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2024年(令和6年)10月、福井県越前市の武生看護専門学校の学生3人と卒業生1人は、2021年から2024年にかけて複数の教職員から人格を否定するような暴言を吐かれたり、威圧的な態度を取られたことで、うつ病の診断を受けるなど精神的苦痛を受けたとして、学校を運営する武生医師会に対し、謝罪と再発防止を求める申出書を送付した。
2025年4月25日、調査報告書が公表され、学生に向かって日常的に「アホ」と言ったり、他の学生がいる前で「ふくよかになった」と体型に言及したりするなど、合わせて5件の不適切な言動が認められた。
事件の経緯
2024年3月に卒業した女性Aさん(30代)は、武生看護専門学校に在学中の2023年6月頃、教員から「お前アホじゃねえんけ?よく社会人やってこれたな」などと人格否定の言葉を浴びせられたり、「看護師には向いていない」と言われた。別の教員からは「あなたは看護師になったら大きなミスをする。絶対に人を殺す」などと、大声でみんなの前で言われた。
2023年9月、Aさんや現役の女性Bさん(40代)ら数人の学生が、パワハラ被害を学校側に告発したが、改善が見られないとして2023年12月、学校を所管する県の地域医療課に相談した。県地域医療課は、学校側に対して学生の話を聞き事実確認を行うよう要請した。学校側は対策として、教員の研修を行うことや学生からの意見を集めるための目安箱を設置するなど対応した。
Aさんらの告発によって学校側は対応を取ったとしたが、2024年6月には現役の男子学生Cさん(20代)やDさん(20代)も、パワハラやセクハラ被害を受けたと訴えた。Cさんは、「(実習の)カンファレンス中に女子生徒が目の前で着替えている中、カンファレンスが続行された。僕は場所を変えたかったが先生が見なかったらいいと言い、着替えている女子生徒を背にしてカンファレンスが続行された」と、実習で男女が同じ部屋内にいて、女子生徒が着替えを終えていないにもかかわらず、男子生徒を同じ空間に留めさせ、教員が実習を続けたため、Cさんは精神的な苦痛を受けた。
この件を受け、Aさんを中心に2024年6月から再度、学校側に相談したが、それでも改善が見られないとして、10月、4人は武生看護専門学校を運営する武生医師会に謝罪や再発防止を求める申出書を提出した。
調査委員会
調査委員会の設置•調査内容
2024年11月、学校を運営する武生医師会は第三者委員会を設置し、学生や教職員らに聞き取り調査を行った。
調査委員
学校カウンセラーと人権啓発と危機管理の専門家、学校事務局長を加えた4名。
調査報告書•その後
2025年4月25日に公開された報告書によると、「お前アホじゃねえんけ?よく社会人やってこれたな」との発言を受けたとの訴えについて、男性教員が「普段から『あほやな』と口癖で言ってしまうことがあった」と答え、女子生徒が着替えている更衣室で指導を受けたとの男子学生の申し出には、教員が事実を認め、「もう少し配慮すべきだった」と話したなどと学校側の見解が示され、他の学生がいる前で「ふくよかになった」と体型に言及した行為など合わせて5件について「一部不適切な言動が数カ所確認された」と結論付けた。また、「教員や副校長が(パワハラの)被害を校長に伝えず、もみ消されている」という訴えには、「教員から対策の遅れを認める発言が確認された」とした上で、「学校全体で内容を十分共有した上で、組織として一貫した対応だったかは疑問が残る」と指摘した。
この内容を受け、武生医師会の林秀樹会長は、「教職員による不適切な言動が数件確認された事実を重く受け止め、再発防止はもとより、学生一人一人の人格を尊重した教育、円滑なコミュニケーション形成に誠意を持って努めていく所存です」とコメントしている。
被害者の1人は取材に対し、「私たちの主張が一部とはいえ、認定されたことには安堵している。(当時)学生として安心して学ぶ権利を奪われたことは辛かったが、少し報われたように思う」とし、ノートを机に叩き付けられたことや、大声で怒鳴られたことなどが調査書に反映されなかったことについては、「全部が認められなかったことは、すごく悔しく悲しい思い。(今後は)武生医師会に対して謝罪を求めていく。ハラスメント防止策について具体的な内容を教えてもらいたい」と話しており、この件について福井地方法務局にも人権救済を求め、法務局は人権侵犯事件あたるかどうか、学校長などに聞き取り調査を予定しており、その結果を踏まえ、今後も武生看護専門学校を運営する武生医師会に謝罪文やパワハラ防止の具体的対策を求めるとしている。
参考資料
“武生看護専門学校パワハラ問題 被害者は「人権救済」と医師会への「謝罪」求める 「一部不適切な言動を確認」第三者委が報告書を公開 【福井】” 福井テレビ (2025年4月30日) 他