁で進行中の2022年12月に死去し、裁判を引き継ぐ人がいなかったことから、津地裁は裁判取り下げの指示を出し、2023年6月15日付で訴訟が集結した。