那覇市立中学卒業生自死事件

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沖縄県の那覇市立中学校に通っていた女子生徒女子生徒(中学3年生)は、2013年(平成25年)11月14日に所属する部活動の副顧問で学年主任の男性教諭(40歳代)に理科の準備室で突然キスをされるなど複数のわいせつ行為を受け、1年後の2014年12月29日に自死した。女子生徒は亡くなる直前まで、教員についての苦悩を医師に打ち明けていた。

国のガイドラインでは児童生徒が自殺した際、「基本調査」を行い、調査結果を遺族に報告し、自殺の背景に学校生活が関係していると疑われるような事案では、遺族の意向を確認した上で、外部の専門家を交えて「詳細調査」を行うことを定めているが、高校は女子生徒の遺族に対してそうした確認はしていなかった。
調査報告書は、女子生徒の自死後に男性教諭から遺族に謝罪文が送られているにも関わらず、女子生徒が悩んでいることを示す行動がなかったとして「自殺の原因は不明である」と結論付けた。

事件の経緯

2013年 女子生徒は夏休みの頃から泣いて過呼吸になることが何回かあった。心療内科を受診したが、診療中も話しているとパニック発作が起きた。医師からは「何か原因があるはず」と言われたが、理由はわからず、服薬しながら通院を続けることになった。

11月14日朝、テニス部に所属していた女子生徒は、成績が低迷している部員を対象にした朝の勉強会に参加していた。対象者は3人だったが2人は欠席していた。女子生徒は男性教諭に理科の準備室で突然キスをされて泣き出し、過呼吸状態となった。女子生徒の友人から話を聞いて事態を把握した学校側は、男性教諭に事実を確認した上で、翌日、校長と教頭、養護教諭が女子生徒の自宅を訪れて母親に謝罪し、「娘さんの事を守るために他言しないでほしい」とも言われた。

女子生徒は母子家庭で、「お父さんが欲しい」という話もしていた。女子生徒は男性教諭を信頼しており、「何でも話せる先生だよ」「(声優の夢を叶えて)もし有名になったら、恩師は先生と言いたい」と話していた。受験勉強のアドバイスももらっており、受験対策に早朝の勉強会をやることになって、友人から誘われたと女子生徒が話した時には、女子生徒の母親は「よかったね」と声を掛けた。

その後の調査で、男性教諭はキス以外にも、▽膝に乗せ、後ろから抱きかかえる▽休日にドライブに誘い、抱きしめる▽スカートの下に手を入れお尻をたたくーなどのわいせつ行為を女子生徒に繰り返したり、学校や女子生徒の母親に隠れてメールのやり取りをしていたことが発覚した。警察は女子生徒と母親に何度も被害届を出すように促したが、男性教諭やその家族に影響が出ることを心配して結局被害届を出さなかった。事件発覚後、男性教諭は休職し、2014年3月19日付で懲戒免職処分を受けた。

女子生徒は家でも過呼吸などの症状が出て、2013年11月から心療内科を受診していた。母親によると、キスされた後の診察では「教員への怒りと、自分のせいで教員に迷惑をかけてしまったという罪悪感で気持ちが不安定な状態が続いている」と医師から伝えられた。男性教諭の休職後も女子生徒は別の病院で治療を続け、「急性ストレス反応」の診断を受けた。

女子生徒は12月頃から学校を休みがちになり、朝から泣き出すこともあった。学校はスクールカウンセラーを用意したが、女子生徒は「自分がスクールカウンセラーに話したことをすべて学校側に報告される、そのためにやっている」と感じて、スクールカウンセラーを信じていなかった。女子生徒は学校でわいせつ事件のことが噂になっていることや、男性教諭の処分について気に掛けていた。女子生徒は睡眠薬を服用するようになり、体重は42kgから35kgに急減した。母親は「娘は優しく穏やかな性格だったが、声を荒げたり、物を投げたりするようになった」と話している。

女子生徒は学校を休むと内申点が落ちるのではないかと心配し、無理に学校へ行こうとしていた。心配した母親が出席日数のことで教頭に相談し、教頭は「調整します」と言ってくれたが、何も配慮されることはなく、内申書では単なる「欠席扱い」となっていた。

2014年4月、女子生徒は高校に入学後、「友達をたくさん作りたい」と話し、級長に立候補するなど自ら積極的に学校生活に馴染もうとしていた。

11月頃、女子生徒が中学生の時に受けた性被害が高校で噂になり、女子生徒は塞ぎ込むようになった。また、女子生徒は友人に「先生のことを思い出すと苦しくなるから、自分の手を掻きむしってしまう」と打ち明けていた。主治医に「自殺願望が強過ぎる」と入院を勧められたが、女子生徒が拒否したため、「必ず娘が寝たのを確認してから、母親が寝るようにします」と約束し、家で見守ることにした。

12月4日、女子生徒が最後に受診したカルテには、「先生との出来事は仲の良い友達しか知らないと思っていたが、友人から「みんな知っていて、うわさになっていた」と聞いた」「11月頃から(教員とのことが)思い起こされ、泣くことも多い」と記され、女子生徒が悩んでいたことが伺える。

12月初旬、女子生徒の母親は担任と面談し、中学でわいせつ行為があったことを示す資料を持参して学校での対応について相談した。心療内科に通っていて不安定なこともあると伝え、男性教師による不必要なスキンシップは避けて欲しいと配慮を求めた。

12月29日深夜2時頃、母親と見守りのために来てもらっていた親族が寝入ってしまった間に女子生徒は自宅ベランダから飛び降りて亡くなった。(高校1年生•享年16歳)
女子生徒の自死後、男性教諭から女子生徒の母親に謝罪文が送られてきた。

調査委員会

調査委員会の設置•調査内容

調査は教師への聞き取りや、女子生徒のノートなどに手掛かりがないか調べただけで、女子生徒の母親への聞き取りなどは行われなかった。

調査報告書•その後

調査委員会から遺族への報告もなく、2021年5月に遺族が取り寄せた調査報告書には、高校側は女子生徒が中学時代に教員からわいせつ行為を受けていたという情報を知っていながら、(高校側から見て)女子生徒が悩んでいることを示す行動がなかったとして「自殺の原因は不明である」と結論付けていた。

児童生徒が自殺した際、国のガイドラインでは、「基本調査」を行い、調査結果を遺族に報告し、自殺の背景に学校生活が関係していると疑われるような事案では、遺族の意向を確認した上で、外部の専門家を交えて「詳細調査」を行うことになっているが、高校は女子生徒の母親に対してそうした確認はしていなかった。県教育委員会は、学校側が遺族の精神状態に配慮して話題にすることを避けたとして、対応に問題はなかったとしている。

民事損害賠償請求訴訟

2018年、女子生徒の遺族は那覇市を相手取り、自殺に対する損害賠償を求めて調停を1回行ったが、女子生徒の遺書が無かったことと、(わいせつ事件から)1年経過しているから関係ないという理由で取り下げになった。

女子生徒は母子家庭で、母親は「娘は男性教員を慕っていた。その気持ちにつけ込んだことが許せない」と話している。

参考資料

教員からわいせつ行為、命絶った女子生徒の母「慕う気持ち利用…許せぬ」讀賣新聞 (2020年11月23日) 他

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