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2019年(平成31年)4月に桶川市立桶川東中学校に入学した男子生徒(中学1年生)は、国語担当の男性教諭から授業中に体を触られたり、執拗に「好きな子いるの」と聞かれたりするなど、繰り返しセクハラや嫌がらせ行為をされた結果、ストレスで同年9月頃から吃音の症状が出るようになった。
授業でうまく音読ができなかった男子生徒に対し、教諭は言葉を発するために体を揺らす様子を面白がり、クラスメートの前で、男子生徒の物真似をして嘲笑するなどの行為に及んだ。他の生徒からも吃音をバカにするような発言を受けるようになり、2020年12月頃から学校に通うことができなくなった。PTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断され、精神的不調が続き、自死を図るほど追い詰められた。
2025年6月4日、調査委員会は国語教諭が吃音の症状のために音読の際に言葉に詰まる元生徒を真似て嘲笑などしたことが「(同級生による)いじめが発生した一因」だったと指摘し、市教委内部の「縦割り構造」によって対応に遅れが生じたことも問題視した。
2025年11月7日、さいたま地裁は、吃音の症状がある男子生徒の様子を教諭が真似て笑うなどしたと認定し「生徒を守るべき立場である教諭が、多大な精神的苦痛を与えた」と批判し、市側に約110万円の支払いを命じた。
調査委員会
調査委員会の設置•調査内容
名称:桶川市いじめ対策委員会
設置主体:桶川市教育委員会
適用:第三者委員会
2023年8月18日から2025年2月7日までに計26回開催
調査委員
委員:菅原啓高弁護士(法律)
鈴木信子公認心理師(心理)
萩野直己医師(医療)
中野綾香社会福祉士(福祉)
調査報告書•その後
2025年6月4日、国語教諭が吃音の症状のために音読の際に言葉に詰まる元生徒を真似て嘲笑などしたことが「(同級生による)いじめが発生した一因」だったと指摘し、市教委内部の「縦割り構造」によって対応に遅れが生じたことも問題視した。
報告書によると、元生徒は在学中に複数の同級生から少なくとも5件のいじめを受けていた。2019年~2020年度にかけて、体育の授業中に「掛け声が変だ」と揶揄われる▽歌の練習中に「歌い方が違う」と指摘される▽シャープペンシルで何度も足を刺されるーーなどの行為を受けた。
また、元生徒が1,2年生の時に国語を担当して教諭について、「(元生徒の)まねをしたり笑ったりしていた事実を認めることができる」と指摘し、この教諭が授業中に「吃音やそれに伴う随伴行動をまねたり、執拗に元生徒を指名したり、体に触れたりするなどの言動を生徒たちの前で行っていた」ことが、いじめ発生の一因になったと非難した。
市教委内部の連携不足も指摘した。元生徒の母親は、いじめや教諭の不適被害当事者綱言動について2020年11月に市教委学務課に相談したが、情報は十分に共有されず、「(市教委全体として)いじめの認知が遅れた」という。
その原因について、人事や教職員への指導を担当する学務課と、いじめ対応などの生徒指導を担当する学校支援課が「縦割り」の関係にあり、両課とも「共同して問題解決に当たるという視点が十分ではなかった」ためと分析。学校支援課が調査に動いたのは2021年春以降で、市教委は2023年8月にようやく、この事案をいじめ防止対策推進法が定める「重大事態」に認定した。報告書は「事案発覚当初から課の枠を超え、対応すべきだった」としている。
2025年5月 「桶川市いじめ調査委員会 調査報告書」
市教委は毎日新聞の取材に対し、「(教諭の行為がいじめが発生した一因であったとする)報告書の指摘を重く受け止めている」と述べ、市立小中学校の校長に対し、事案の共有と再発防止の徹底を求めたと明らかにした。「縦割り」の反省を踏まえ、2024年度から両課をつなぐ新たなポスト「学校教育監」を設置し、組織間の連携強化を図っているという。
民事損害賠償請求訴訟
提訴
2022年8月10日、男子生徒と家族は、教諭から嫌がらせやセクハラ行為をされて精神的苦痛を受け、不登校になったなどとして、桶川市と教諭を相手取り、慰謝料など約4400万円の損害賠償を求めて提訴した。
一審(さいたま地裁)
2025年11月7日、さいたま地裁(鈴木尚久裁判長)は、吃音の症状がある男子生徒の様子を教諭が真似て笑うなどしたと認定し「生徒を守るべき立場である教諭が、多大な精神的苦痛を与えた」と批判し、市側に約110万円の支払いを命じた。
参考資料
“教諭が生徒の吃音嘲笑、いじめ発生の一因に 埼玉の市立中 第三者委” 毎日新聞 (2025年6月4日) 他