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2019年(令和元年)6月8日、兵庫県の宝塚市立宝塚中学校の吹奏楽部で、男性顧問教諭(30歳)は、女子生徒(中学2年生•13歳)を個別に練習させた方が良いと判断し、廊下に出て1人で練習するよう指示した。その後、生徒は4階から飛び降りた。女子生徒の戻りが遅いのを心配した男子生徒が様子を見に行ったところ、校舎の外の溝に倒れているのを発見したという。生徒は「自分で落ちた」と説明し、腕や胸の骨を折る重傷を負った。
2020年6月23日、県教委は、「体罰や暴言はなかったが、生徒を精神的に追い詰める厳しい指導があった」と認定し、顧問だった男性教諭を停職1か月の懲戒処分とした。また、当時の校長3人について、対応が不十分として減給や戒告処分とした。
2021年4月15日、第三者委員会は、顧問の男性教諭による女子生徒への叱責を直接の原因だったと認定した上で、背景に部活動でのコンクールの成績を重視する姿勢や、学校で部活が「ブラックボックス化」し適切に管理できる体制がなかったことなどを指摘し、部活のあり方を厳しく批判した。
事件の経緯
2019年6月8日、宝塚市立宝塚中学校の吹奏楽部で、男性顧問教諭は、女子生徒を個別に練習させた方が良いと判断し、廊下に出て1人で練習するよう指示した。その後、生徒は4階から飛び降りた。女子生徒の戻りが遅いのを心配した男子生徒が様子を見に行ったところ、校舎の外の溝に倒れているのを発見したという。生徒は「自分で落ちた」と説明し、腕や胸の骨を折る重傷を負った。
市教委が設置した第三者委員会が調査した。
県教委は詳細について、「公表しないよう生徒側から求められている」として、非公表とした。
2020年6月23日、県教委は、「体罰や暴言はなかったが、生徒を精神的に追い詰める厳しい指導があった」と認定し、顧問だった男性教諭を停職1か月の懲戒処分とした。また、当時の校長3人について、対応が不十分として減給や戒告処分とした。生徒の母親は、「処分が軽すぎる」として報告書の公表を求めた。
調査委員会
調査委員会の設置•調査内容
2019年9月、宝塚市長の付属機関「子どもの権利サポート委員会」が調査を行う。
市教委は生徒や顧問の聴き取りで、基本調査報告書を作成し、今後、第三者委員会が事故の原因や経緯などを詳しく調べるとした。
調査委員
弁護士ら6人
委員長:田中賢一弁護士(兵庫県弁護士会)
調査報告書•その後
2020年 調査を終える。
2021年4月15日、調査報告書が公表された。
第三者委員会は、顧問の男性教諭による女子生徒への叱責を直接の原因だったと認定した上で、背景に部活動でのコンクールの成績を重視する姿勢や、学校で部活が「ブラックボックス化」し適切に管理できる体制がなかったことなどを指摘し、部活のあり方を厳しく批判した。
報告書では、男性教諭の指導は部員への叱責が大半で、褒めることがほとんどなかった、強圧的な指導が日常的に部員に大きなストレスを与えていた–など、指導上の問題点を列挙した。第三者委は問題の背景にも言及し、当時の吹奏楽部について、コンクールで好成績を上げることに重点が置かれ、練習でもミスを許さない緊張感があったと指摘した。学校では部活の活動実態について校長らが把握せず、教員間で情報共有ができていないなどとし、外部から実態が分からない部活の閉鎖性を「ブラックボックス」と批判した。
報告書によると、女子生徒はコンクールに向け音楽室で練習中、顧問から「トライアングルの音が合っていない。廊下で100回たたいてこい」と厳しい口調で退室を命じられた。廊下で練習したがうまくできる気がせず、戻っても再び叱られると感じ、校舎から転落した。駆け付けた顧問に「ごめんなさい」と繰り返した。
顧問は機嫌に波があって他の生徒も怖がっており、女子生徒は別の生徒が怒られる様子を見てストレスや恐怖を感じていたという。第三者委は「顧問の指導が直接原因になったことは否定できない」とした。
一方、市教委は「精神的な体罰」に当たるとして、県教委に男性教諭の懲戒処分を厳しくするよう求めたが見直されなかった。
「調査報告書目次」(PDF:97KB)
「調査報告書(全26頁)」(PDF:6MB)
宝塚市教委の森恵実子教育長は、「顧問任せだった部活を、学校で実態を共有する体制に改革する」と強調した。市教委は生徒が望む部活動にするため、生徒との対話を重視する指導に改めるよう顧問に促し、実践例を紹介する研修も開く方針である。また、生徒や顧問教員らを対象とした「部活動アンケート」を毎年実施し実態を把握する他、専門家や教職員らからなる部活動の運営検討会も設置し、各校の活動を検証するとした。
女子生徒の母親は15日、手記を公表し、その中で母親は女子生徒について、「真面目にコツコツ頑張る子」と紹介し、「音楽を楽しみたい」と吹奏楽部へ入部したが、時折、顧問の男性教諭が他の部員を厳しく叱責している様子を見て、「あんな風に怒られたくないな」と話していたことを振り返った。また、母親が病院で女子生徒と対面した際にも、最初に「ごめんね。ああするしかなかってん」と話していたことを明かした。
女子生徒は約4カ月半入院し、計8回の手術を受け、2021年4月現在もリハビリや治療を続けている。母親は「大きな傷は一生涯消えず、目にするたび事件を思い出してしまうかと考えると、心に治癒することのないつらい後遺症を残してしまった」と心配している。そんな中でも、女子生徒は家族の支えで勉強に励み、2021年春、志望高校に入学した。
参考資料
“「部活の実態、学校で共有」 宝塚の中2転落事故で市教委が陳謝” 毎日新聞 (2021年4月16日) 他