石田僚子さん追悼30周年記念文集

メメント•モリ ~死を忘れるな~

元兵庫県立神戸工業高校教員 南悟

石田僚子さんと麻里さんの死
 二人は共に7月が命日。僚子さん16才、麻里さん17才でした。僚子さんは高塚高校の鉄の門扉で圧死。麻里さんは中学時代のレイプ被害の苛烈な経験の中から不登校、引きこもりを経て定時制高校での再生をかけて苦闘していました。芸術センスが豊かな少女で僚子さんの死を想い「アートスペースかおる」にも繋がり生を模索していましたが、自ら命を絶ってしまいました。

新人女性教師未希さんの死
 中学時代に合唱部部長として全国大会に2度出場した経験から、地元での中学英語教師を目指す夢を叶えました。大学の卒業旅行はカンボジアでの学習支援と釜ヶ崎のボランティア活動。彼女が初めて受け持ったクラスは当初から学級崩壊しており、周囲の支援も得られず一人で責任を抱え込みうつ病を発症しやむなく休職。「休職して給料をもらうのは申し訳ない、生徒に会わせる顔がない」と自死に追い込まれました。まもなく7回忌を迎える母一人娘一人の23歳の死はあまりにも喪失感は大きく、彼女の死を想う若手教員の輪は、私を含めて140人を超えています。彼女もまた、教職の授業で高塚高校門扉事件と石田僚子さんの死を学んでいましたが、世界一過酷と評される中学校現場の勤務は改善されないままです。

 「メメント•モリ」、ラテン語の死を忘れるな、の警句。今一度三人の死に想いを寄せ、生きて在ることの不思議さに思いを馳せます。

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