教師に届かなかった父母からの私信

「学校は治外法権。常識が通用しない所」という人がいる。事実、丸刈り強制や、スカート丈のチェックなど、校則という名で子どもたちの人権が少しも認められていない。昨年、東京•武蔵野市立小学校の父母が、教員個人あてに出した手紙が、校内で配られなかったり、行方不明になった。事実究明とともに、表現の自由を侵すものと父母、教員が人権救済の申し立てを行っている。 (婦人民主新聞「ふえみん」’92/1/17)
教員あてに出された私信が届かない、と聞いたら「何かのまちがいでは」と誰もが思うのではないだろうか。事実は誤配でも手違いでもなかった。
昨年春、東京•武蔵野市立小学校で、父母が教員に出した「日の丸•君が代を強制しないでほしい」という主旨の手紙が配られなかった。
井之頭小学校では父母が、教員一人ひとりの名前を明記した封書を小学校気付で郵送。その後教員に届いていないことがわかり、校長に問い合わせたところ、「事務室内の床に落ちていた」から「落ちていた場所に再び戻した」という意味不明の回答があったという。
第四小学校では、父母が学校のポストに直接投函。この手紙は、教頭が「届いてない」と問い合わせの父母に答え、現在に至るまで行方不明になっている。
第四小と同じく、第一小学校のポストに投函された手紙は、父母が校長と面会したさい、「先生方に配る気になれない」と返却された。
その後、手紙を出した三つの小学校の父母らが同市、教育長に事実調査を要望。指導室長は、学校教育法二十八条(校長は校務をつかさどり、所属職員を監督する)を掲げ、校長の判断に同意。井之頭小出の紛失は、「わからない」などと回答した。
昨年十一月、第四小学校教職員と同市内の父母十二人が、憲法の「表現の自由」を侵害するとして、東京弁護士会に人権侵害救済の申し立てを行った。
申し立て人の一人で、「武蔵野•新学習指導要領を考える会」メンバーのMさんはつぎのように話した。
「四小の教職員に、校長は『責任をとってもらう』などと脅しをかけています。杉本教育長は、九月の市議会でも、政治的内容の手紙だから権限は校長にある、という発言をしてます。十二月の議会では『是正勧告されても従う義務はない』とまで。手紙の内容が日の丸•君が代だからという以上に、問題なのは、学校あての私信が点検されてしまうことなんです」。
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