Is info on this listing outdated? Are you owner of this business? Register and claim it now.
2013年(平成25年)7月10日、愛知県の名古屋市立明豊中学校の男子生徒(中学2年生•13歳)は、制服姿で自宅近くのマンションから飛び降り自死した。
自宅から「まず自殺しようと思ったのはなぜかですが、一つ目、自分自身に嫌気がした。二つ目、いろんな人から死ねと言われたということがあったからです。一つ目については、うそをたくさんつく。提出物も出さない。そんな自分が嫌になりました。先生や両親には、こんな自分を変えれなくても、申し訳ないです。二つ目は、そのままあえて名前は挙げません。気付いてあげられなかったなどと後悔しないでください。自分から隠していたのです。大丈夫なように振る舞っていたのです。悪いのは自分と一部の人なのですから。さようなら。もし死後の世界があるなら見ています。ありがとう。」と書かれた学習用ノートが見つかった。
自死当日、男子生徒が周囲から「死ね」と言われて「自殺する」と言うのを聞いた担任教師は「そんなのやれる勇気ないのに、やれるもんならやってみろ」と言ったと、複数の同級生が証言した。
2014年3月27日 市が設置した検証委員会は、自死の要因は、「提出物忘れ」と「いじめ」と認定した。当日の男子生徒の「死ぬわ」の発言に対しての担任の発言は、聞いた生徒はいずれも「そんなことを言ってはいけない」という制止の意味と受け止めていたとした。
事件の経緯
男子生徒は中学1年から、クラスや所属するソフトテニス部で「きもい」「死ね」などの暴言を受けていた。2年生になり暴言やちょっかい、仲間外れ扱いがエスカレートした。
2013年7月10日 複数の生徒の証言によると、昼に行われた帰りの会の際、担任の女性教諭のいるところでクラスの男子生徒と女子生徒が被害生徒に対して「死ね、死ね」と言い、被害生徒が「自殺する」と言うと、担任教諭は「そんなのやれる勇気ないのに、やれるもんならやってみろ」と煽ったという。
午後3時半頃、男子生徒は制服姿で自宅近くのマンション11階から飛び降り自死した。通り掛かった清掃員が見つけて管理人が110番通報し、病院に搬送されたが、約1時間半後に死亡した。
同校によると、男子生徒は午後0時半から1時頃下校して自宅で昼食を取って外出したとみられている。帰宅した母親が1枚のページに「複数の人に死ねと言われた」と走り書きのような大きめの字で書かれた数学のノートを見つけ、午後3時半頃にノートを持って学校を訪れたが、ほぼ同じ時刻に周辺住民から「男子生徒がマンションから落ちたらしい」と学校に連絡があった。母親は教諭らと現場へ向かったが、生徒は午後5時頃、病院で死亡が確認された。現場のマンションは、生徒が中学に入る前に住んでいたことがあるという。
森和久名古屋市教育委員会学校教育部長は「(男子生徒のノートに)誰とはわからないが、複数の人に『死ね』と言われたという内容があるので、これは何らかのいじめということを疑わざるを得ない」と述べた。
7月11日朝、緊急の全校集会が開かれ、男子生徒の死が伝えられた。
同日夜、担任教諭は市教委の聞き取りに対して、「死ぬという言葉は聞いていない。10日は生徒と直接話をしていない」とし、いじめがあったとの認識もなかったと証言した。また、中学校が1月に実施した定期的な生徒へのアンケートでも、男子生徒へのいじめに関する回答はなかったとした。
男子生徒はコツコツと勉強する非常に真面目なタイプで、部活動などでも活発に学校生活を送っていた。男子生徒は、「死ね死ね」と言われたり蹴られたりするなどのいじめについて担任教諭に度々相談していた。同級生は男子生徒の自死の原因について、「先生に相談して、それから多分、誰にも助けてもらえなかったからです」と話している。
7月12日 全校生徒の保護者への説明会が報道陣に非公開で昼と夜の2回開かれた。約130人が参加した昼の説明会には校長や市教委幹部と担任教諭が出席した。黙祷の後、校長が男子生徒が書き残したノートの文面を読み上げ、学校教育部長が16日に市立中学校の臨時校長会を開く他、全校生徒を対象にしたアンケートの結果を公表することを明らかにした。学校側が経過を説明すると、「本当のことを言え」などと怒号も飛んだ。
説明会後、保護者からは「担任自身がよく暴言を言うと子どもたちから聞いている。説明は納得できない」「その場しのぎのように感じた」などの批判の声が聞かれた。
昼の説明会後、担任教諭が記者会見し、男子生徒からいじめの相談はなかったが、「筆箱から鉛筆を取られたり、小突かれたりすることがあった」と一部の同級生の嫌がらせに遭っていたことを明らかにした。
担任教諭は「ちょっかいを出されやすい生徒という申し送りは小学校からあった」と説明し、嫌がらせをした同級生を注意するとともに、「家庭訪問で、本人と保護者と、そういう状況を脱するために頑張ろうと話してきた」と語った。
男子生徒に「死ぬ気もないのに、そんなことを言うもんじゃない」と発言したと、複数の生徒が取材に証言していることは、「煽るようなことは決して言っていない」と否定し、「こういうふうに受け取った生徒がいるのは残念」と述べた。
(この記者会見は、カメラや録音機材を外す条件で行われ、10分で打ち切られた。)
同日、市教委は全校生徒552人を対象に無記名アンケートを実施した。校長は、男子生徒が一部の同級生から「きもい、死ねと言われていた」との記述があったことを明かした。担任教諭は「10代の子は『死ね』『きもい』は、挨拶のように交わすのが現状。軽い気持ちでも言うもんじゃないという指導をしてきた」と述べた。
調査委員会
調査委員会の設置•調査内容
2013年7月12日 市教委は、いじめの有無や再発防止策の検討を目的に、有識者による第三者委員会を設置することを発表した。
調査委員
検証委員
委員長:蔭山英順日本福祉大学子ども発達学部心理臨床学科教授
大河内祥晴氏(西尾市立東部中学生自死事件の被害者•大河内清輝さんの父)
川本健仔元教諭(校長経験者)
窪田由紀名古屋大学大学院教育発達科学研究科教授
古井景愛知淑徳大学心理学部教授
山田万里子弁護士
専門調査員
竹内景子弁護士
間宮静香弁護士
安本卓史弁護士
(8月22日から) 加納誠司中部学院大学子ども学部准教授
調査報告書
2014年3月27日、検証委員会は、男子生徒は中学1年からクラスや所属するソフトテニス部で「きもい」「死ね」などの暴言を受けており、2年生になり暴言やちょっかい、仲間外れ扱いがエスカレートし、男子生徒が無力感を強くしたと指摘し、自殺当日の7月10日、クラスメートの「死ね」という言葉に「極限まで追い詰められた」(報告書)ことで自殺に至ったと結論付けた。その上で、報告書は「いじめられている生徒の心理•心情についての(教員の)理解が不十分」と批判した。
2014年3月27日 「名古屋市立中学校生徒の転落死に係る検証委員会 検証報告書」(PDF:752KB)
参考資料
“愛知県名古屋市•市立明豊中学校いじめ自殺” 地上の涙 他