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2019年(平成31年)3月9日、宮城県の亘理(わたり)町立吉田中学校の男子生徒(中学2年生•14歳)は、授業中に男性教諭から繰り返し暴言を受けたことを苦にして自宅で自死した。
2022年7月16日 第三者委員会は「顔はいいけど性格が悪い」とSNS上に書き込まれたことなど3項目をいじめと認定し、いじめが男子生徒に苦痛を与えていたものの、自殺するほどの悩みや不安が生じた原因は分からなかったとして、「いじめが自殺を引き起こしたとは確認できなかった」と結論付けた。
遺族らは報告書の内容に納得できないとして、委員を行政側と遺族側の双方から3人ずつ出して構成する新たな第三者委員会による再調査を要望した。
事件の経緯
男子生徒は2018年9月頃から体調不良を訴えるようになった。
2019年2月、男子生徒が授業を抜け出し、屋上から飛び降りようとしたことがあった。
2月下旬、男子生徒は中学校で授業中に、男性教諭から「シャツが出ていて赤ちゃんみたいだ。シャツを入れてやろうか」などと、他の生徒がいる前で繰り返し暴言を受け、帰宅後両親に対して「みんなの前でバカにされて悔しかった」と涙を流しながら話をしていたという。
男子生徒は3月初めに母親に「学校に行きたくない。死にたくなる時がある」と打ち明け、家族は学校に状況を伝えたが、適切に対応してくれなかったという。
3月9日 男子生徒は自宅で自死した。
学校は3月10日に基本調査に着手し、生徒へのアンケート、教職員への聞き取りもしたが、遺族に対する報告を3月26日から、4月17日に延期していた。
調査委員会
調査委員会の設置•調査内容
2019年4月12日 遺族は県教委に真相究明のための第三者委員会を速やかに設置するよう求める要望書を提出した。第三者委に遺族推薦委員を半数入れることや、教員や生徒を対象にしたアンケートの実施なども求めた。
5月 速やかな調査のため、遺族が求めていた県教委ではなく、町側に第三者委を置く方針の了承を得た。
生徒や教員にアンケートを行い、教員による不適切な言動の有無や学校の対応などを調べ、報告書をまとめる。
調査委員
委員長:土井浩之弁護士
副委員長:菊地秀(しゅう)弁護士
委員:今井聖(さとし)淑徳大学講師
君島智子東北福祉大学助教授
東海林渉(わたる)東北学院大学准教授
渡部裕一精神保健福祉士
調査報告書•その後
2022年7月16日 「顔はいいけど性格が悪い」とSNS上に書き込まれたことなど3項目をいじめと認定した。また、いじめとは認めなかったが、生徒にLINEで「しねしねしねしね」との悪口を送られていたこともあったとした。一方、こうしたいじめが男子生徒に苦痛を与えていたものの、自殺するほどの悩みや不安が生じた原因はわからなかったとして、「いじめが自殺を引き起こしたとは確認できなかった」と結論付けた。
同年2月、男子生徒が学校の屋上に出ようとするなどの問題行動に対する学校側の対応を「遅かった」と指摘したが、教員の不適切な指導は確認できなかったとした。
遺族らは報告書の内容に納得できないとして、県に、第三者委員会を新たに設置して再調査を行うことや、委員は行政側と遺族側の双方から3人ずつ出して構成することなどを求める要望書を町に提出した。
9月 条例に基づき、町に新たな委員会を設置して、再調査を行うことを決めた。
再調査委員会
再調査委員会の設置•調査内容
2022年12月15日 再調査委員会の初会合が開かれ、山田周伸町長が、前回取りまとめた報告書と、遺族の要望の精査や、事実関係の確認を諮問した。2023年度中に結論を得られるよう再調査を進めることを確認した。
調査報告書の情報漏洩
2022年9月5日に第三者委員会がまとめた調査報告書を町のホームページで公開した際、男子生徒や同級生、教員ら関係者の名前と学校名など約180箇所を黒塗りにしたが、コピーして文書ソフトに貼り付けると読み取れるようになっていた。
遺族は記者会見の開催などを町に要望したが無視され、2023年7月10日に町と町教委に現状を報告するよう要望書を提出した。これを受けて町は漏洩した経緯などについて遺族に説明し、同18日には山田周伸町長が直接謝罪した。
文書によると、関係者19人に謝罪文書を送付して返答があった13人には直接謝罪したが、担当職員の処分内容は公表せず、記者会見の予定もないとした。
参考資料
“<宮城•亘理中2自殺>遺族、県教委に要望「第三者委設置を」” 河北新報 (2019年4月13日) 他