須賀川市立第一中学校柔道部暴行傷害事件

ADDRESS & CONTACT


GPS

37.279917, 140.366694


OPENING HOURS

CLAIM LISTING


Is info on this listing outdated? Are you owner of this business? Register and claim it now.

須賀川市立第一中学校柔道部暴行傷害事件とは、2003年(平成15年)10月18日(土)に福島県須賀川市立第一中学校柔道部の練習中に、柔道部部長の男子生徒(当時中学2年生)が女子部員(当時中学1年生)に暴行を行い、重症を負わせた事件。女子生徒は暴行により危篤状態となり、手術と介護によって一時は回復がみられたものの、2018年9月12日に亡くなった。

事件の経緯

2003年10月18日(土)、朝から続いていた柔道部の練習中に、柔道部部長の男子生徒Tが部活動中に女子生徒に対して暴行を行い、女子生徒が「いやです」と抵抗するも複数回にわたって頭を柱に打ち付けるなどした。
他の部員はその様子をイジメを超えたリンチだと思ったほどであり、恐ろしくて自分が何をされるか分からず、止めに入ることができなかった。

正午頃、女子生徒の母親は、女子生徒の具合が悪いと柔道部の副顧問から連絡を受け学校に駆けつけた。女子生徒は失禁、意識不明、呼吸困難で横たわっていた。しかし副顧問は母親に、「休憩中に倒れたが頭は打っていない」と説明した。

隣の郡山市の総合病院に搬送された女子生徒は頭部左硬膜下出血と診断され、8時間に及ぶ手術は成功したものの意識不明の危篤状態が続いた。執刀医は校長に対し、女子生徒の頭部には気を失うほどの衝撃を何度も受けた痕があり、柔道の練習とは思えない異常な行為があったと指摘し、「してはいけないことをしていましたね」「こんなことになるまでどういう指導をしてきたのか」と厳しく叱責した。

女子生徒の担任は同級生や保護者に入院の事実を知らせず、怪我の程度も軽く伝えていた。両親は女子生徒の友人に見舞いに来てもらうことを希望していたが、校長は母親が見舞いを望んでいないと嘘の報告をし、また加害者の母親も状況を見ていないにもかかわらず「子どもがショックを受ける」と発言したため、訪れる生徒はいなかった。
さらに校長は、練習に問題はなく他に原因があるのではないかと繰り返し、10月24日の柔道部保護者会においては「女子生徒には頭に持病があり、それが発病した」と事実とは異なる説明を行った。学校側は、女子生徒が危篤状態にあることを知らせることもしなかった。

2ヶ月ほど経った頃、事故の原因は部長の男子生徒のいじめだとする投書が女子生徒の自宅に届いた。2004年2月、同様の噂が流れていることを知った父親は校長に原因と改善策の説明を求めたが、校長は「原因が分からないので謝罪はできない。練習方法に問題はなかったので改善策も考えようがない。」と返答し、学校の責任を否定。このために両親は、学校が提出した事故報告書の開示を須賀川市教育委員会に請求した。

刑事告訴

2004年7月、女子生徒の両親は柔道部顧問と副顧問を刑事告訴。2005年9月、須賀川警察署は元顧問らを業務上過失傷害容疑で書類送検。2008年8月、福島地方検察庁は嫌疑不十分で不起訴となった。その理由について、事件の1ヶ月前にも女子生徒が頭を打って入院していたことから、男子生徒の行為と意識不明に至ったことの因果関係は断定できず、元顧問らが立ち会っていたとしても事故が防げたとは言い切れないとした。両親らは福島検察審査会に不服を申し立てたが、審査会は不起訴相当と判断した。

民事損害賠償請求訴訟

提訴

2006年8月、女子生徒の両親らは市、県、男子生徒らに介護費用など約2億3000万円の損害賠償を求め提訴。
学校側は、「学校に管理責任はない」として全面的に争う姿勢を示した。

第一回目の証人尋問

2008年8月8日、福島地方裁判所郡山支部にて証人尋問が行われた。

元部員2名の証言

男子生徒が複数回投げたことを認め、引っ張られて行った女子生徒が意識を失ったと証言した。

加害生徒の証言

事故当初は投げたことを否定し、その後に1回投げたと証言していたが、複数回投げたことを認めた。その時の状況について頭から落としたことや壁に押し付けたことは否定したが、無視されてイライラしていたことは認めた。また男子生徒は、「受け身のできていない女子生徒に乱取りの相手をさせたことについては何とも思っていない」と答えている。裁判長から「日頃は柔道技をかけるような指導はしていなかったのに、なぜこの時はかけたのか」と問われ「言っても聞かなかったから。自分は間違っていなかった」と答え、手加減しなかったことも認めた。

第二回目の証人尋問

2008年8月8日11月7日に2回目の証人尋問が行われた。

元部員の証言

元部員は、原告側弁護士の質問に、「最初の調査の場には男子生徒もいたため本当のことが言えなかった。」「教頭から聞かれ事実を話したところ、男子生徒が部活停止になると試合で勝てないと恫喝されたことを圧力と感じた。」と証言した。
被告側弁護士の質問には、日頃から男子生徒に殴る蹴るなどのいじめを受けていたことを明かし、男子生徒は練習中に勝手に休んだり椅子に座って部員に指示を出していたと証言した。
また、男子生徒が日頃から女子生徒に暴力をふるっていたわけではないとした上で、学校と男子生徒には女子生徒への謝罪を求めた。

