奈良県立奈良北高校生不適切指導自死事件

ADDRESS & CONTACT


GPS

34.715583, 135.727222


OPENING HOURS

CLAIM LISTING


Is info on this listing outdated? Are you owner of this business? Register and claim it now.

2015年(平成27年)12月4日、奈良県立奈良北高等学校の男子生徒(高校1年生•16歳)は、入学後から複数の同級生からLINEグループから排除されたり、中傷するメッセージを書き込まれたり、テストでカンニングを疑われたり、男子生徒の問題行動に対して校長から退学を示唆されるなどの不適切指導を苦にして、期末テスト中に校舎4階から飛び降り自死した。答案の裏には、「俺はカンニングをやっていない」「からかわれたり、バカにされたりするのがとてもつらかった」と書いていた。複数の同級生の氏名も書かれていた。

2017年7月21日、調査委員会はクラスのほぼ全員が参加する無料通話アプリ「LINE(ライン)」のグループから生徒が排除され、中傷するメッセージが書き込まれていたことなど6件をいじめ行為と認定した。他の生徒への暴力などの問題行動に対し3回行われた個別に十数日間、別室に隔離して反省文を書かせるなどした「教育的とはいえない」「特別指導」により男子生徒は心身の苦痛を深め、校長による退学を勧める発言により「退学を免れない」と校舎から飛び降りたと結論付けた。また、同年6月と11月に全校生徒を対象に実施されたアンケートで男子生徒へのいじめに関する記載があったにもかかわらず、学校が認識しなかったことを「大きな問題」と指摘した。

事件の経緯

2015年12月4日、同校ではこの日期末試験が行われていた。2時間目のテストが終わった休み時間に、他の生徒が男子生徒の消しゴムに書かれていた文字を巡ってカンニングではないかと指摘するトラブルがあった。その後、通常通りテストは開始されたが、20分後に男子生徒は「トイレに行きたい」と言い残し、教室を出た。直後の午前11時45分頃、男子生徒は4階のトイレ北側の窓から飛び降りた。男子生徒が学校の敷地内に倒れているのを事務員が発見し、110番通報した。男子生徒は病院に搬送されたが、外傷性ショックにより同日夜に死亡した。残された生徒の答案用紙の裏面には、複数の同級生の名前や、家族に宛てたメッセージのようなものが書かれていたという。

同校では6月と11月中旬、全校生徒を対象にしたアンケートを実施していたが、生徒に対するいじめなどは「把握していない」といい、今後、生徒に改めて聞き取り調査を実施する予定とした。男子生徒は5月頃からラインでいじめを受けており、担任に相談し、担任がいじめを注意して一旦はなくなっていた。

12月7日、午前9時から臨時の全校集会を開催し、全校生徒約1070人が出席した。冒頭、全員で黙祷を捧げた後、徳地末広校長が生徒たちに話をしたという。

12月9日、男子生徒の父親は日本テレビの取材に応じ、「まさか本当に。当日の朝も明るく『行ってきます』と見送ったので」と述べた。
父親は「今回、息子の件ではカンニング行為を疑われて、息子が自ら命を絶ってしまったかのような報道が今現在出ていますが、息子はカンニングはしていません」「学校側からもカンニングはなかったと発表されています」と話した。3日後に行われた全校集会で、学校もカンニングはなかったと報告したという。
男子生徒が残したテストの解答用紙の裏には両親や兄弟に対するお礼の言葉が書かれていたといい、更に「(解答用紙の裏には)数名の生徒さんの名前が(書いて)あって、普段からからかわれたりとか、バカにされたり……と書いていました」「他にも友達がいたので、なんとか我慢してきたけれども、もう(これ以上の我慢は)きついです(と書かれていた)」とした。
父親の話では、トラブルは学校内だけではなく無料通信アプリ「LINE(ライン)」を使ったものもあり、入学後、しばらくしてからずっと続いていたという。「息子は『こんなの削除しておけばいいんだから、お父さん、僕が我慢すれば大丈夫だから』って、ずっと言ってくれていたので、まさか残してくれたメッセージほど、息子がつらい思いをしているとは、把握できていなくて本当に申し訳ない。息子に謝りたいです」と父親は述べ、母親は「つらすぎたのでしょうね。なので突然そういう(自殺という)決断を、判断をしたのだろうなと思います」とした。

