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2012年(平成24年)9月5日、北海道の札幌市立柏丘中学校の男子生徒(中学1年生•12歳)は制服姿で家を出た後、自宅マンションの7階から飛び降り自死した。自死現場で見つかった生徒手帳に、「ごめんなさい。悲しまないで」「いじめられていて死にたい」「死んだらどうなるか知りたい」などと記されていた。いじめの内容や相手に関する記述はなかったという。
2012年12月14日、調査委員会は、「A君は、「誰か」ではなく、委員会活動や部活動と勉強の両立等、いくつかの「何か」という要因が複合的に重なり合ったことに心理的負担を感じ、その結果、現実が理想に届かないという思春期特有の不全感が、大きな苦悩として心にのしかかり、彼を取り巻くこういった構造的な「状況」が、これ以上「もう無理だ。」、自分は「いじめられている状況だ。」と感じさせたのではないか、とした。
事件の経緯
2012年9月5日午前7時20分頃、男子生徒が自宅マンションの敷地で倒れているのが見つかり、搬送先の病院で死亡が確認された。住民によると、8階建てマンションの7階にある共有部分の窓から飛び降りたとみられている。
現場から見つかった生徒手帳に、「ごめんなさい。悲しまないで」「いじめられていて死にたい」「死んだらどうなるか知りたい」などと記されていた。同じページの中で、母親と兄、妹に向けて「ごめんなさい。悲しまないでください」「頑張れよ」「プレゼントをありがとう」「生まれ変わったらまた会いましょう」などと綴っていた。また、「もう無理だ」「8階から飛び降ります」とも記し、最後に「バイバイ」と結んでいた。
男子生徒は吹奏楽部に所属し、明るく真面目で正義感が強かったという。学校によると、男子生徒は1、2学期とも欠席はなく、夏休み中の部活動も欠かさなかった。委員会活動も熱心だった。
同日、男子生徒が自殺したことが全生徒に校内放送で伝えられた。生徒の一人は驚きを隠さず「自分の学校でこんなことがあるなんて悲しい」と俯いた。下校時には手で顔を覆い、声を出して泣く生徒もいた。
中学3年の女子生徒は、男子生徒と同じ部活に所属する友人から「優しくてクラスでも人気があった。昨日まではみんなと一緒に下校したりしていた」と聞いたという。別の女子生徒は「いじめがあったとは聞いたことがない」と、驚いた様子を見せた。
学校では校内放送の後、全クラスで教諭が自殺について説明した。遺族の要望で記名式の校内アンケートが実施され、「いじめを見たり聞いたりした人は書いてください」などの質問が書かれたアンケート用紙が配られた。1年生10人から「いじめがある」との回答があったが、男子生徒に関する記述はなかった。
札幌市教育委員会と学校は5日夜に市内で記者会見を開き、「現時点でいじめの事実は把握していない」とした。
9月6日朝、生徒が「残念だ」「驚いた」などと話し、戸惑いを隠せない表情で登校した。同じクラスの男子生徒は登校時「いじめがあったとは聞いたことがない。そんな子じゃなかった」と話し、中3の男子生徒は「本当に残念。みんなが自分のことを分かってもらえるように過ごすのが、これからは大事だと思う」と話した。
同日、市教委は同校の生徒にこれまで行ったアンケートや聞き取り調査の結果、いじめは確認できなかったと明らかにした。アンケートには「委員会活動で男子生徒の呼び掛けに応じず、口答えする人がいた」「2学期になって部活の朝練習に出ないことがあった」などとも書かれていたが、いじめがあったとの回答はなかった。
同日午後、校長や担任教諭らは男子生徒の自宅を訪れ、これまでの調査結果について遺族に説明した。遺族は「学校と教育委員会の今後の調査を見守りたい」と述べたという。
市教委は外部有識者が加わる調査検討委員会の設置を決めた。14日までに人選を進め、発足させる。今後2か月を目処に報告をまとめる方針。
9月7日午前、札幌市白石区で男子生徒の告別式が営まれた。車に載せられた棺が葬儀場を出ると、同級生らは涙を流し、肩を抱き合った。
尚、札幌市内では2010年から3年連続でいじめ自殺が発生している。
調査委員会
調査委員会の設置•調査内容
2014年9月、市教委に調査検討委員会を設置した。
委員会の任務を①本件自殺に至るまでの経過•背景、②本件自殺に係る対応と課題、③今後の自殺対策の方向性、④その他、委員会が必要と判断する事項、とする。
9回の会議。
調査委員
委員5名。氏名公開。
委員長:大学院教授
委員:弁護士
こども心療内科医院理事長
教育委員会学校教育部指導担当部長
当該中学校校長
事務局長:市教育委員会学校教育部指導担当課長
事務局:市教育委員会学校教育部指導担当課•教育推進課•生涯学習総務課
※委員5名の内3名は2011年8月の「生徒の自殺防止に関する検討委員会」の委員。
調査報告書•その後
2012年12月14日 全59頁
これまで収集•分析した中には「誰か」にいじめられていた、という情報はなかった。
「A君は、「誰か」ではなく、委員会活動や部活動と勉強の両立等、いくつかの「何か」という要因が複合的に重なり合ったことに心理的負担を感じ、その結果、現実が理想に届かないという思春期特有の不全感が、大きな苦悩として心にのしかかり、彼を取り巻くこういった構造的な「状況」が、これ以上「もう無理だ。」、自分は「いじめられている状況だ。」と感じさせたのではないか、とした。
参考資料
“北海道札幌市•市立柏丘中学校いじめ自殺” 地上の涙 他