エッセイ

うぐいすと原発

公庄れい

 皆さん、今年になってからうぐいすの声を聞かれましたか。私は奄美大島と神戸と西宮と高野山で聞いています。三月の奄美で、土地の人が、奄美のうぐいすはホキホキって鳴くんですよと言っていた。四月神戸のうぐいすはホーホキホキと鳴きはじめた。そして五月になってホーホキヨと始めは鳴くが、すぐホキホキと鳴いてしまう。西宮のうぐいすも然りである。高野山のうぐいすはちゃんとホーホ ケキョと鳴いている。神戸のうぐいすも去年まではホーホケキョと鳴いていた。
 地球の温暖化が言われだして久しいが、衣類や住居、冷暖房で気温から身を守る人間とは違って一度の温度差は野生の動物や植物にとっての影響は大きいのではないかと考えられる。
 原発は温室効果ガスを出さないから地球にやさしいという宣伝がされているが、京都大学原子炉実験所の小出裕章さんは次のように言っておられる。
 ─原子力発電所は、海の水をひきこんできて温めて海に戻すと云うのがメインの仕事です。どれだけ海を温めるかというと、一秒間に70トンの海水をひきこんできて7度温めて海に戻します。一秒間に70トンという量を想像してみましょう。大阪で一番大きい淀川でも、平均流量は一秒間に150トンぐらいしかない。そんな大河が原子力発電所一基ができる度に忽然と現れるのです。日本ではすでに55基もの原子力発電所があって海を温めている状態です。一年間で1000億トンです。日本は大変自然に恵まれた国で、豊かな緑があって稲作も千年という単位で続けてこられた豊かな自然のある国です。それはなぜかというと、雨が降るからです。降雨量は世界屈指で、一年間で6500億トン。そのうち一部は蒸発し、一部は地下水になります。川に流れていくのは4000億トン。それなのに日本の原子力発電所では1000億トン分の海水をわざわざ温めて海に流している。─
 四月十八日の新聞に敦賀原発二号機の放水路移設の記事があった。活断層をまたいでいる海水放水路を百メートル南につけかえるというのであるが、放水路の直径6メートルとある。淀川の半分弱の水を流すためには直径6メートルは必要なんだろうが、その大きなトンネルの中を温水が勢いよく流れているのを想像すると恐ろしい。
 後世の子供達のためにうぐいすの声を録音しておくべきだろうか。

小出裕章さんの講演記録『古くて新しい原子力発電の話』200円
日本消費者連盟関西グループ (TEL&FAX 072-977-7620)

原発のウソ (扶桑社新書)原発のウソ (扶桑社新書)

小出裕章(著) / 扶桑社 / 2011年6月1日
<内容>
「原発のコストは高い」「“安全な被曝量”は存在しない」「原発を全部止めても電気は足りる」。40年間原発の危険性を訴え続けてきた研究者が語る「原発の真実」とは。



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