判決

2009年3月27日、福島地方裁判所郡山支部は監督責任を怠った元顧問らを監督する市と県に約1億5600万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
また、男子生徒には市や県などとともに330万円の支払いを命じた。

判決は男子生徒について、女子生徒に対し一方的に技を数回かけ相当程度の強さで投げた行為を「部活動の指導を逸脱する暴行があった」と認定。
学校側に対しては、事故の1ヶ月前の入院を把握していたにもかかわらず部員に説明や指導をしなかったことや、男子生徒の部の秩序を乱す行為を放置していたことなどを安全対策の不備と指摘し、「その危機意識の低さには顕著なものがあった」との見解を示した。
一方で意識不明となった怪我については、1ヶ月前の怪我の影響で血管が切れやすい状態にあったためであり、数回の柔道技は通常であれば重篤な障害をもたらす程度とは考えがたいと説明し、両親は女子生徒に対し自らの判断で部活動への参加を控えさせる選択肢があったことも指摘した。

また、学校側による報告書については、母親が発言した覚えのない言葉が記載されていることなどから信用性に大いに疑問があるとした。校長ら管理職が責任逃れをしようとした疑いが強いことも慰謝料増額の理由だとしている。

女子生徒のその後

意識不明の状態が続き、2018年9月12日、27歳で急性気管支性肺炎で亡くなった。

社会への影響

学校が事件について正しい開示を行わず、被害者家族が発言した覚えのないことが報告書に記載されるなど、不適切で杜撰な対応が続いてきたことが明らかにされ、ワイドショーでも報道されるようになり学校側の対応の問題を浮き彫りにした。これらの一連の問題はインターネット上で話題となり、被害少女を応援するサイトが設立されたり、千羽鶴やメッセージカードを送るなどの運動に発展した。

須賀川市立第一中学校柔道部事故関連(須賀川市公式サイトより)

須賀川市立第一中学校柔道部女子生徒の事故に関する再検証報告書
 • 須賀川市立第一中学校柔道部女子生徒の事故に関する再検証報告書(PDF 303KB)
 • 平成21年度第2回市議会臨時会報告(広報すかがわ 2009年5月号) (PDF 422.1KB)
須賀川市立第一中学校柔道部事故に関する民事訴訟に対する見解(須賀川市)
須賀川市立第一中学校の柔道部の事故
 • 平成18年3月市議会定例会会議録(PDF 121.8KB)

参考資料

ウィキペディア(Wikipedia):フリー百科事典 須賀川市第一中学柔道部暴行傷害事件(2022.07.24閲覧)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A0%88%E8%B3%80%E5%B7%9D%E5%B8%82%E7%AC%AC%E4%B8%80%E4%B8%AD%E5%AD%A6%E6%9F%94%E9%81%93%E9%83%A8%E6%9A%B4%E8%A1%8C%E5%82%B7%E5%AE%B3%E4%BA%8B%E4%BB%B6
朝日新聞DIGITAL 2018年9月15日(土) 「どんな大人になっていた?」意識不明15年、亡き娘へ(2022.07.24閲覧)
https://www.asahi.com/articles/ASL9G752XL9GUGTB01Q.html
朝日新聞DIGITAL 2018年9月16日(日) もう一度、話をしたかった 福島の中学柔道部事故、意識不明の27歳女性死亡(2022.07.24閲覧)
https://www.asahi.com/articles/DA3S13681146.html?iref=pc_photo_gallery_bottom
須賀川第一中学校 柔道部リンチ事件『隠蔽工作』のまとめ
http://www5d.biglobe.ne.jp/~yuribeya/sukagawa.htm
J-CASTニュース キーワードランク1位 公立中の事件「隠蔽」
https://www.j-cast.com/2006/10/13003352.html?p=all

書籍

隠蔽 須賀川一中柔道部「少女重体」裁判隠蔽 須賀川一中柔道部「少女重体」裁判

テレビ朝日「スーパーモーニング」取材クルー(著), 被害者の母(著) / 幻冬舎 / 2009年6月25日
<内容>
教師が保身のために、生徒を見殺しにする――。
柔道部の練習中、少女が意識不明の重体に陥ると、学校は原因を「隠蔽」した。
被害者母親の手記と、真実を追い続けたテレビ局の迫真のノンフィクション

2003年、福島県内の中学校柔道部で練習中に、13歳の少女(当時)が意識不明の重体に陥った。
看病に全力を尽くす両親の元に「柔道部員の少年が少女に暴行を振るった」との情報が寄せられる。
真相を知ろうとする両親に対し、学校は暴行の事実を全面否定する。八方塞がりの中、両親は民事訴訟を起こすと、テレビ局が取材に訪れ、報道を開始した。
次第に明らかになる学校側の「隠蔽行為」。当初、視聴率は伸び悩むが、そのプレッシャーに耐え、番組は計13回の放送を行った。
また、ネット掲示板「2ちゃんねる」では、少女と両親への支援運動が呼びかけられる。
真相解明への希望が生まれては、行政が踏みにじるという絶望的な闘いの中、遂に民事訴訟の判決日が近づいてきた――。


この記事をSNSでシェア!

FEATURES & SERVICES

LOCATION ON MAP

CONTACT OWNER

NEW SEARCH

この記事をSNSでシェア!
テキストのコピーはできません。