門前追悼

カーネーションのこと

所薫子

 「7月6日の早朝に西区まで配達ってお願いできますか?」「宅急便で前日に運ぶこともできますよ」「ええ、それが朝の8時30分に••」去年ぐらいにできた近くの花屋さん。たまにしか買わないけれどいつも親切で、心の行き届いた花を安く売っている。思い切って相談をした。「高塚高校の前に••」「えっ、私の娘の高塚高校卒業なんです」「えっ、そうなんですか?」こんな偶然もあるのでしょうか。
娘さんはもう30歳を過ぎておられて、当時、大阪から引っ越して来られ入学されたそうだ。在学中に震災があり、震災で亡くなった親友のことを今も大切に思われているとのこと。お話を伺いながらいろいろ石田さんのことを思いめぐらした。「ご縁ですので、私も加えさせてもらいます」と花屋の女性は言って下さった。「沢山のカーネーションで埋められたらいいですね。安くて、いいのを見つけておきますね。娘が2時になったら来るので、娘にも話しておきます」「お願いします。私もできるだけ沢山の方に参加してもらえるように声をかけます」そう言って店を後にした。
 7月6日(土)朝8時に、高塚高校の門前をカーネーションが埋め尽くす、そんな妄想を描いている。

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