12月11日、学校は冬休みに入る24日までに、原因究明のためのアンケートを全校生徒を対象に実施すると発表した。

調査委員会

調査委員会の設置•調査内容

2015年12月15日、県教委は「いじめがあった疑いがある」として、外部有識者でつくる常設の第三者委員会「県立学校いじめ問題調査委員会」で調査を行うと発表した。
12月17日、男子生徒の父親が奈良市内で記者会見し、「いじめを受けた疑いがあり、真相を究明したい」と訴えた。いじめ調査に遺族の意見を反映するよう求める要望書を県教委に提出した。
父親は会見で「(無料通信アプリの)LINEなどで(同級生から)からかいや、ばかにされることがあったようだ」とし、転落直前に教室に残したメモに「いじめが疑われる記述があった」と説明した。「何とか止められなかったのか。大人になっていろいろな思い出を作ってほしかった」と無念さを語った。
第三者委員会の設置について、父親は「遺族への説明は30分だけで、不十分」と批判し、調査に遺族側が推薦する委員を選任するなど、遺族側と協議して設置するよう求めた。吉田育弘教育長は「真摯に受け止め対応する」とコメントした。

2016年3月8日、県教委は外部有識者でつくる第三者委の初会合を10日に開くことを明らかにした。

調査委員

委員5人に加え、弁護士ら3人を専門委員に選任し、弁護士や大学教授など教育や心理、福祉などの専門家で構成する。

委員長:田辺美紀弁護士(法律分野:奈良弁護士会推薦)
委員:大橋忠司同志社大学免許資格課程センター教授(教育分野:日本生徒指導学会推薦)
飯田順三奈良県立医科大学教授(医療分野:奈良県医師会推薦)
川上範夫関西福祉科学大学教授(心理分野:奈良県臨床心理士会)
石井日出弘権利擁護センターぱあとなあなら運営委員長(福祉分野:奈良県社会福祉士会)
専門委員:木下裕一弁護士(法律分野:大阪弁護士会推薦)
大塚千華子弁護士(法律分野:京都弁護士会)
亀岡智美兵庫県こころのケアセンター副センター長兼研究部長(医療分野:日本児童青年精神医学会推薦)

調査報告書•その後

2017年7月21日、調査委員会が報告書提出した。
男子生徒は入学後、級友に積極的に話し掛けていたが、次第に「浮いた」存在と見られるようになった。
委員会は、クラスのほぼ全員が参加する無料通話アプリ「LINE(ライン)」のグループから生徒が排除され、中傷するメッセージが書き込まれていたことなど6件をいじめ行為と認定した。
他の生徒への暴力など問題行動もあり、2015年10月までに3回、教師から個別の「特別指導」も受けた。特別指導も男子生徒を十数日間、別室に隔離して反省文を書かせるなどしており、「教育的とはいえない」とした。
また、その際、校長から退学を勧めるような発言があったことなどで、生徒が苦痛を感じていたことに学校側が気付かず、多くの教員が「変わった子」と捉え、特性を理解し支援しようとしなかったなどの問題点を指摘した。
学校から3回の特別指導を受けて心身の苦痛を深め、「退学を免れない」と校舎から飛び降りたと結論付けた。
同年6月と11月に全校生徒を対象に実施されたアンケートで生徒へのいじめに関する記載があったにもかかわらず、学校が認識しなかったことを「大きな問題」と指摘した。

「調査報告書」概要版(PDF:525KB)

参考資料

奈良県生駒市•県立奈良北高校いじめ自殺地上の涙

この記事をSNSでシェア!

FEATURES & SERVICES

LOCATION ON MAP

CONTACT OWNER

NEW SEARCH

この記事をSNSでシェア!
テキストのコピーはできません。